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餓鬼たちは、城を囲む一番外側の3つめの塀のそとにはたくさんいる。3つめと2つめの塀の間には少ない。そこに食べ物を並べているのだ。運ぶ人たちの安全も考えてのこと。
兵たちが餓鬼たちの首をはねて安全を確保するなか、城勤めのあらゆる人が食料運びを手伝っているように見える。服装が調理服の人もいれば侍女やエプロン姿の女性もいる。
「シャル、そろそろ大丈夫だと思う。連れて行って」
シャルに声をかけた。これから、3番目の塀の扉を開いて、餓鬼たちを招き入れる。食べ物を与えるために。
「リオ殿……頼みました」
陛下から声がかかる。
えええーー。まさか、へ、陛下から声がかかるなんて!
「ひゃいっ、あの、その……」
「リオ、変な顔」
シャルが私の顔を見て馬鹿にしたような表情を見せる。うえええ、だって、陛下にお声をかけられたんだよ、どうしていいかわからないよっ。
「じゃ、行くよ」
シャルが私の腰を後ろから抱きしめた。
その瞬間、大量の食べ物が並べられた場所にいた。
「シャルの転移は相変わらずすごいねぇ」
「今更そんな当たり前のこと言うの?」
あ、確かに。全然褒め言葉になってないかな。
「事実じゃなくてさ、シャルの転移はすごいから好きだとか、シャルが好きだとか、言ったらどうなの?」
シャルがぷいっと視線を逸らす。
ん?それも事実でしかないことでは?と首を傾げた私に、ちょっとだけ立場が高そうな兵が目の前に立った。
「シャル様、リオ様ですね。門を開いて餓鬼を招き入れてもよろしいでしょうか」
「あ、はい」
慌てて返事をすると、すぐに即席のテーブルの周りを護衛していた者たちが大きな門を開く。馬車が4台横並びでも通れそうな大きな門だ。ガラガラと、扉は横にずらすようにして開くんだね。たくさんの人が押して動かしている。
開いた隙間から、我先にと大量の餓鬼たちがなだれ込んできた。
「きゃぁっ」
「助けてっ!」
食料を運んでいた城勤めの人がちが一斉に悲鳴を上げて逃げていく。
ああ、ごめんなさい。
そうですよね。
私のようにダンジョンでモンスターを見て生活している人とちがって、城で働いている人たちは怖いですよね。
何人もの兵たちが剣を構えて私を守ろうとしてくれた。
「あの、大丈夫です。えーっと、ああ、来ました。ちょっと開けてください」
一口大に切ってあるパンがたくさん載っている皿を一つ持ち、兵に声をかける。
兵はすぐにどこうとせずに戸惑った視線を私に向けた。
「あのさぁ、どいてって言ってるじゃん、僕のリオが。っていうか、僕がいるんだから、リオは大丈夫に決まってるのに、信じられないの?僕を誰だと思ってるの?」
シャル……。
まぁ確かにシャルがいれば大丈夫っていうのは本当なんだけど。
壁のように私の前に立っていた兵が左右に分かれる。
動きがゆっくり餓鬼たちが、ほんの1m先まで移動してきていた。
どうも。
当面、カフェオレはエリクサーと同じ更新ペースにできたらいいなぁと。
つまり、月曜と木曜更新……続くといいなぁ。
感想ありがとうございます。なかなか返せなくてごめんなさい。
おかえりなさいって言ってもらえてとても嬉しいです。
シャルのこじらせが……(´・ω・`)