表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/89

17.vsゴブリンズ

前回も短かったのでさらにもう一話です

 どこまでも先の見えない、地下鉄の線路。

 そして、こちらに向かってくる、三匹のゴブリン。


(本当なら、最初は適当に能力の使い勝手を見るつもりだったんだけど……)


 ジュンにここまで言われたら、中途半端なことは出来ない。


「最初から、出し惜しみはなしだ! 〈氷神覚醒〉!!」


 身体の奥から氷の力が練り込まれ、あふれて噴出する。

 その勢いにゴブリンが思わず足を止め、


「こ、れが、フールの力……」


 後ろでジュンが息をのむ気配が伝わってくるが、今は気にしない。


 ここまでの準備期間で、今のこの氷の力で何が出来るかは、しっかりと把握している。

 だから今は、それを発現させるだけ。




「――〈氷嵐〉!!」




 叫びと共に、腕を振る。

 振り切った腕から飛び出したのは、氷の波動。


 生み出された波動は瞬きの間にゴブリンたちの下に到達し、凍結させ、凍りついたその次の瞬間には粉々に打ち砕いた。


 それが光の粒に変わるよりも早く、ゴブリンの残骸はダイヤモンドダストとなって空気に溶けた。

 氷の波動はそのまま底なしの闇へと抜け、あとに残ったのはただ、静寂だけ。


「すっ、げ……」


 その静寂の中で、ぽつりとこぼされたジュンのつぶやきが、妙に耳に残った。


「あ、ち、ちがっ! 今のはぽろっと出ただけで、っていうか……」


 俺がちらりと振り返ると、ジュンはバタバタと手を振って、一人で怒り出した。


「あ、あのなぁ! 暴れてこいとは言ったけど、やりすぎだ!」

「いや、でも……」

「でも、じゃない! そりゃ、初ダンジョンでついやりすぎちまう気持ちは分かるよ。アタシもそうだったし。だけどな! 魔法使いにとって、MPの管理ってのは一番って言っていいくらい重要なんだ! たかが三匹のゴブリン程度にあんな魔法を使ってるようじゃ、この先……」

「いや、だから――」


 しきりに訴えかけるジュンを手で制して、俺は言った。


「――今の技、あのゴブリンたちだけに撃ったんじゃないんで」

「……へ?」


 きょとん、とした顔で止まるジュン。

 そこで、俺とジュンのカードに同時にメッセージが入った。


 ステータスカードは、告げる。




「「ダンジョンのボスモンスターの討伐を確認しました」」

「「ダンジョンの全モンスターの討伐を確認しました」」




 その通知に、俺はホッと胸をなでおろす。

 あまり自信はなかったのだが、どうやらさっきの魔法でダンジョンごと掃除することが出来たようだ。


「へ、ぜんめ……は? はぁあああああああああああああ!?」


 こうして……。

 ジュンの悲鳴のような絶叫が響く中、俺の初めてのダンジョン攻略は、ダンジョンに入って数歩のところで終わりを告げたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
成長率底辺のゲームキャラになった主人公が、裏技を使って英雄になっていく話です
主人公じゃない!

書籍二巻、コミック二巻ともに発売中!
二巻
― 新着の感想 ―
[良い点] ウスバーさんの持ち味の片鱗を感じるw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