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本当ですかって、本当にこんな大きな鍋いっぱいのちゃんこ鍋を一人で食べてしまえるってこと?
【食べて寝て食べるは、力士の体づくりの基本】
……ジャパニーズアイって不思議だよね。体づくりの基本が食べて寝て食べるなんて面白いことを言う。食べてすぐに寝ちゃ駄目って言うのに。間違ったことも出るのかな?……うーん。謎がさらに深まったよ……。信じていいのか信じては駄目なのか。本当に分からない。
「おっと、なんだなんだ?」
ガルモさんが声を上げる。
「シャル!」
シャルが目の前に現れた。
シャルは、私の顔を見た後、すぐにきょろきょろと周りを見回す。
「ちょっと、リオ、どういうこと?ここどこなの?」
むっとした表情をするシャル。
「えーっと、あそこがサージスさんたちがモンスターと戦っているところです」
と、すぐ前の山の中腹を指さす。
「は?なんで王都にいないの?王都を楽しめって、僕言ったよね?ここ、王都の外だよね?ねぇ?」
あ。
そうだった。
ドロップ品にかかわるの禁止っていうことだけしか覚えてなかった。そういえば、王都を楽しめとも言われたんだ……った。
「おい、突然現れたこいつは、坊主の知り合いか?」
ガルモさんがシャルを指さした。
シャルのこと知らないの?サージスさんとかシャルとかすごく有名だよね?
シャルがガルモさんの顔を見る。
「リオ、お前……知らない人にほいほいとついてきたわけじゃないよね?」
「いや、ガルモさんはえっと」
シャルにガルモさんのことを説明しようとして、頬っぺたをつかまれぶにーっとされる。
「ガルモさん?まさか、名前を知っていれば知っている人だとか言わないよね?ちょっと会って話をしたから知り合いだとか言わないよね?」
え?
あれ?
何度か会って話をして名前も知っていれば知っている人じゃないの?
あ、違うか。私の名前をガルモさんは知らないかも。まだ名乗ってない。
「ごめんシャル。それにガルモさんも……ごめんなさい」
慌てて二人に頭を下げる。
「僕はガルモさんの名前を知っていたけど、僕はまだ名前言ってませんでした。リオっていいます。これで、知り合いですよね?」
びしぃっ。
うおうっ。
久しぶりにシャルのでこピンが飛んできた。
痛い。ううう。
「名前を知ってたからって知り合いじゃないって言ってるでしょっ!あー、もうっ!」
「あははは、確かに、確かにだ!そっちのシャルの言う通りだな。名前を知ってる程度の人間について行っちゃだめだぞ。ああ、それからな、今回はリオがついてきたんじゃない。リオにおいどんがついてきたんだ。そう怒らないでくれ」
シャルの顔が一層怖くなる。
いつもご覧いただきありがとうございます。
いいですか、シャルの言う通りです。
あと、SNSで話をしただけの人と会ってもいけません。
リオみたいになるなよー!!
気を付けてね!
すぐに人を信用しちゃだめぇぇ!