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14.侵略者

特に理由はないけど連続更新です!

 太陽よりも大きく、空の四分の一ほどを支配するその巨大な目玉。


 ――「それ」を見てまず思ったのは、「勝てない」ということだった。


 あいつは間違いなく、ネクストマーチの魔王よりも強い。

 全盛期の俺でも、どうやったって勝つことは出来ないだろう。


 もしも、あいつに勝つとしたら、仲間がいる。

 俺と同じくらいの力の持ち主が、三人集まって完璧に連携すれば、あるいは……。


「へへ。期待の新人さんもすっかりビビっちまったか? ほら、しゃんとしろよな。背中さすってやろうか、ん?」


 しばらく黙って空を眺めていると、煽るような口調でジュンが絡んできた。


 ただ、その口調とは裏腹に、その視線はずいぶんと気づかわしげだ。

 思いがけない繊細な手つきで、本当に俺の背中をさすっていた。


「すみません。どうやったら、あいつを倒せるかと考えてしまって」

「そ、そうか。つ、強がりでもそれだけ言えるなら、大丈夫そうだな」


 ジュンは少し引いたように顔をひきつらせたが、すぐに思い直して逆にグッと顔を近づけてくる。


「あと敬語! 戻ってるぞ!」

「あ、すみませ……ごめん」

「よし!」


 俺の言葉に、ジュンはふたたびニカッと笑ったあと、


「初陣前に水差すようなこと言っちまって悪かったな! 目的のダンジョンはもうすぐそこだ! 行こうぜ!」


 湿っぽくなった雰囲気を散らすように大きく手を振って、大股で歩き始めた。

 俺はそんな彼女の背中をほほえましく眺めながらも、最後にもう一度だけ、空を見上げた。


 ――天よりこちらを見下ろす、巨大な目玉。


 あれがこの世界を歪めた「侵略者」だというのなら……。

 もしあれを倒すことが出来れば、俺は元の世界に戻れるのだろうか。


(――いつか、必ず)


 俺は密かに決意を固めると、「おーい早くしろよ! 置いてっちまうぞ!」と手を振るジュンのもとに向かって、小走りで駆けていったのだった。


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