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「もう、いい……黙ってくれる?」
ええ?何を間違えたのでしょう……。
シャルが腕輪の石に触れる。
「サージスさん、聞こえる?」
「シャ、シャ、シャ、シャ」
通信の腕輪から蛇の鳴きまねでもしているのかというような声が返ってきた。
「シャル、あなた、無事だったの?リオちゃんは?」
シェリーヌ様の声だ。わー、私、名前覚えてもらえてる。
「はい、二人とも無事です。それから、般蛇……化け物もちゃんと倒せたのを確認しました」
「うおー、シャルにリオ、二人とも、無事だったか」
「もうちょっと、泣くならあっちで泣いていて、って、腕輪だけ置いて行ってって、ちょっとサージス、あ……ああっ!」
え?何が起きてるの?何?
「気絶しちゃったわ。限界だったのね。二人の無事を聞いてほっとしたんでしょう。えーっと、王都から連絡があって王都が落ち着き次第倒れた兵たちの回収に来るそうなんだけれど、二人が無事なら先にそちらに迎えに行ってもらえるように頼むわ」
サージスさんが気絶?
「サージスさん、大丈夫かな……」
不安になって青ざめる。
「大丈夫でしょ。あれくらいで死ぬような人間じゃないよ。きっとすぐに回復系スキル持ちが治療にあたるだろうし。ギルドもS級冒険者を失うわけにいかないだろうからね」
シャルの言葉に少しほっとする。
「僕も、ちょっと疲れたから迎えが来るまで寝てるから。何かあったら起こして」
シャルが一面の灰となっている地面に座り込み、横になった。
【シンデレラ】
え?死んでれら?な、何、それっ!慌ててシャルの息を確認するとちゃんと息してる。
もう、何なのジャパニーズアイ。
【シンデレラ:灰かぶり姫】
ん?
まさか、灰にまみれても、お姫様みたいにきれいなシャルのことをシンデレラって表現したの?
うーん。謎。
まぁいいや。私は、えーっと……。
そうだ!キビ団子を作ろう!フェンリルさんにお礼しなくちゃ。
あと、シャルが起きた時にお腹空いてるかもしれないから。
頭に乗せた雪平鍋を下ろす。
少し移動してまだ燃え残っている木がある場所で薪など必要なものを拾い集める。
背中に背負った収納鞄から、きび、水、砂糖など材料を取り出す。
火にかけている間に、他に何か作れそうなものはないかと収納鞄の中を確認。
やっぱり食材はほとんど入ってない。シャルもキビ団子でいいかなぁ。ああでも、鳥の餌ってばれたら困るよねぇ。
ゆであがったら、お湯をすてお砂糖いれてこねこね。つぶしてもちもちにしてこねこね。
必死に鍋に向かっていたから、近くに現れるまで全く気が付かなかった。
いきなり日が陰ったので、雨でも降ったらこまるなと空を見上げる。
バサァーと、大きな翼を広げたドラゴンが真上にいた。
フェンリル(犬)
ドラゴン(雉)
おおかたの予想通りですねwww
あとはポセイドンをですね(なにそれ)