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『ガルル』
【おおきに】
おおきい?え?何?
片目をふさぐ。【スキルジャパニーズアイ発動:二重】
【おおきに:ありがとうという意味の京都弁】
京都弁?え?何?
でも、ありがとう?
毒じゃないの?ねぇ、毒じゃない?
サージスさんが首を横に振る。
「毒じゃないか。聖女とやらが使う浄化魔法みたいなもんか?毒なら苦しんで攻撃に転じそうなもんだが、死臭が嘘みたいにいい匂いに変わるな」
くんっと、サージスさんが鼻を鳴らした。
「あー、そうそう、聖水だ。聖水みたいなもんってことだな。おーいガルモ、お前も試してみろよ。こいつら食べ物与えると倒せるぞ」
サージスさんが赤い実をいくつか手に取り、ガルモさんに向かって投げた。
「は?どういうことだ?」
ガルモさんが器用に3つの実をキャッチしてこちらを向いた。
「お、肉がそろそろ焼けたみたいだな。ほら、リオやって見せてやれ」
サージスさんに手渡された肉の刺さった木の棒を受け取り、餓鬼頭さんに差し出す。
「焼きたてで熱いから気を付けて食べてね」
【施餓鬼】
肉が消えてぽんっと餓鬼頭さんが消える。
「ほれ、これ食って消えろ」
サージスさんも手にもった肉を餓鬼頭さんに差し出す。
【鹿肉を焼いたもの:味付けはしてない】
あ、味付け!そうか。確かに塩も山椒も何もつけてない。
餓鬼頭さんがそのままサージスさんの前から動かない。
「ちょ、早く食えって、遠慮すんな、食って浄化されろ、な?」
サージスさんがぐいぐいっと、串の先の肉を餓鬼頭さんの口元に押し付けた。
「あああー、なぜだ、また、俺の酒が飲めないのか状態だ!何が違うんだ、どうしてなんだ、リオ、教えてくれぇ」
教えてくれって言われても……。
分かることは、そうだ。施餓鬼っていう文字が出るか出ないか。
何が違うんだろう?
「分からないです」
勉強不足。スキルの能力も役に立っているようで全然役に立たない。
情けない。でも……。
「あの、サージスさん、浄化できるなら、その、この鬼……餓鬼たちも幸せですか?」
「あ?どうだろうな。闇の支配から解き放たれ、光の輪の中に入るって言われてるし、幸せなんじゃないか?なぁ?」
サージスさんが半信半疑にガルモさんに尋ねる。
「浄化魔法とはそういうものだと言われてるな、確かに。だが……闇の支配ということは、こいつら……餓鬼といったか、どんな闇に支配されてるんだ?」
どんな?
「リオがこいつらは人間のなれの果てって言ったな。誰が人を闇に落としたのか……か。確かに」
「裏で糸を引く者……何か、いや、誰かいるということか?」
何やら二人で考え込み始めた。
裏で糸引く~
そうだよね。突然今までいなかった餓鬼が現れるなら、なにか理由があるよねー。
うーむ。
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