第1部 アメリカでまさかの反応
終業式が終わりタクシーで帰って俺は着替えて用意を持って家の前で待たせていたタクシーで空港に向かっている。
サングラスをしてウィッグを外しているから誰にも気付かれないだろう。
そして空港について少し待って居るときに雫から電話がきた。
『月夜、今どこなの?』
「空港だが、なにかあったのか?」
『えっ!?もしかしてそれで逃げるように帰ったの?』
「そうだぞ。俺には仕事があるからな。ゆっくりはしてられなかった」
『皆気にしてるよ』
「それはすまなかった。と言うかスピーカーにしてないか?」
『バレちゃった?』
「あぁ。音でわかった。みんな、居るなら聞いてくれ。すまなかった。俺には俺の都合があったので帰らせてもらった」
そう言うと返事が返ってきた。
『後どれくらい居るの?』
「7分ってところかな」
『じゃあギリギリだったんじゃない?』
「学校からタクシーだったから何とかなった」
『お土産よろしくね』
「遊んでる暇があればな。なかったら帰ってきてから空港で買うことにしよう」
『それって日本じゃない』
「バレたか」
『じゃあお仕事頑張ってね』
「あぁ。行ってくる。皆も良い夏休みを過ごしてくれ」
俺はそう言って電話を切り飛行機に乗った。
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そして飛行機から降りて
『つっくーん♪こっちよー』
「母さん。相変わらず若々しいね」
『ありがとう。と言うか眼鏡はしてないの?』
「あぁ。悩みもなくなったからな。学生生活も本気で悪くないと思ったよ」
『確かにあの眼鏡を外せるくらいの理由が学生生活であったならそれは良いことね』
「まぁ外ではサングラスはつけるけどね」
『それでも良いのよ。さぁ行きましょう』
俺と母さんはそう言ってある場所に寄ってから撮影現場まで向かった。
俺はサングラスからお面に付け替えている。
『そう言えば曲は出来てるの?』
「大体はね。後はどんな話なのか監督さんと脚本の人に話をしてもらって決めるさ」
『そうなの。大体のあらすじからある程度は作ったのよね?』
「あぁ。曲名は………」
『とても良いと思うわよ。早く聴きたいわ』
「あぁ。良いよ。国際免許証も取れたことだしね」
『そんなのどうするの?』
「こっちでもバイクに乗るためにね」
『そんなにバイクって良いもの?』
「俺が自分で移動できる最速の乗り物ってところは良いかな」
『そうなの。じゃあ歌って』
「まだ、未完成だけど歌うね」
俺は母さんの運転する隣で歌った。
母さんは感動していた。
『凄い良いわ。まだ未完成って所が残念だけど音は出来てるのね』
「あぁ。後はもう少し詞を考えたくてね」
『楽しみだわ。私のカッコいい所も見せれるし最高ね』
そう話て学生生活や家族の事や仕事の事を話し合っている内に現場に着いた。
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現場に着くと俺は母さんと一緒に監督さんの所に向かった。
『ヘイ!リサ!お迎えご苦労』
『ジョージ。連れてきたわよ。この子が私の子どもで名前は…』
「モミジ・ハルノの名前で芸能活動をしている。ツキヨ・カグラです。よろしくお願いいたします」
『オー!ミステリアスだね。仮面をつけているから女の子かと思ったよ。声も高いしね』
「よく、間違えられます。仮面を取っても間違われますからね」
『そうなのかい?それは良い。仮面を付けたままで良いから少し映画に出てみないか?』
「一度事務所に確認を取っても良いですか?」
『もちろんさ』
俺は連絡したらすぐOKが出た。
『よし!じゃあよろしくね。コイツは脚本家のジョニーだ。ジョニー!リサの子どもがやって来たぞ!仮面を付けてるから女の子見えるだろ?』
『オー!ビューティー!!最高だな!ジョージ!俺の名前はジョニーだ。リサの子どもは、ほんとに男なのかい?』
『本当よ。それに脱いだら凄いのよ♪』
「初めまして。俺はモミジ・ハルノの名前で芸能活動をしている。ツキヨ・カグラです」
