206
そうだ。うん、1万ってすごいよ。ドロップ品でも防御力が1000を超えるものってすごく少ないし、随分上の階層でしか出なかったはず。それにレアであることが多い。いくら条件を満たさないと駄目とはいえ、1万の補正値ってすさまじい数字だ。
セーバスさんが首を横に振った。
「それが、その条件が分からないんです。詳細鑑定をしても、なんといいますか、条件の部分が塗りつぶされたように、もしくはインクがすれてしまったように、とにかく解読ができないんですよ。そこで、我々は他のドロップ品で今まで分かっている条件を一つずつ試してみたんです。しかし、どれも当てはまらなかった。いろいろ他にも思いつく限りのことを試してみました。夜に使うとか、満月の日、もしくは新月の日、それとも性別、出身地、年齢、体重、身長、スキル……いろいろ試してみたのですが、結局分からないまま、10年ほどが過ぎました。そこで、この値段と……」
「そうなんですね」
詳細鑑定スキルでも分からない。その道のプロがいろいろ試しても分からないんだ。
シェリーヌ様はこういうドロップ品ってどうするんだろう?もっといろいろ調べたら分かるようになるのかな?
「よし、買おう」
にやっとシャルが笑った。
「え?いいの、シャル?本当にいいの?この鍋、買ってもいいの?」
「な、鍋?」
セーバスさんがびっくり顔をする。
「あ、いえ、あの、鍋みたいな形の、防具……」
やばいやばい。
「あはは、確かにそうですね。鍋みたいと言えば、こちらも鍋みたいと言えば鍋みたいですが」
セーバスさんが雪平鍋を取り出した。
「詳細鑑定をしたのですが、申し訳ないことに、ジンギスカンと同じように情報が読めなくなっておりまして」
セーバスさんが申し訳なさそうな表情をする。
「あの、全然大丈夫です、えっと、別に、その、これ、気に入っているんで。軽いでしょ?軽いところがいいんです、あ、あと、えっと、かぶっていても、ぱっとこのとってもつかむと、ほら、相手の攻撃を防ぐ盾とか、殴る武器とかにもなるし……えっと、それから……あの……」
セーバスさんがにこりと笑った。
「そうですか。道具には相性というものがあります。いくら高価で、効果が高い品でも、相性が悪いと性能が発揮できないことがありますからね。体に馴染む、使い勝手がいいということは大切です」
「そ、そうですよね、そうなんですっ!あの、あの、ありがとうございますっ!」
なんだか、雪平鍋のことを認めてもらえたみたいですごくうれしい。
親切な店員さんが私のために選んでくれた。そして防具屋のプロが良さを分かってくれた。
ぺこりと頭を下げる。
セーバスさんがシャルの顔を見た。
「それでも、防御力が心もとなくて、パーティーメンバーとしては心配でしょう」
シャルがふいっとセーバスさんから小さく視線を外した。
心配で胸が張り裂けそうなシャルである。
出来れば危険な場所から遠ざけて、閉じ込め……むにゃむにゃ
ご無沙汰しております。
まだしばらく不定期更新です。ごめんなさい……。
どうにもお外執筆が滞り……
スガキヤラーメン1年間無料券が当たった話はしましたっけ?
それを使って、テイクアウトばっかりよ。
テイクアウトにも使えるのすごいよねー。でも、テイクアウトは野菜ラーメンできないんだよね……
残念!
って、書いておいて、間違えたー!!
名古屋ネタを後書きに書くのこっちじゃないじゃん、カフェオレはエリクサーの方だわ!
まぁいいか。ご愛敬!突然前触れもなくスガキヤを語ってごめんよ……