第1部 眼鏡の理由
そして一学期最後の日がやって来た。
俺はいつも通り学校に来てイヤホンをつけようとしたらクラスメイトに声をかけられた。
『ねぇ神楽くん聞きたい事があるんだけどいい?』
「なんですか?大崎さん」
『神楽くんって松下さんと付き合ってるの?』
「いえ。付き合っては居ないですよ。何故ですか?」
『最近とても仲良く見えたから皆気にしてるのよ』
「そういうことですか。最近良く生徒会室に呼ばれるので仲良くなっただけですよ」
俺がそう言うと皆が安心したように笑っていた。
まぁ生徒会役員は皆好かれて居るからな仕方ないか。
そして雫が教室に入ってきて
『おはよう月夜』
「おはよう雫」
『珍しいわね月夜がイヤホンをしてないなんて』
「大崎さんに話しかけられたからね」
『珍しい事もあるものね』
「あぁ。俺もビックリした」
俺はそう言うとイヤホンをつけようとして雫に止められた。
『なんでイヤホンをつけようとするの?』
「話も終わったしジャズでも聴こうかと…」
『終わってないわよ。さぁいっぱいお話ししましょう。なんなら…光希・佑香・梓・優子、一緒に話さない?』
と雫は大崎さん・北村さん・田村さん・村上さんを呼んだ。
雫の仲の良いメンバーだ。
『えっ?いいの?』
『良いわよ』
『じゃあ興味もあったし話そうかな』
『興味あったの?』
『それは皆あるでしょ』
大崎さん・雫・北村さん・田村さん・村上さんの順番で話始めた。
大崎さん。『へぇ。それで仲良くなったんだ』
雫。『そうなのよ。桜さんが興味を持つのがわかったわ』
北村さん。『なんでなの?』
雫。『ほら、この前の集会の事を覚えてる?』
田村さん。『あの、体育祭と文化祭の話?』
雫。『えぇ。あれを見つけたのが月夜よ』
村上さん。『そうなの?』
田村さん。『すごーい』
北村さん。『神楽くんって頭良いんだね』
雫。『しかもその次の日に先生達と生徒会役員と理事の人達で会議があったんだけど、私たちも先生達もビビっちゃって一言も喋れなかったの』
大崎さん。『それで?』
雫。『その時に月夜が意見を言ってその場を納めて話を終わらせたのよ』
大崎さん。『良くそんな状況で話せたよね』
北村さん。『自分の一言で状況が変わるかも知れないのに』
田村さん。『私なら怖くて無理よ』
村上さん。『誰だって無理でしょ』
皆がそんな事を言っていたので俺は
「あの時はお父さんから話を振られたので打開策を言っただけですよ。それに一旦家に帰ってたので我が儘を学校側に聞いて貰いましたし仮を返すためにも納得のいく方法で案を出しました。それにあの集会で殆どの生徒が賛成してくれたから出来たんですしね」
そう言うと皆が驚いた様に
『神楽くんってお金持ちなの?』
『神楽くんが長々と喋ったわ』
『神楽くんって声が綺麗なのね』
『神楽くんってその状況でそんなに頭が回るのね』
と大崎さん・田村さん・北村さん・村上さんの順番で喋った。
『そう言えばなんでいつもその眼鏡してるの?だてだよね?』
「俺はクオーターなんですけど色んな血が入っていて目の色が可笑しいんですよ」
と北村さんに聞かれて答えた。
『どんな色なの?』
「赤ですよ」
と村上さんから聞いて答えると
『って事はヨーロッパ系の血が多いんだね』
と大崎さんに言われた。
「何故?ヨーロッパ系の血が多いとわかったんですか?」
『私のお父さんが眼科の教授なのよ。それでクオーターで赤色はヨーロッパ系が多いって聞いたことがあるわ。世界には紫色の眼をもつ人も居るみたいだしね。その人達はヨーロッパ系とアフリカや南米の血が混ざってるって聞いたわ』
と答えてくれた。
俺はふいに涙を流してしまった。
すると皆が騒ぐように慌てた。
『どうしたの?』
『なんで泣いてるの?』
『光希が泣かせたのよ』
『でも神楽くんから聞いてきたのよ?』
『神楽くん大丈夫?』
「すいません。赤色の眼でこれまで魔王やら悪魔やら言われて虐げられて来たのに理由がわからずずっと探していたのですがまさかこんな所で理由がわかって嬉しくて涙を流してしまいました。大崎さん。ありがとうございます」
そう言うと大崎さんは照れていた。
そしてチャイムがなった。
そして雫に
『皆と話して良かったでしょ?』
「えぇ。これも雫のお陰です。ありがとう」
俺はそう言って眼鏡を外した。
「さぁ雫。体育館に行きましょう。病気でも呪いでも無いんです。眼鏡はもお要りません」
