200和
受け取っていいのか悩んでいると、おばあさんが笑った。
「ワシの勘が、お主にこの本は渡すべきじゃと言っておる。老い先短いばーさんの頼みじゃ。もらっとくれ」
勘?
「分かりました。ありがとうございます。あの、見つけたら絶対教えに来ます!」
「よかったね、リオ。それで、その本はリオのもの。このカードで買ってたら国の物になってた。で、国の物になっちゃうけど、何買う?ばーさん、10個ほど買わせてもらうよ」
何を買おうか。
「えっと、まずは消毒液をください、それから……」
消毒液の入った壺はあるだけ全部。料理に使ってみたいというのも正直な気持ちだけれど、実際に厄災で大量の怪我人が出た場合も想定したほうがいいだろう。
般蛇に倒された多くの兵たちの姿を思い出す。
それからあとは。
いくつか気になった【忍具】。本を開いて見る。
何が役に立つだろう。いや、役に立つかどうかは今は分からない。
【忍刀:刀に比べ刀身が短く、そりがない。壁に立てかけ、壁を上るための踏み台として使うため鍔が大きい。下げ緒は刀よりも長く、踏み台にした後に回収したり、座探りの術を使用するときに口にくわえて用いる】
刀に比べ……か。刀自体が一般的ではないのに、比較して書いてあるのはなんでかな?
剣と比べて細いとか書いてあってもよさそうなのに。
下げ緒って、紐のことだよね。座探りの術って何だろう?口にくわえる?
よくわからないけれど。確実に剣のように切りつける武器には違いない。それに、細くて短くて私みたいに小柄な人間には扱いやすそうだ。
「シャル、まずはこれ」
シャルとおばあさん二人で買い取る品のチェックとメモをしてくれるので、私は選んで渡すだけだ。
【苦無:クナイ。大苦無と小苦無がある。壁を上ったり、穴を掘ったり、後部の輪に水を張りレンズとして使ったり、手裏剣のように使ったり多目的に使える便利な道具。他の道具と違い刀と同じ良質の玉鋼を用いて作られ頑丈】
「すごい、これすごい」
苦無……クナイ。穴が掘れるんだ。
とすると、芋とか見つけた時に、便利じゃない?買う。自分ように買う!
あとは、他の店では手に入らないだろうから、役に立つかどうか分からないけれど、縄梯子とか明らかに武器じゃなさそうなものはやめる。
鎖鎌や手裏剣など忍具を10個選んだ。
「あ、これは僕が使いたいので、別会計で!」
クナイを見て、シャルが首をかしげる。
「何コレ?槍の先だけみたいだけど、こんなの買ってどうするつもり?」
槍の先だけ?
うーん。言われてみれば確かに形は似ている。でも、穴を掘る時に使うってあったし。
「ここを持ってこうして使うんだよ」
槍の先みたいな部分の下に、手で持つようなところがあり、その先に丸い輪がついている。
持つところをぐっと手で握る。穴を掘るということは、剣のように、親指が先端部分の方じゃなくて、丸い輪っかの方に持つんだよね?
これで、がつがつと掘る?
腕を肘から先振って見せた。
どうも!200話……200和となりましたー。ひゃほーい。
なんかなろうの話数と1話違うのはどっかに何か挟まってるから
さてと、えーっと、買い物で、色々買い集めたものの使い道を想像してくださぁい。そうです、色々意味があります!あるんですぅぅぅ!
(´・ω・`)ま、リオはわかんないけど。
みんなの「勘」が働いています。
ほら、なんかとんでもないこと起きるときって勘が妙に働くとかあるじゃん。
それが生死を分けることって本当にあるじゃん。
たぶん。
ではでは。引き続きよろしくお願いします。