150話
間違えようのない片方だけ黒い目。
無能スキルと言われているジャパニーズアイで黒くなった目。
「特別な目だ」
「ああ、他の誰も持っていない特別な目。特別なお人だ」
ぼそぼそと兵たちが私の顔を、黒い目を覗き込んで何かを言っている。
無能スキルの証。黒目。
見られるのも嫌だった。クロと呼ばれるのもつらかった。
でも、サージスさんが他の誰かと間違えようがないからいいなと言ってくれた。
今も、きっと私という人間の目印としてとても役に立つことなのだと……。
ぐっと奥歯を噛みしめる。能力として役に立たないけれど、目印としては役に立つなら、見られなくないなんてそんなの私の単なる我儘だよね。兵たちにも黒目が見えるように、しっかりと顔を上げて前を見る。
いくつかナッツを餓鬼に配ったところで、腕輪に触れる。
「あ、シャル、もうナッツが残り少ない、お願い」
皿の上のナッツはもう5つ。シャルに話かけると、すぐにシャルは目の前に現れた。
「リオ、後ろのでかいの将軍だよね?なんでリオはすぐに人を連れてきちゃうの?」
すぐに目の前に現れたシャルが、私の後ろに立つ将軍を見て顔をゆがめた。
「えっと、……なんか、護衛してくれるって……」
はあーっと、シャルが盛大なため息をついた。
な、何?護衛が必要な弱い私がうろうろしたあげく、結局誰かに護衛してもらっていることに呆れてる?
「ったく、S級冒険者の次は超A級冒険者、で、その次は将軍ね、リオって何なの?」
え?あれ?そうですよね、いくら護衛してもらうって言っても、将軍様に護衛してもらうなんて、やっぱり呆れられても仕方がない……。つつーと冷や汗が流れ落ちる。
「まぁちょうどいい。陛下が将軍を呼んでるから、ついでに連れてく」
「は?陛下が呼んでる?何があったんだ?」
将軍がシャルの言葉に緊張を走らせる。
「別に大したことはない。宰相が解任されたから、しばらく将軍に兼任してほしいんだって」
将軍が大声を出した。
「た、大したことありすぎるだろ!この有事に宰相が解任されるというのも大事だし、しかも、兼任って……」
シャルが手を伸ばして私の手と、将軍の方に触れた。
「リオを国外追放しようとする人間だよ?」
シャルの言葉に、将軍が私の顔を見た。
「ああ、そりゃ、解任で住めば御の字だな。拷問ののち死刑、お家取り潰しが妥当か」
シャルがくくっと楽しそうに笑う。
「新しい宰相は期待できそうだ」
あれ?二人の会話、冗談なんだよね?笑っているし……。私は結局追放されてないし。
ごぶさたです。1カ月は間が空かなかった。セーフ、セーフ……
お待たせいたしました。連載ぼつぼつ再開です!
引き続きよろしくお願いいたします。
わ、忘れられてないよね?
ドキドキ。
今年は毎日更新ではなくなりますが、週に2~3くらい更新を目標に頑張りたいと思います。