俺がそう言うと雫と大崎さん・北村さん・田村さん・村上さんは顔を赤くしてした。
北村さんがトイレに行きたいと言うので俺は一人で体育館に向かった。
そして集会が始まった。
♂・・・・・・・・※・・・・・・・・♀
side雫
私はさっき凄いものを見てしまった。
月夜が眼鏡を外して微笑んだのだ。
あれを見た時、私と・光希・佑香・梓・優子は時が止まった感覚を覚えた。
月夜はイヤホンをしながら体育館に向かっている。
すると、佑香がトイレに行きたいと言うので月夜は先に行ってしまった。
『神楽くんって超絶イケメンじゃない!』
『雫は知ってたの?』
『雫は知ってたから仲良くなったのね?』
『イケメンって言うより美しかったわ』
と光希・梓・優子・佑香が行ってきた。
「月夜は自分の目の色を気にして眼鏡を取っただけでブチキレてたから話せなかったのよ」
『それでも自分から眼鏡を取った…』
『光希のおかげでね』
『光希のお父さんナイス』
『あの時、話を振った私ナイス』
「まぁあの眼のせいで昔、殺されかけていたらしいし、光希には本当に感謝しているわ」
『眼を色だけで殺されかけてたの?』
『神秘的だったものね』
『違うわよ。さっき魔王やら悪魔って言ってたからそれよ』
『しかも神楽くんって運動神経良いし頭も良いらしいから余計よね』
「そう。だから話せなかったの。この前の月夜が昼からサボったでしょ?あの時、ブチキレてたわ」
『あの時、だから来なかったのか』
『あれ?でもあの時、雫は心配して電話かけてたよね?』
『って事は雫は関係ないんじゃない?』
『違うわよ。そんな過去を持ってたら、気が動転してるだろうし、雫の言葉で神楽くんがキレたのよ』
「佑香の言う通りよ。それで私は夜に謝って許してもらったわ。月夜の眼鏡を取った雪さんも次の日に許してもらっていたわ」
私たちは光希・梓・優子・佑香・私の順番で話していた。
そして集会が始まったので私は生徒会役員の集まりの場所へ行ったわ。
「雪さん。とうとう月夜が自分から眼鏡を外しましたよ」
『えっ!?本当なの?』
「えぇ。私の友達が目の色の事を話したら泣いて喜んで外しました……ほら、あそこに居ます」
『本当ね。とても美しいわ。でも泣いて喜ぶって?』
「私の友達のお父さんが眼科の教授らしくて目の色の事を話したんです。そしたら月夜が病気でも呪いでもないって言いながら泣いてたんです。いきなり泣くからこっちは焦りましたけどね」
『それは驚くわね。でも良かったわ。悩みが解決出来て』
「雪さんは無理矢理し過ぎなんですよ。悩んでるのがわかっていても、人の事情を調べてからじゃないと今回みたいに後悔しますよ」
『それは今回でよく、わかったわ』
「それは良かったです。それに私や友達は良いものを見れましたしね」
『月くんの泣き顔?』
「いいえ。泣いてる時は眼鏡をしていましたよ。それより泣いた後のうるうるした眼で微笑んでくれたんですよ。今でも思い出すと顔が『赤くなってるわね。いいなー。雫ちゃんばっかり』そんな事言わないでください。まぁ私は席が隣と言う最高の場所に居ますからね」
私と雪さんはそんな事を話ながら集会の時間を月夜を見て時間を潰した。
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side月夜
眼鏡外してからやけに視線がこっちに向いてくる。
集会が終ってから皆が気付き始めた。校長先生なんかも驚いている。
そして校長先生は
『ようやく外せる理由が見つかったの?』
「えぇ。雫と大崎さんのお陰ですね。」
『理由を聞いても?』
「俺の目の色が赤だと行ったら、大崎さんが俺の血がヨーロッパ系の血が多いと当てましてね。それで理由を聞いたら大崎さんのお父君は眼科の教授らしくて理由を聞いてたらしいんですよ。それで病気でも呪いでもないってわかったから外したんです」
『そうなの。良かったわね』
「はい。とても感謝しています」
そう言って俺は教室に戻った。
教室に戻ると色んな人に話を聞かれた。
何故眼鏡を外したのか。
何故目の色が赤のか。
恋人は居るのか。
とか騒いでいて煩いと思った。
そして先生が俺の事を話して、皆が同情の眼でこっちを見てきた。
泣いているクラスメイトも居た。
そして学校も終わり、夏休みの予定を聞かれたがアメリカに行くと行ったら、また騒がれた。
もおこの歳になるとカラコンがあったりするので虐めもない。
逆に羨ましがられる。
俺はそんな状況の中家に帰った。