表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

127/209

127

「食べていいよ」

 肉に火が通ったのを確認できたので、餓鬼頭さんたちに声をかける。

【施餓鬼:施食会と呼ばれることもある】

 ああそういえば、ジャパニーズアイの重ねがけがしてるから文字が多いのか。

 ふっと、肉が消え、ぽんっと音がして花のいい匂いとともに餓鬼頭が消えていく。

 もしかして体に戻ったのかな。

 それとも、喜びの表現がぽんっていう音で、ちょっと消えてまた現れている?

 餓鬼頭さんの数が減ることはなく増えて行っている。

 ……えーっと、向こうの方でサージスさんとガルモさんが量産してるから……だよね。

 30、40と……。

「あーっ、やっぱり駄目だぁ、助けてぇ~!」

 思わず声を上げる。

 はっ。しまった。この声でさっきはフェンリルがやってきちゃったんだ。

 どすーん。

 ……背後で音が聞こえる。

 えーっと、これって。

 振り返ると、フェンリルがいた。

『ぐるるるるるー』

【肉だ】

 フェンリルが口にくわえていた大きな鹿をどさりと地面に落とす。

 尻尾が大きく横に揺れている。

【ほめてほめて】

 ん?しっぽにまで文字が見える。

「ありがとう、こんなに大きな鹿、いっぱいお肉がとれて助かります」

【もっともっと】

 しっぽにまた文字が。

 まさか……?

「あの、さすがフェンリルです。こんな大きな鹿をあっという間に持ってこれるなんて、すごいです」

 ぐるんぐるんとしっぽが回る。

【ワンワンワンッ!】

『ぐるる』

【もっと狩ってきてやる】

 あー。えーっと。

「リオっ!」

 ブンッと向こうから剣を思い切り投げつけるサージスさんの姿が見える。

 ぎゅーんと飛んできた剣を、フェンリルは前足の爪先でちょんっと触れ、たたんと駆けだした。

 フェンリルの前足で軌道を変えられた剣が、ブスリと肉にめり込み、そのまま地面に肉を縫い止めた。

「リオ、リオ、大丈夫か!」

 刺さった剣を、鹿から引き抜いて、サージスさんが周りを警戒する。

「一体どういうことだ。またフェンリルが現れるとは……。リオを狙っているのか?」

 うーん、うーん。どうしよう。私が助けてと口にしたから助けに来てくれたと説明すべきか……。

「あの、えーっと、その鹿……」

「鹿?おう、いつの間に、鹿が!ん?あれ?」

 気が付いてなかったの?フェンリルに対して警戒するあまり、他のことが見えてなかった?

 すごい集中力といえばいいのか。

「焼いて、山椒をかけると鹿肉も美味しいと思います」

「ああ、そうだな、って、リオ、今はそれどころじゃないのは分かってるのか?フェンリルだ、フェンリルが出たんだぞ?しかも、どうやらリオを狙っている」

「違うんです、えーっと、たぶん、その……さっきフェンリルが猪の焼いて山椒をかけた肉を食べて立ち去って、その鹿を持ってきたんです」

 嘘は言ってない、何も嘘は……。

 チクチクと隠し事があることに心が痛むけれど、嘘はついてない。


どうも!

餌付けされたフェンリルが、行ったり来たり。

フェンリルのしっぽにまでジャパニーズアイが勝手に言葉をつけ足している。

え?ジャパニーズアイが勝手に動いてんの?


( ゜Д゜)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 火を使ってない?筈なのに身体が消えてる!んじゃないんですかねー? 身体にもあげなきゃ駄目か! [一言] お肉が増えるよ! やっ(略)
[一言] 登場人物が暴走するのは脂が乗って(焼いて・筆が)いい感じ。
[一言] バウリンガルアイ!wwww 今なら更にお得にガキリンガルアイも付いてきます!!(いや、ソレただのマルチ機能w)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