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「おう、これか。これは熊の毛じゃなくて、黒猪だ。普通の猪よりも肉の脂身が甘くてうまいぞ」
そうなんだ。黒猪……。確かに普通の猪と色が違うとは思ったけど、人間も髪の毛の色とかいろいろだからそういうものかと思ってたら。
味が違うの?!
「おお、そうか、えーっと、すまん。リオが襲われているのかと思ったら気が動転して……熊と間違えてしまった。俺はサージスだ。リオのパーティー仲間だ」
サージずさんが剣をおさめる。
「おいどんはガルモ。S級冒険者らしいが、そうか、リオはS級冒険者のパーティーに入っているのか。そりゃ、弱いはずないな」
ガルモさんがニコッと笑って、大きな斧をしまって黒猪の毛皮を地面に広げた。
「ん?リオが弱くない?いや、リオは吸血蝙蝠も倒すことはできないが」
ガルモさんが笑った。
「いやいや、心が強いって話だ。何もモンスターを倒せるだけが強さじゃないだろう?サージス、お前だって、将来は奥さんの尻に敷かれるタイプじゃないか?S級冒険者でも勝てない強い相手っているだろう?」
サージスさんが私の顔を見る。
「そうだな、うん、俺が勝てない強い相手は確かに存在するな。シャルには怒られてばかりだし、リオも、モンスターを倒す以外じゃ俺なんかよりよっぽどすごい」
ガルモさんが笑った。
「リオ、よかったな。ちゃんとモンスターを倒す以外の強さを認めてくれるパーティー仲間がいてくれて」
私の肩をポンッとたたいた。
どうしよう。
嬉しい。
「僕は、その……まだまだ勉強不足で、えっと、頑張らなくちゃいけないことがいっぱいあって、でも、あの、ちゃんと、成長するので」
「そうだぞ、たくさん食って成長しろよ。ほら、焼けたみたいだぞ」
ガルモさんが串にさして焼いた肉を私に差し出した。
「おう、焼けたか!食っていいんだよな?」
サージスさんがガルモさんから串を受け取る。
「ガルモ、もうリオの作った料理は食べたか?」
「ああ、そっちの鍋んなかの食べたが、初めて食べる味だった」
「うまかっただろう、リオはすごいだろ?な?」
「そうだな。うまい料理を作れる人間は尊い存在だ」
「分かるか?リオのすごさが分かるか!」
「ははは、そりゃそうだ。うまい料理を作れるだけじゃなくて、人のためにと動ける人間だ」
「そうなんだ。リオはいいこなんだ。それから、ドロップ品にも詳しいんだぞ」
「そうだな、ギルドで買い取ってもらえなくて困っているときに街の店で買い取ってもらえるとアドバイスももらった」
「うおー、この肉、ピリッとするあれだな、肉の甘味と合うなぁ」
リオ、褒め殺しされ中。
(*'ω'*)ほのぼのぉ
ちょっとずつ自信もってね。
あ、そろそろもう一度言っておくと、まだ、サージスさんと知り合った次の日です。
時間の流れうえぇ