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「残りが10個くらいになったらシャルに助けてもらうね。あの、たくさん食べ物用意しておいてくださると助かります。では、失礼します」
話の腰を折ってしまったとは思うものの、他の壁の穴でも兵たちと餓鬼の攻防が続いている。
ぺこりと頭を下げて、塀沿いに走り出す。
「覚えておいて、もし、リオを傷つけるようなことしたら、僕はリオを連れて国を出る。あ、この国唯一のS級冒険者のサージスさんも一緒だから」
シャルの言葉が聞こえてくる。
ん?なんで?
振り返ると、もうすでに声が届くような距離にない。
「ふお?あれ?」
腕輪からだ。腕輪から聞こえてくる。シャル、石に無意識に触ってる?
「あと、リオはドロップ品馬鹿だから」
ちょっと、シャル、悪口の聞こえてるよ!気が付いてないの!
馬鹿とか言われちゃった。ううう。
「何がいいたいのじゃ?」
陛下があきれてるじゃん。そりゃそうだよね……とほほ。
「きっと紅蓮魔女もリオのこと気に入るよ、なんせ誰も知らないおいしいドロップ品を見つけられるんだから」
うわーーーっ!
シャル、何を陛下に言ってるの!
それ、ああああ、誰も知らないというか、誰もが知ってるハズレドロップ品、通称糞のことだよねぇぇ!だめ!
陛下がもし、興味を持ったらどうするの!陛下に、糞って呼ばれるもの食べさせたら……牢屋にぶち込まれるどころじゃないと思うんだ……。
「そうそう、唯一のS級冒険者どころか、次に一番S級冒険者に近いって言われる超A級冒険者のガルモさんも、リオの味方だよ」
うえー、超A級?何それ、ガルモさんすごい。なんか、すごいよ。ガルモさんにも通称糞料理食べさせちゃったよ。
うわーーーっ。知られたら、知られたら……。
「なんと……シャルだけではないと。S級冒険者のサージス殿に、超A級のガルモ殿、その上紅蓮魔女のシェリーヌ殿までがあの少年の味方になると……」
うぬぬと陛下の唸る声も聞こえてくる。
味方?シェリーヌ様にはお会いしたこともないのに、何を言ってるのシャル。もちろん、私はシェリーヌ様の味方だけど、シェリーヌ様が本の一読者である私の味方をしてくれるわけないのに。
「それだけじゃないよ。ギルドだって黙っていない」
シャルの言葉に、宰相が怒声を浴びせる。
「嘘だ、ギルドまで動かすほどの能力があの子供のどこにある?もし本当だとしたら、とっくに私の耳にも噂は流れていたはずだ!あの醜い生き物を浄化する?それだって、あの生き物が現れなきゃ分からなかったことなのに、ギルドが黙っていないなどとうそぶくのもいい加減に」
はい。そうですね。
あー。
小説を書いてると、今まで知らなかったことを知る機会もあるんだけど。
嘘を吐く……「うそをはく」じゃなくて、「うそをつく」って読むんですってね。
うはー。通常は漢字で書かない。けど、ちょこちょこ感じで書いてる人がいて、なろう系読んでる人の何割が「うそをつく」って正しい読み方で読んでるのか。
私みたいに「うそをはく」だと思ってる人がいっぱいいたらさ「うそをはく」という言い方があると勘違いする人も出て来るよね……
(´・ω・`)私、勘違いしかけたもん。と、おバカさをたまには吐露してみる。
あ、ちなみにこの話に「うそぶく」って言葉が出てきたので「うそ」つながりでふと思い出したんです。