122
閲覧注意 残虐系?
【鉞担いだガルモさん】
鉞って何?
それはそうと、触れられた武器は使い物にならなくなる……。
収納袋から出そうと持ったけれど……刀は出すのをやめておこう。
それよりも、えっと、逃げる準備しないと。王都にも出てるし、シャルには頼れないし、えーっと、うーんと……。
どこに逃げるの?
ぐつぐつと煮えている大鍋には、まだちゃんこがたくさん入っている。
ガルモさんが仕留めてさばいてくれた肉の塊もまだたくさんある。
「どちらも収納袋に入れるわけにはいかないよねぇ……」
鍋の中身はこぼれるだろうし、肉で袋の中が生臭くなるだろうし……。
放置していくわけにも……。
ふと、フェンリルの姿を思い出す。
よだれをたらして鳥の餌で作った団子をおいしそうに食べてたけれど……お腹空いてるなら、食べないかな?
呼べって言ってたけど、呼んだら来てくれる?
ダメダメ。
首を横にぶんぶんと振る。
フェンリルお現れた!って、またみんなが混乱しちゃうよっ。しかも、前回はキビ団子を作った私のせいだったとしても不可抗力。
もし、呼んでしまえば、不可抗力でも何でもなく、私が皆に迷惑をかけることになる。
ダメダメ!絶対駄目!
死臭がふとまた鼻につく。
「あ、そうだ……餓鬼さーん、まだいますか?ご飯食べませんか?いっぱいあるので、食べてくださいっ!」
流石に捨てるのはもったいなくて無理。精神的に辛いから無理。
本当に危険が迫ってきて逃げなくちゃいけないなら逃げるけれど、周りには危険なモンスターの姿はない。それに、シャルは陛下の護衛だというから無理だろうけれど、サージスさんが比較的近くにいる。呼べばすごいスピードで駆けつけてくれると思う。
腕輪に視線を落とす。
「あ、いた。ほら、食べて。美味しいよ!」
森の木の陰からひょいと餓鬼が顔をのぞかせた。
……。
「うひゃーっ!!!!!!」
次々に、顔が木の陰からのぞく。
って、顔が、顔が、顔だけが、のぞく。
えー、体、体はどこやったの!
モンスターには頭だけに見えるものもあるから不思議ではないけれど。さっきは体あったよね?
『ガガガ』
【お腹すいた】
「あ、はい、どうぞ、食べて」
慌てて木の実の器にちゃんこをよそって地面に置いていく。
『ガグググ』
【ありが……と】
え?
あれ?
お礼?
今、お礼言った?
ふっと、死臭が花の香りに変わる。甘くもきつくもないわけではない、さわやかな花の香。
【蓮の花の香】
蓮?
ぽんっ、ぽんっ、と、まるで何かがはじけるような音がして、餓鬼の頭が消えていく。
10ほどの頭が消えたところで、また死臭が強くなる。
どうも。頭だけの、えーっと、可愛い感じの想像してください。千と千尋とか。
ころんころんぽんぽんと動くよ。地面をずるずる這いずり回らないよ。
さて。トラウマを克服しようと思いまして。
くびちょーんって怖いじゃん。気持ち悪いじゃん。読みたくないじゃん。
を、克服。これで、安心して?心を強くもって、某人気アニメを見ることができ……
ぐはっ。
かわいいものだと思い込むのじゃ。
アンパン○○の頭は、心というか意思は体側で頭は使い捨てだけど、餓鬼は逆ね。
使い捨てられるのは体。
「餓鬼ちゃーん、新しい体よ!」
「あんあーん」(フェンリルの声)
って想像する。
まぁ、パンだからなんだろうけど、頭が使い捨てって怖いよね……とか思うんだけど……(´・ω・`)ホラーよ、ホラー。濡れるたびに、新しい頭。そこら中に散らばる頭。目がこちらを見ている……うひゃー。
とか、今日もどうでもいいことを考え始める。はー、お腹いっぱいになった。