102話
火を通せば、ここまっでねちゃーってしないかな?むしろ鍋全体がねちゃねちゃにならない?
……。
【自然薯:火が通ればホクホクした食感】
鍋にいれた自然薯に文字が浮かぶ。
ねばねばじゃなくほくほく?なら、大丈夫だよね。
えーっとそれから【ゴボウ:ささがきにするとちゃんこ鍋に合う】。
ささがきにする?
ささがきって何?
もういいや。豚汁にしたときは美味しかったし、また木の根っこってばれないように薄く切っておこう。
【しいたけ:石づきをとってちゃんこ鍋に入れる】
石づきをとる?
石づきって何?
えーっと。とりあえず固いところだけ切り落としてあとは大きなものは二つにして、小さなものはそのまま入れちゃえ。
買ってきた野菜は、にんじん。一口大に切って入れる。
キャベツ。適当な大きさに切って入れる。
それから、ガサゴソと宝箱を取り出す。
【合わせ味噌:ちゃんこ鍋にも使える】
ちゃんこ鍋の文字が味噌にも出てきた。
合わせ味噌、前の赤だし味噌よりも色が薄い。味噌は味噌でも違うってことだよね。うーん、どんな味なんだろう。
ちゃんこ鍋って何度も出てきてるし、これを使った方がいいってことだよね?
大きな鍋。どれくらい入れればいいだろうか。ヘラのような形をした木で、宝箱から合わせ味噌をたっぷり救い上げる。
ああ、でも、後でハズレドロップ品の通称「糞」を使ったなんてばれたらやばいんじゃないかな。
……や、やめておこう。
きっと、塩だけでもいろいろな野菜の味が染み出て美味しくなると思うし……。
救い上げた合わせ味噌を宝箱の中に戻そうとしたとき、後方の木が揺れた。
「坊主、モンスターだが冒険者たちが抑えてるから、ここまでは大丈夫そうだ」
ガルモさんが帰ってきた。
まずい、糞、いや、味噌を隠さないとっ!
慌ててしまったため、手元が狂い……。
ぼとん。
木べらに乗せた合わせ味噌を鍋の中に落としてしまった。
や、ら、か、し、たぁーーーっ。
【味噌ちゃんこ鍋:鳥肉のうまみが足りない】
鶏肉のうまみが足りない?
いや、それより、ああ、どうしよう。どうしよう。
「なんか、初めて嗅ぐけどいい匂いだな。こう、魂が揺さぶられるような」
【ごっつぁんです。どすこいどすこい】
【ちゃんこ鍋:力士たちのソウルフード】
ガルモさんに謎文字が浮かび上がる。ちゃんこ鍋にも謎の文字。
力士?
「上でうちもらしたモンスター程度ならば、どうとでもなる。肉の準備も始めるか」
と、ガルモさんが猪をさばきだした。
もう、こうなったら、仕方がない。大丈夫、食べ物だもん。味噌は調味料だもんっ。ば、ばれないようにだけ気を付ければ大丈夫。
ガルモさんが狩った鳥の処理を始める。血抜きをして。
そうだ。
【ショウガ:鶏肉団子に使ってちゃんこ鍋に入れると美味しい】
あー。よくわからないんだよね。鶏肉団子って、鳥の肉で団子を作るってことだよね……。
うぐぐぐ、ぐぐぐ、ぐぐ……