19.ドロップアイテム
来世はわんこそばになりたいのでおかわり更新です!
「ま、いいや。気を取り直して、ドロップアイテムを回収するぞ!」
ダンジョンアタックは、魔物を倒しただけでは終わらない。
魔物が落とすドロップアイテム、魔石や素材を回収しなければいけないのだ。
「フールはロストチャイルドだったよな。だったらあんまピンと来ねえかもしれねえが、魔石ってのは今の世界にとっちゃ重要な資源なんだ」
その辺りは、俺も一応調べてはいた。
このダンジョンという奴は、存在するだけで少しずつ世界から「マナ」と呼ばれるエネルギーを奪っているらしい。
ダンジョンによる搾取を受けてしまうと、様々な問題が起こる。
マナがなくなった畑からは作物が育ちにくくなり、木は枯れ、水は濁って飲めなくなる。
その「マナ」をダンジョンから取り戻す方法の一つが、魔物を倒して魔石を回収すること。
魔物を倒して手に入る魔石をそれぞれの場所に設置することで、世界はふたたび恵みを享受することが出来るようになるらしい。
線路にたびたび落ちている小さな魔石を拾いながら、俺はジュンに話しかけた。
「ドロップアイテムってあんまり詳しくないんだけど、魔石のほかに魔物の素材みたいなのも落とすんだよな?」
「んー。基本はそうだな。魔石を落とす率が一番高いし、次に魔物素材。だけど稀に装備品を落とすこともあるし、普通は出てこないレアなモンスターだと、首級みたいなもんを確定で落としたりもするぞ」
「しゅきゅう?」
「首だよ首。すげえ獲物を倒した証明に、ってことだろうな」
「うわ、悪趣味」
「アタシもそう思うけどさ。そうなってんだからしょうがねーだろ」
トロフィー代わりってことなんだろうか。
そのセンスには、ちょっとついていけそうにない。
「ちっ! ただ魔石拾うだけってのも退屈だな」
もはやモンスターがいないと分かっているダンジョンだ。
流石のベテラン冒険者のジュンも、特に警戒した様子もなくずんずんと進んでいく。
退屈ながらも和やかなダンジョン探索。
それが終わりを告げたのは、ダンジョンを歩き続けて十分ほどが経った時だった。