35.驚きの理由
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「なんで、なんでだ……?」
俺が、あの〈羽ばたきの大空〉のトライアルを受けてから、一週間後。
〈羽ばたきの大空〉から、合否結果が書かれた封筒が俺に送られてきた。
ワクワクとして封筒を開いた俺だったが、そこには「不合格」の文字が躍っていたのだ。
正直、不安はあった。
索敵試験では、ちゃんと魔物を捉えようと氷の魔力を練りすぎて、探知魔法でつい魔物を全滅させてしまうアクシデントがあったのだ。
思えば勇者時代の俺は、手加減なんてものはほとんど考えずに戦っていた。
初期の頃は召喚された国の人たちに訓練をされていたが、勇者の力を使いこなせるようになったあとはひたすら魔族との戦いに明け暮れていた。
魔族相手に手加減など考えるはずもなく、常に全力とは言わないまでも、あえて力をセーブするような機会などほとんどなかったのだ。
(とはいえ……)
そのあとで行われた追加試験では、弱い相手にもきちんと手加減が出来ることをアピールすることが出来た。
何とかリカバリー出来たと思っていたのに……。
(そうだ! 落選の理由!)
めずらしいことに、このトライアルでは不採用だった場合、今後の冒険者たちの成長のためにその理由も書いて送るとトライアルの申し込みページにあった。
そんなもの書いたらクレーマー増えそうなのによくやるなぁ、とその時の俺は思っていたが、今はそれがありがたい。
不合格の衝撃が多すぎてほかに何も頭に入っていなかったが、今後の参考にするため、俺は一度は置いたその紙をふたたびつぶさに読み始めた。
やはり、力の調節が出来なかったのが問題だったのだろうか。
俺はそんなことを思いながら落選理由を見た。
だが……。
「な、なんだ、それ……」
そこには俺が想像もしていなかった不合格の理由が、実に簡潔に書かれていたのだった。
篠塚風流 様
結果 : 不合格
理由 : 強すぎるから
ちなみにトラップゾーンはまだ凍ったままです
これでようやくメインヒロインが……