『よろしく!とりあえず台本を渡しておこう。ちゃんと覚えるんだぞ?今日の夜は歓迎パーティーだ!』
そう言われ俺は台本を手にいれた。
そして自分のとわかるようにサインした。
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俺は歓迎パーティーで色々挨拶された。
『初めまして。リサの息子くん。本当に女の子みたいだね。俺の名前はロンド・ルーカス。この映画の主役さ』
と言いながら握手してくれた。
人気の映画俳優だ。しかもとてつもないイケメンだ。
『私はキャロル・シャーリー。衣装担当よ。貴方細いのに凄い筋肉してるわね。とても綺麗な筋肉してるわ』
と言って色々触られている。
筋肉だけはよく褒められるんだよな。
『シャーロット・グレンジャーよ。ツキヨ。久しぶりね。とても大きくなってビックリしているわ。一応仕事だからこれからはモミジって呼ぶわね』
と言ってシャロさんがハグしてきた。
シャロさんは昔お母さんと一緒に遊びに来てくれた事があるから知っているのだ。
『私はシェリー・スカーレットよ。やっと歳の近い子が入ってきて嬉しいわ。よろしくね』
と言ってきたのは俺の2歳歳上シェリーだ。
『シャロはモミジの事を知ってるのかい?』
『昔ね、リサと日本に遊びに行った時によく、一緒にいたのよ。まるで天使だったわ。写真ならリサが持ってるわよ』
『なにそれ?見たい見たい!』
とロンドさん・シャロさん・シェリーが話していた。
キャロさんは俺の身体を弄るだけ弄ってどこかに行った。
俺とロンドさんとシャロさんとシェリーで話していると母さんがやって来て
『あら、モミジ。もぉ仲良くなったのね?シャロ貴方はきっと言うと思ったから持ってきたわよ』
『これは確かに天使だ』
『ほんと可愛いわ~』
『キャー!なにこれ可愛い』
「ってお母さん!なんで着ぐるみのやつまで見せてるの!捨てたって言ってましたよね?」
そしてパーティーが終わり、軽く打ち合わせをしたいと言うことで、お母さん・ジョニー・ジョージ・ロンド・シャロ・シェリー・キャロ・俺で打ち合わせをした。
衣装はどうだ?
台詞は?
立ち回りは?
アクションは?
色々やった。
そしてカメラが回って居ないから俺は仮面を外した。
するとロンドさんが
『モミジはとても綺麗だね。男なのが残念だよ』
シャロさんが
『とても綺麗になったわね。男とか女とかそんなの関係なく美しいわ』
シェリーが
『私の妹になって!いや、弟になって!』
そして母さんが
『ロンド、男だからこそ美しく見えるのよ。シャロはわかってるわね。シェリーは興奮しないの!モミジが弟になるって事は貴方は私の娘になると言うことなのよ?私にはモミジ以外に後四人子どもがいるよいいの?』
などと話していた。
そしてその日が終わった。
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次の日俺は撮影をしていた。
浴衣に似た衣装を身に纏い、アクションシーンを撮っていた。
そして撮影が終わり。
『モミジ。パーフェクトだ!とても素晴らしかったよ。台詞も覚えてるし演技も出来てる。言うこと無しだよ』
「ありがとうございます監督。次はどうすれば?」
『次はあそこのスタジオで君が作った歌を歌ってほしい。台本を見てジョニーから話を聞いていたしある程度は出来てるんだろ?』
「はい。昨日の内に仕上げましたよ」
『なら、行ってくれ!最高の歌を楽しみにしている』
俺は監督にそう言われ、レコーディングスタジオの中に入った。
そしてレコーディングが始まった。
最初は音源を全て自分で演奏してそこからプログラミングして音源を作り上げた。
それだけで三時間かかっていた。
それから俺は心を込めて歌った。
歌いながら演じるように丁寧に歌ってく。
そしてレコーディングを一度終わらせた。
確認してもらうために監督さん・脚本家さん・ロンド・お母さん・シャロさん・シェリーに来てもらったのだ。
曲を流し終わると皆が泣いていた。
しかも号泣だ。
そこまで泣かれると俺も辛いぞ。
泣くほどダメだったのか?
