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「分かりましたわ。見る目のないぼんくらS級冒険者が見落とす貴重なドロップ品収集に、リオちゃんが必要ということね。ドロップ品の価値が分からない屑S級冒険者をフォローするために優秀なリオちゃんがどうしても必要。仕方がないわ。無能S級冒険者が世界の宝を闇に葬らないために、リオちゃん……頑張ってね、珍しい物見つけたら届けに来て。あ、美味しい物もついでに持ってきてなんて言わないけど、言わないけど、届けに来てね?」
えーっと。
今まで私が入手した食べ物って……その辺に落ちてた木の実(山椒)、木の根、鳥の餌、糞みたいなやつ(味噌、カレールー、正露丸、黒トリュフ)、モンスターの足……。
白目。
「あらやだ、サージス、どうしたの?大丈夫?」
え?
白目をむいている場合じゃない。サージスさんがどうしたの?
「どうしたのじゃないでしょう。いくら、ドロップ品に関して本当に役立たずで、無能で屑でも、今は無能だなんて言葉をサージスさんに聞かせるのはタイミングが悪いって」
シャルに言われシェリーヌ様が、ああと手を打った。
「そうだったわね……」
それから私に先ほど見せた指輪をサージスさんに差し出す。
「サージス、金貨10枚でいいわよ。筋力が12上がる指輪。そして特殊効果として跳躍に使う筋力は24上がるわ」
シェリーヌ様の言葉に、サージスさんは頭を垂れたまま、無言で鞄から金貨10枚を取り出しシェリーヌ様に差し出した。
「もう、何よ、辛気臭いわね!これでますます強くなるのよ?ほら、元気出しなさいよ!」
バンバンとシェリーヌ様がサージスさんの背中をたたく。
サージスさんは般蛇に歯が立たなかったと、自分が無能だと落ち込んでいるってこと?
そんなのおかしい。
「サージスさんのおかげで、街に般蛇……あの鬼は行かなかったし、シェリーヌ様も間に合って倒せたんですっ。サージスさんがいなければ、皆死んでました。無能なんかじゃないです。それに……もし、サージスさんが無能だっていうなら……一緒に戦っていたけれど同じように傷をつけられなかったガルモさんや兵たちも、みな無能だって……戦うことすらできない僕も無能だって……そういうことなんですか?」
サージスさんがのろのろと私の顔を見た。
「僕は、確かに無能スキル持ちです。だけど、そんなスキルだって……黒い目は目印になって他にはまねできないからすごいって……サージスさんは言ってくれたじゃないですかっ。本当は、無能でどうしようもないってそう思ってるんですか?」
サージスさんがいつものように大きな手で私の頭をなでる。
「違う、リオはすごい。……俺は……誰も無能だと思ったりしていない。ただ、自分自身の能力不足に落ち込んでいるだけだ」
すごいのに。
サージスさんはすごいのに。
涙がぽろぽろ落ちる。
「あんなに傷ついてボロボロになって、それでもあきらめずに戦ったのに?歯が立たなくてもそれでも何度も立ち向かって、皆を守ったのに?」
サージスさんが首を横に振った。
感想がなかなか返せない日が続いていて申し訳ないのですが、とても楽しみにしています。
とても、たのしみに、して、います!
たのしみなの、です!
(だれか、察して!)