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24.絶望のトライアル

その、普通にランキングから来てる方がいるっぽいので言っておくと、これエイプリルフール用のネタ小説なんですよね

なんか謎の好評で驚いてます


まあ一話短い分書くのはクッソ楽だし四十一話分の構想あるんで、続き読みたいって言ってもらえるならこっそり更新していくかも?


「も、燃え盛る地獄の業火よ! 焔の球となりて我らが敵を討て! ファイアボール!」


 二十歳前くらいだろうか。

 ファンタジー小説に語られる魔術師のような格好をした青年が、必死に呪文を詠唱する。


 彼の手から放たれた火炎の球は、確かに目標に向かって一直線に飛んでいき、彼の目の前に立つ怪物を直撃する。

 ……が。


「な、なんで! なんで僕のファイアーボールが、効かないんだよ!」


 彼の正面に立つ怪物、溶岩の身体を持つラーヴァゴーレムには、全く効果がない。

 いや、それどころか炎の魔法を受けてその力をますます強め、魔術師の青年に迫っていく。


「も、燃え盛る地獄の業火よ! 焔の……ぁ」


 男はもう一度詠唱しようとしたが、遅かった。

 ラーヴァゴーレムは必死で魔法を唱えようとする青年を哀れな犠牲者に変えるべく、その巨大な拳を振り上げ、そして――



「――それまで! 一次試験、終了!」



 青年の命運が尽きるかと思ったその時、よく通る声がそのトライアル(・・・・・)の終了を告げた。


「戻れ、ラーヴァゴーレム」


 女性の声が響き渡ると同時に魔術師の青年の目の前から溶岩の怪物が消え去り、残された青年はへなへなとその場に崩れ落ちた。


「……チッ、これだから最近の若者は! 不甲斐ねぇったらないぜ!」


 そんな青年の失態を見ていたスキンヘッドの男が苦々しそうに悪態をつく。


 この男は、徳島とくとう

 クラン〈羽ばたきの大空〉の副クランリーダーだ。


 ここは、シンジュクの中堅クラン〈羽ばたきの大空〉が所有する「管理ダンジョン」。

〈羽ばたきの大空〉は国の認可を受け、クランメンバーの育成やクランのトライアルで現実に即した状況を再現するため、攻略済みのダンジョンを管理して使っている。


 今回現れたラーヴァゴーレムもダンジョン本来のものではなく、〈羽ばたきの大空〉が誇る〈召喚士〉が試験用に呼び出したものだった。

 不満たらたらな様子の徳島を、隣にいた召喚士の女性がたしなめた。


「そりゃそうですよ、おやっさん。クランに入ろうって新人相手に、あいつは過剰戦力ですって」


 ラーヴァゴーレムはB級相当のモンスターだ。

 まだどこのクランにも入っていないような冒険者が一人で相手をするには少々厳しすぎる。


 それに……。


「しかもおやっさんが相手が苦手なものばっかり召喚させるから、そりゃ新人じゃ突破出来ませんって」


 物理攻撃が得意な戦士には、物理無効の魔物を。

 今のように火の魔法が得意な魔術師には、火が効かない魔物を。


 徳島の指示で、事前の申告で得意だとされていることを封じるような相手を、それぞれ選んでいた。


 しかし、召喚士の女性の言葉に、徳島は「フン」と鼻を鳴らした。


「オレはな。強さだけを見てるんじゃねえ! ハートを見てるんだよ! それがなんだ、あのていたらくは!」


 徳島とて鬼ではない。

 たとえ敵わなかったとしても、創意工夫を凝らしてあきらめずに戦うのなら、この一次試験は合格としてもいいと考えていた。


 しかし、このトライアルを受ける人間はそのほとんどが自分の得意技に固執して、相性の悪い相手に為す術もなく負ける者ばかりだった。

 徳島は、天を仰ぐ。


「はぁ。これじゃ、今年の新入りには期待できそうにねえな。……ったく、誰か、来ねえかなぁ。オレの度肝を抜いてくれるような、ビッグな新人がよ」


 だが、彼は、彼らは知らない。

 今この瞬間にも、この会場に「とんでもない奴」が近づいていることを、まだ……。

平和なトライアル会場に嵐が迫る!

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成長率底辺のゲームキャラになった主人公が、裏技を使って英雄になっていく話です
主人公じゃない!

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二巻
― 新着の感想 ―
[良い点] 何故か続いていること [気になる点] 中堅クラン〈羽ばたきの大空〉 [一言] お空のスカウトマンさん!
[良い点] 普通に面白いです [一言] 同時連載が厳しいのなら「主人公じゃない!」を完結させた後に書くのも良いかと思います。
[良い点] 俺たちのエイプリルフールは終わんねえ [一言] 止まんねえ限り……道は続く。 だからよ、止まるんじゃねえぞ……
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