どこがダメだったのか自分ではわからない。
だから俺は何がダメだったのか聞いてみた。
「あの…。そこまでダメでしたか?」
『えっ?』
「皆、黙って泣いてるだけだしなにかダメだったんでしょ?言ってください。直しますから」
『いや、ダメじゃないんだよ。むしろ最高すぎて泣いてたんだ』
「最高すぎて?」
『あぁ。君の歌はリサに聞いて知っていたがこれは期待以上だった。素晴らしすぎて声が出なかっただけだよ。なぁジョニー!』
『あぁ。俺が描いてた以上の作品になりそうだよ。モミジ。ありがとう』
俺は監督さんと脚本家さんのお墨付きをもらった。
『モミジ。私、感動しまくったわ』
『そうだぞ。モミジ。しかもあの演奏もクールだった』
『あの音源はどこから持ってきたの?』
『もしかして自分で作ったの?ほら、あそこに楽器が並んでるし』
「お母さん。ありがとう。それともシェリーが言ったようにここで作ったよ。元々音源は作ってたんだけど、少しアレンジしたんだ。脚本や脚本家さんの話を聞いて今日自分で演技してみてね」
『あれからしてたの?』
『モミジ。君はあんなにハードだっただろ?』
『モミジ。無理はダメなのよ』
『そうよ。手伝わしてくれても良いじゃない』
「ありがとう。あれがハードだと知らなかったんだ。心配をかけてごめんなさい」
『謝らないで』
『頭をあげてくれよ』
『大丈夫だからね』
『あれがハードじゃないって一体どんなトレーニングしてるの?』
「ありがとう。いつもは180キロの重りを付けて5キロ走って、15キロ泳いでるよ。山とかに行ったらそのまま登ってるかな」
『そんなことしてたの?』
『スーパーマンだね』
『そんなに細いのに体力ある理由がわかったわ』
『って事はモミジ。貴方は今なんキロなの?』
「俺かい?俺は93キロだよ」
『その身長で93は太り過ぎよ』
『いや、リサ太ってないよ。服の上からだと細く見えるし』
『確かに細いけど触ったら凄い筋肉よ』
『モミジは人間の神秘ね』
とお母さん・ロンド・シャロさん・シェリー・俺の順番で話してその日が終わった。
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次の日の撮影は皆、昨日以上に本気で演じているように見えた。
俺も負けじと演技してみる。
まぁ俺に演技の方法なんてわからないから勘でやってるのだがOKを貰ってるからとりあえずこれで良いのだろう。
「ねぇ母さんお願いがあるんだけど…」
『なあに?モミジからのお願いって?』
「俺の演技指導してくれない」
『えっ?モミジの演技指導?どうして?なにか言われたの?』
「逆だよ。何も言われなさすぎて不安なんだ」
『何も言われないって事は出来てるんじゃないの?』
「確かに出来てるんだろうけど、明後日のこのシーンとここと、ここのシーンは絶対に今のままじゃダメな気がするんだ!だから暇な時で良いから教えて」
俺はそう言って頭を下げた。
『わかったわ。教えてあげる』
「本当?」
『えぇ。それにそこの3人にも手伝って貰うわよ』
お母さんがそう言って現れたのは、ロンドさん・シャロさん・シェリーだった。
『モミジが何か閃いたんだろ?面白そうだし付き合うよ』
『壁にぶち当たったのね。俳優でもないのにそんなに真剣に取り組んでくれるなんて嬉しいわ』
『モミジの熱意が凄いわ。私も負けてられない』
「皆、ありがとう」
俺はそれからほ本気で演技の勉強をするのだった。