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「僕なら何が飛んできても簡単に避けられるけれど、飛べない人間は、体を動かして避けるか、剣や盾で避けるしかないよね。剣をとっさに出せば、こうして巻き付く。リオじゃぁ無理だろうけれど、ある程度力のある人間なら、そのまま鎖を引けば、武器を奪うこともできるだろう。ふぅーん。振り回して相手に当てたり、距離を保ったり、相手の自由や武器を奪う。そのうえで、鎌で相手に攻撃を加えるってことか。確かにこれは立派な武器かもね」
シャルがふっと笑う。
「そうかい、そうかい……武器だったんだねぇ。旦那の言っていることは間違ってなかったんだねぇ。あははは」
おばあさんが力の抜けたような声を出した。
「なんで、リオは分かったの?」
ギクっ。
シャルの言葉に言葉に詰まる。
本に武器って書いてあったからだけど。
シャルが私から視線を外し、巻き付いた鎖をはずしながら嬉しそうに笑う。
「なんて愚問か。似たようなドロップ品を見たことがあったかなんかなんでしょう?それで、もしかしたらと思たとかそういうことでしょ?こうして外に出てまで使ってみようとしたのも、初めて見た武器のこと勉強したかったからなんでしょ?」
あはは。違うけれど、なぜかシャルがそういうことだと思って納得してくれたのだったら、そういうことでいいかな?
皆で店の中に戻る。
シャルが忍刀と鎖鎌をもとの位置に戻して「忍具の秘密」とジャパニーズアイで表示される本を手に取った。
「それから、リオはこの本が欲しいんでしょう?」
「なんで、分かるの?」
びっくりして大きな声が出た。
ジャパニーズアイで文字が読めてること、言ってないよね?
「はぁー、リオ……何言ってんの?誰でもわかるって。知らないドロップ品のことが書いてある本。リオが欲しがらないわけないじゃん。文字が読めなくたって、絵が描いてあるだけでも見て覚えたいんでしょう?」
「あ、うん、あー、そうなんだけど……」
文字も分かるよ。
ジャパニーズアイで見える道具の説明より細かい使い方とか書いてあるし、欲しい。
「旦那さんの大切にしていた本や武器、売ってもらえますか?」
シャルがおばあさんに尋ねた。
そうだ。大切な品物だ。
「全部じゃなければ構わないよ。一応武器屋の体裁は保っておかないといけないからね。本も、店に置いておいて埃をかぶるよりも、価値が分かる人間に持ってもらったほうが旦那も喜ぶだろうよ」
おばあさんが、シャルから本を受け取ると、私に差し出した。
「武器は買ってもらうけどね、これはあげるよ」
「いえ、あの、う、受け取れません、ちゃんとお金を払いますからっ」
慌ててお金の入った巾着を取り出そうとして、その手を止められた。
しわくちゃの小さな……だけれど、温かい手が触れた。
「いいんじゃ。その代わり、もしその本に載っている物を見つけたら、教えてくれんか?」
「教える?」
「ああそうじゃ。いくら探しても見つからなかったものがどこにあったかだけでも、旦那に聞かせてやりたいでの」
どれくらいの期間探していたのだろう。何年も何十年も探し続けたものを私が見つけることができるだろうか?
忍者……
何を思い出すのだろうね、みんなは。
ハットリくん?
ナルト?
肉丸君?
乱太郎?