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36.ぼっちダンジョン

感想で色々考えてくれてる人もいるみたいですが、メインヒロインちゃんについてはまだ伏線とか情報とか一切出てません

というかこの作品は伏線がかなり少なくて、過去作でこれより伏線少ない作品となるとおそらく零夜くらいです


ちなみに逆に過去作で一話辺りの伏線の密度が一番濃いのは破壊神(なお8割未回収)、伏線の仕掛けがでかいのがナイトメア(なお……)とラストルーキー(一応回収?)、総数だとやっぱり猫耳猫(完全回収!!)かなって思ってます


「キシャアアアアア!!」


 そんな声を上げ、身体全体を波打たせるようにして全力の移動をする蛇の怪物に、俺は片手を向ける。


「〈氷神覚醒〉!」


 すると、その蛇型のモンスターはそのままの格好で一瞬にして凍りつき、やがて光となって消え去った。


「……はぁ」


 これで、何匹目になるだろう。

 また一匹のモンスターを倒したものの、俺の気分は下がる一方だった。


 それでも、と、一縷の希望を抱いて、ステータスカードを取り出し、覗き込む。



――――――――――――――

【篠塚 風流】


クラス:ブレイバー


LV:15

HP:786/786

MP:1240/1240


STR:502

MAG:901

CON:255

MND:315

SPD:245



【汎用スキル】

剣技  Lv5

炎魔法 Lv6

氷魔法 Lv7

感知  Lv2


【固有スキル】

奇運

超成長

炎陣乱舞

魔纏練装

氷神覚醒

超回復


――――――――――――――



 この一週間ほど、全く変化の見られないステータス画面を見て、ため息をこぼす。


「……やっぱり、このくらいじゃあレベルは上がらないか」


 トライアル不合格の通知を受け、俺は仕方なく、Dランクでも探索可能な低レベルダンジョンをめぐり、冒険者としての実績を積みながら、俺を受け入れてくれるクランを探すことにした。


 しかし、コネもなく、実績も何もない新人冒険者でも入れそうなクランはなかなか見つからず、さらに楽勝と思っていた低層ダンジョンの攻略にも、思わぬ問題が発生した。


 まず、効率が悪い。


 今日俺が潜っているのはランクCのダンジョン〈砂蛇の暗室〉だが、ここは初心者ダンジョンと違ってそれなりに人がいるため、前に使ったような広範囲魔法は使えない。

 さらに言えば、トライアルで使ったような探知魔法もやはり怖くて使っていない。

 力の調節は覚えたので大丈夫だとは思うが、万が一冒険者を巻き込んで怪我でもさせてしまった場合、間違えましたではすまないからだ。


 そしてとにかく、敵が弱い。

 敵の強さが分かるスキルは覚えていないので体感で、だが、勇者時代で言うと、最初の国で訓練のために戦った雑魚と同程度の強さしかない。


 つまり、たまに人里に出現するゴブリンやスライムといったレベルの強さであり、そのせいで、ここのモンスターは俺の姿を見ると「必死で逃げ出す」のだ。


(まったくさぁ。もっとモンスターとしての誇りを持ってほしいぜ)


 さっきの蛇型モンスターも、俺を見た途端に「キシャアアア!」と悲鳴を上げて全身を必死に動かして逃げ始め、もう少しで巣穴に隠れられるところだった。

 このせいでモンスターを狩る手間が増え、ただでさえ悪い効率がもっと悪くなってしまう。


 そうして一番の問題は、それだけ苦労して敵を倒しても、見返りがないことだ。


 通常、モンスターを倒せば経験値とドロップアイテムが手に入る。

 しかしどうやら、俺は〈超成長〉のスキル効果でそこに大きな制限がかかっているらしい。


 経験値についてはこの一週間ほど、毎日のようにダンジョンに潜っているのにレベルが一しか上がらず、ドロップアイテムについては魔石ですら全くと言っていいほどに落ちないのだ。

 まあ、俺のステータスの成長量はかなり大きいらしいし、それが〈超成長〉によるものならこのくらいのデメリットはあってもおかしくないのかもしれない。



 ――それに、その解決法も実は分かっているのだ。



 思えば、俺が最初に倒したモンスター、あの一つ目の巨人も、何もアイテムを落とさなかった。

 つまりドロップアイテムがほとんどない状態が俺の標準ということになるが、一回だけ、例外もあった。


 ……そう、初心者ダンジョン攻略時だ。


 その時と今、何が違うか、というと、答えは一つ。


 ――「パーティ」だ。


 あの時の俺は、ジュンとパーティを組んでいた。

 おそらくだが、他人とパーティを組んでいると、俺のドロップなしのスキルが中和されるか、あるいはパーティメンバーによってドロップ判定が起きるのか、詳しい理屈は分からないが、普通にアイテムを手に入れられるのだ。


(結局は、パーティなんだよなぁ)


 弱いダンジョンならソロでも何とかやれるかとも思ったが、どうやらこの世界はそう甘くもないらしい。


 俺はため息をつくとダンジョンを駆け戻り、見張りの冒険者のチサトさんに軽く挨拶をして自宅に戻りながら、今後の方針を練り直すことを決めたのだった。

次回、拝み倒したら何でもしてくれそうなヒロインランキング、ぶっちぎりのナンバーワンのあの人が再登場です

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― 新着の感想 ―
名乗ったんかチサトさん
[気になる点] 気づいたらいる超回復さんの説明はなしですか?
[良い点] 零夜…?知らない作品ですね…(すっとぼけ)
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