13.ジュンの教え
新章突入ボーナス三つ目です!
「設定からいじれる通知にも結構便利なもんも多いんだぜ。悪いこと言わないからダンジョン潜る時は『ボス撃破通知』と『敵全滅通知』と『宝全回収通知』はオンにしとけ。ほかの冒険者が潜ってる時なんかだと、もう探索するものないのに無駄にさまよってたりするからな」
「な、なるほど……」
最初の不機嫌はどこへやら、饒舌にカードの機能について解説し続けてくれる追立さんに、俺は相槌を打つことしか出来なかった。
「ほかにも便利な機能はあるが……まあ、これ以上は好みの問題もあるからな。初めのうちはこれだけでいいだろ」
そう言ってカードを放り返してきた追立さんに、俺はあらためて頭を下げた。
「追立さん、ありがとうございました。ステータスカードって、ただステータスを見るだけじゃないんですね」
「あのなぁ。このステータスカードってのは、『システム』の野郎がアタシらをダンジョン攻略に駆り立てるために作った最高のツールなんだぜ。こいつは人類に最適化して、今も進化を続けてやがるんだ。カードの新機能は常に追っかけるようにしとけよな」
追立さんはそこまでまくし立てたあと、めんどくさそうに頭をかいた。
「それと、な。お前一応同業で、俺よりも年上だろ。敬語なんて使わなくていい」
「え、でも……」
「そんな言葉づかいされると背筋がゾクゾクすんだよ! あと、名前もジュンでいい! というか、そうしろ! これ命令な」
どうやら、本気で嫌がっているらしい。
「分かったよ、ジュンさん」
「ジュンさん、じゃねえ! ジュン、だ」
「……分かったよ、ジュン」
俺がそう言うと、ジュンさん……ジュンは嬉しそうにニカッと笑った。
そして、その笑顔を崩さないままで、指を前に突き出した。
「そういやそろそろだぞ。ダンジョン区」
「え……」
彼女の言葉が終わるか終わらないかのうちに、場の空気が変わる。
一歩前と今の場所に、目に見えるような変化はない。
しかし、明確に場の雰囲気が変わっていた。
「それだけ何にも知らねえんだったら、もしかして『侵略者』も見たことなかったりするか?」
目を細める俺の前に回り込むと、ジュンはニヒヒ、と楽しそうに笑って頭上を指さした。
「ほら、上、見てみな?」
「上?」
釣られて、俺は視線を上に向け、そして絶句した。
ジュンが天に伸ばした指の、その先。
そこには、天を埋め尽くすかのような巨大な目玉が一つ、ギョロリと俺たちを見下ろしていたのだから。




