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「ピリッとしてうまいやつだ!」
サージスさんがシェリーヌ様に自慢げに説明している。
シェリーヌ様がふわりと美しい金の髪をなびかせてサージスさんの顔を見た。
きれいに整えられた爪には何を使ったのか赤く色が付けてある。どこもかしこも美しい。
その美しい指を1本立てて、空に向けた。
「サージス、すぐに肉を取ってらっしゃいっ!」
びしぃっと音がなるほど美しくまっすぐ向けられた腕。そして指先。
かっこいい。
「えー、食べてから」
サージスさんが唇を尖らしてぶーすか文句を言う。
「あの、サージスさん、そこの肉は焼けるまでにまだ少しかかりますし、それにえっと、肉をさばいて焼ける状態にするまで時間がかかるし、焼いてる間に作業したほうが効率がいいと思うのですけど……。私も今から山椒を探してきますから……」
「そうか!じゃぁ、行ってくる!なんかちょっとこのあたりは騒がしかったから獣は遠くに逃げてるかもしれないけどできるだけすぐに帰ってくるから!」
と、サージスさんの姿が見えなくなったところで、シェリーヌ様が火の近くに腰掛けた。
「これ、もうすぐ焼けそうね」
黒トリュフ味の肉を恍惚とした目で眺めるシェリーヌ様。
「あの、食べるとサージスさんが……」
俺の肉を食ったなぁと絶対怒る。別にサージスさんの肉だと決まっているわけではないんだけれど。
「平気よ。これ渡せば問題ないわ」
シェリーヌ様が、ポケットから指輪を一つ取り出した。
「リオちゃんならわかる?」
ぽんっと投げてよこされた指輪を見る。
「え?これって、ドロップ辞典に乗ってない……一番似ているのは、筋力を10上げる指輪……それよりもラインが2本多くて、石の色も少し濃いような。ああ、この色はジャンプ力の強いカンガルー系モンスターからドロップするアイテムの色に似ているような……」
一通り観察して、シェリーヌ様の手に指輪を返す。
「ふふ、その通りよ。リオちゃん、やっぱりうちで働かない?この指輪は筋力を12上げるものね。そして、ジャンプ力強化……つまり、飛び上がるときに必要な筋力はさらに倍、24上げる指輪よ」
そうなんだ。
「レアドロップ品。3日前にうちの研究所に持ち込まれたものね。もう解析は済んだから、サージスに売りつけようと思って持ってきたんだけど」
「サージスさんは、買うと思うんですか?」
「買うでしょ。どん欲だもの。サージスは」
「貪欲?」
「そう。もっともっと強くなりたいって。強くなるためのアイテムがあれば欲しいって」
「サージスさんはすごいのに……S級冒険者で、強くて……それでも……もっと、もっと強くなるために……」
訓練を欠かさないだけじゃなくて、アイテムでも強化できるならどれだけでも強化しようと……
扱いやすいサージスさんwww
お知らせ。前の話のあとがきに関して情報いただきました。
トリュフに似た毒キノコがあるらしいので、専門家と一緒に採取するか、ジャパニーズアイスキルを持つか、鑑定魔法を使えるようになってから採取してね。