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【ジンギスカン鍋:ジンギスカン用の鍋。ジンギスカンは焼き物料理という説と鍋料理という説がある】
……何?ジンギスカンがそもそも分からないんだけど。焼き物?鍋?
料理だということだけは分かった。どんな料理か分からないよ。
変な形だけれど、鉄板みたいに乗せて焼くのかな?でも鍋料理って、ちゃんこ鍋みたいなやつでしょう?たぶん。
焼き物とは全然違って汁もあるし……???
「ねぇ、シャル、これで、焼いたり煮たりできると思う?」
「はぁ?鍋として欲しいっていうの?」
シャルが頭を押さえた。
「普通に鍋買えばいいじゃん。今ならそのリュックの中に入れれば持ち歩くのだって邪魔にならないんだから。何も頭にかぶって持ち歩く必要なんてないだろう」
あ、そうか。
重たくて私にはかぶれないけれど、サージスさんなら平気かなぁ?って思ったけれど、そもそも兜として使う必要もないのか。
「鉄製?なら焼けそうだし、ひっくり返せば煮物にも使えそうだね、あー、もしかして、この山になってるところで肉とか焼いて、周りのくぼんでいるところで煮るの?1つで煮たり焼いたりできるなら、便利といえば便利そうだけど……」
なるほど!
「シャルすごい、そうだね、この頭を入れる山形になってる部分でお肉とかなんかが焼けるのか。この筋のように凸凹してるのは滑り止めなのかな?回りの兜の鍔というか、このくぼんだ所なら、野菜とか煮込めそうだ。しかも、お肉を焼いた時に落ちた脂とかも無駄なく食べられるんだよね?」
ジンギスカンは何かは分からないけれど、焼き物料理と鍋料理が同時に作れるのってすごい。串にさして火であぶって食べる肉もいいけれど、串に刺しにくいうすぎりの味付け肉とかも調理できちゃうってことだよね。
「いやいや、リオ、普通に鍋とか鉄板買えばいいだろ、まぁ、武具として防御力がすごく高くなるなら考えなくもないけれど」
「おや、さすがリオ様ですね。早速目を付けましたか。これもレアドロップ品で、世界に一つだけの名前持ちですよ。ジンギスカンというのですがね」
気が付くと、セーバスさんが戻ってきている。
「へぇ、それでどれくらいの防御力あるの?」
シャルが少し興味を持ったようだ。
「防御力は23です」
「23?たったそれだけ?なんか普通に鉄鍋かぶっても同じくらいありそうなんだけど」
シャルの言葉にセーバスさんが笑った。
「ええ、確かにそうなんですよ。かまどにぶら下げて使う鉄鍋の、新品が防御力25、使いこんだものは防御力20ほど。底が抜けそうになったものが10くらいですかね」
すごい。鍋の防御力まで知ってるなんて。防具屋の鏡のような人です!そうか!包丁だって武器としてきっと役に立つだろうし、枕だって体に巻き付ければ防具になるかもしれないし……。
「すごいです、身の回りのものの防御力まで知ってるなんて!」
「いえね、鑑定すれば数字は見えますが、その数字が実際どれくらいの強度なのか、はじめのころはさっぱり分かりませんでしたので。身の回りの物の防御力がどれ位なのか調べて研究したんですよ。私は防具の簡単な鑑定しかできませんので、もっと詳細な鑑定ができる人にお願いしてね」
5月もラスト。5月病乗り切りましたか?