17話
「え?金貨1枚?そんなに安くていいの?」
ユニークアイテムなら、効果が微妙なものでもコレクターがいるから金貨10枚はするよね。
レアアイテムだったとしても、やはり効果よりもコレクション目的な人もいるから、レア度にもよるけれど、金貨1枚なんて絶対手に入らないよ?本当にいいの?
どう考えても、ドロップ品目録に載っていた記憶がないから、ある程度はレアなんだと思うけれど……。
「ぶははは、安いって信じてるぞ、おい、ちょっと、誰か教えてやれよ」
「素人はあれだから、ドロップ品と言えばすごいと思い込む馬鹿がいるんだよなっ」
ゲラゲラと店内が爆笑の渦に包まれた。
えーっと、いや、レアドロップ品なら本当に安いんだけれど。
もしかして、私の方がおかしい?
「なんだ?ずいぶんにぎやかだな」
店内に響き渡る声に、冒険者たちが一斉に視線をそちらに向けた。
「サ、サージスさんだ」
「S級冒険者のサージス様がいらっしゃった」
え?サージスさん?
店主が慌てて接客していた客を別の店員に任せると、サージスさんの元へと飛んで行った。
そういえば、S級冒険者ってすごい人なんだよね。
冒険者個人としてのランクとかにはあまり興味がなかったから……全然実感がないけれど。
……だって、雇ってくれるあたりのパーティーのことを考えるのとか、モンスターのこととかの方が私には大事だったから。
でも、冒険者たちの反応を見ると、すごい人なんだよね。私、失礼なことしてなかったかな?
「ん?坊主……じゃない、リオ、よく会うな。っていうか、何だそれ?頭にかぶってるの」
サージスさんが私に気が付いて軽く手をあげてから近づいてきた。
私の横にいた店員が数歩後ずさる。緊張してるのかな?
「防具を買おうと思って。えーっと、店員さんが勧めてくれたんです」
にこりと笑ってサージスさんに答えると、サージスさんがむっとした表情をして、私の頭をいつものように撫でようとしたのか、兜をポンッと軽くたたいた。
なぜむっとしたのかな?まさか、頭が撫でにくくなるから兜なんてかぶるなってこと?……じゃないよね?
ずるりと、兜がずれて、片目を覆う。
【スキルジャパニーズアイ発動】
また、声。
……あれ?ちょっと待って。今までスキルが発動したときって……。
目に血が入ったり、それをぬぐったり、片目……それも青い方の目だけをつむって、黒い方の目だけで物を見た時に発動されてないかな?
まさか、それが発動条件?
そっと青い方の右目をつむり、黒い左目だけで周りを見渡す。