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「2年も3年もかけて魔力を練っていたのでは……いつ、再びあんな鬼が現れるかは分からないけれど……。のんびり構えているわけにはいかないわね。仕方がないわ。魔力回復薬を飲みながら……なるべく早く次にスキルが使えるようにしないと。だけれど、どれだけ頑張っても半年はかかるでしょう。ああ、そう、それからレアドロップ品も必要な者に放出していくわ。あと、サージス、攻撃力は落ちるけれど、あとで火魔法効果が付いた剣を渡すわ」
火魔法効果の付いた剣!
そうだ。魔法スキルがなくても、魔法のような効果を発揮できるドロップ品もあったんだ。
頑張ってサージスさんが見逃したドロップ品を拾うぞ!そして、サージスさんにいっぱい役に立つアイテム身に着けてもらおう。もちろんシャルにも。シャルならスキルの使用回数増える系がいいのかな?
それから、私も。
「あの、シェリーヌ様、僕、まだあまりお金を持ってないんですけど、お金をいっぱい稼いだら、すごくたくさん入る収納鞄と、防御力が上がる軽い装備品が欲しいです。いい物があったら、あの……」
こういうの、なんていうんだっけ。
自己投資?
私なんてと思っていた時には、高い物を自分のために買うなんてありえないと思っていたけれど。
自分のために何かすることで、誰かのためになるなら。惜しむ必要なんてないんだよね。
「シェリーヌ、あればすぐにリオに渡してやってよ」
シャルが当然のように口を開く。
「え?シャル、駄目だよ、僕、お金が……」
「代金は陛下が払ってくれるよ。あ、なんなら元宰相からの賠償金ってことで払ってもらってもいい」
「ええええ?いや、でも、すごい金額だよきっと!」
「何言ってんの?一番働いたリオがたくさんお金貰わなくちゃ、他の人たちがお金貰えないでしょ?」
はい?
「一番、働いた?え?私、そんなに働いてないですけど?」
シャルは何がいいたいんだろう。
あ、もしかして、私とシャルとサージスさんは同じパーティーだから、パーティーとして働いたということに換算されるなら、確かにシャルは陛下の護衛とか紅蓮魔女のシェリーヌ様を連れてくるとかとっても大切や仕事したし、サージスさんも王都に般蛇を近づけないように命懸けで戦った。私は、えっと、最後にシャルを助けた?いや、もっと早くに思い出せば済んだことだとシャルに怒られた。
あとは、えっと、ご飯作ったくらいで……あ、餓鬼さんにご飯配ったくらいで。特に危険な目にあったわけでもないし。
意味が分からなくて首をかしげる。
「あー、もうっ。本当にリオって、何なの?って、サージスさん、ちょっと、落ち込んでたんじゃないの?もう復活してる、ちょっと食べすぎじゃない?よく噛まないと消化に悪い、って、ちょっとシェリーヌさんなんか悪い顔してる」
悪い顔?
シェリーヌ様が?
シャルがわけの分からないことを言っている。
美しい顔でしょ?