第1部 1日オフな休日
俺は1日オフな日がやって来た。
久々にオフなのだ。
学校も仕事もない日なんて最近無かったからな。
とりあえず、掃除をして洗濯して買い物に行こう。
一人暮らしをしているからこそこう言う家事は自分でしなくてはならないのだ。
俺は布団を干して、掃除をしてビックスクーターでスーパーに向かった。
俺は食材を買って家に帰った。
ある程度家事を終えて暇になってしまった。
布団は夕方か夜に戻せば良いとしてやることがないな。
毎日掃除はしてるから中々汚れないしな。
実家に住んでた時は色々やってたのが懐かしい。
仕方ない。ゲーセンにでも行くか。
俺はバイクでゲーセンに向かった。
俺はバイクを二台持っているのだ。
買い物用にビックスクーターを使い。
移動用にハーレーを乗っている。
深緑色のハーレーだ。決してピンクではない。
俺はゲーセンの駐車場に着くと眼鏡を付けてゲーセンの中に入った。
・・・・・・・・※・・・・・・・・
俺はとりあえず音ゲーと呼ばれるゲームをしていた。
肩慣らしに丁度良いのだ。
身体が暖まってきた所でガンゲーと呼ばれるゲームをする。
俺は昔から1コインでこれを最後までクリア出来る才能があるのだ。
無駄な才能である。
そして格ゲーと呼ばれるゲームをする。
そしてなぜか今日は店内対戦を挑まれた。
珍しい事もあるものだ。
だがこの相手は弱いな。
そう思って勝ったらまた挑まれた。
そしてそのあともずっと挑まれ続けた。
流石に19回も同じ相手とするつもりはないから俺は適当にゲームをしてソッと機体から離れた。
そして俺はレーシングゲームをやっていた。
レーシングゲームが終わるとなぜか生徒会会計さんが立っていた。
『なぜ、先程逃げた?』
「逃げた?何の話ですか?」
『逃げたではないか』
「意味がわかりませんよ」
『さっき格ゲーしていたらいきなり消えただろって言ってるんだ!』
あっ!あの弱い人は会計さんだったのか。
「あれは会計さんだったんですか。ずっと同じ人が挑んで来るので面倒になっちゃって他のゲームをしました」
『私はあのゲームで負けたことがなかったのだぞ。それなのに知ってる顔を見つけたから勝ってビックリさせてやろうと思ったらめちゃくちゃ強いし勝手に消えるしどういうつもりだ』
「どういうつもりだと言われましても久々にあのゲームやったら意外に勝っちゃいました」
『久々だと?今度新しいのが出るからそしたらまた勝負してくれ』
「わかりました。でも今度は五回だけしかやりませんよ。流石に19回同じ人と戦うのは嫌なので」
『数えてたのか?』
「えぇ。暇潰しとはいえ、あれだけ挑んで来るのですからね」
『まぁ。次は勝つ』
「そうですか。頑張ってください」
『余裕なのだな。まぁ良い。私の名前は西田光だ。光と呼べ。私は月夜と呼ぶからな』
「わかりましたよ。光先輩」
『あと、これが私の連絡先だ。これで暇なときはゲームを誘える』
「わかりました。これで次は簡単に誘えますね」
『それじゃ!またな。私は修行してくる』
そう言って光先輩は格ゲーの台に戻った。
・・・・・・・・※・・・・・・・・
そろそろ帰るか。俺は眼鏡を外してヘルメットを被る。
そして帰っていると公園から誰かが飛び出してきた。
俺はすかさずブレーキをして、エンジンを停め鍵を抜いてその子に近づくと雫だった。
『おいおい!にぃちゃん。その子は俺達が先に声かけたんだ。下がってな』
『そうだぜ!せっかくこれから楽しもうとしてるのにお前みたいな奴が居たら楽しめねーからな』
『もし、居たかったら金でも払うんだな』
俺は雫の方を見てみると震えているのがわかった。
流石に知り合いをこのまま放置するのは良くないと思い、俺は男三人に向かって行った。
結果は俺の圧勝だった。
まさか蹴りだけで三人倒せるとは思わなかった。
少しは連携するなりなんなりしろよ。
歯応えがない。
俺は男三人をほったらかして雫をベンチで座らせて、バイクを移動させた。
「大丈夫だったか?」
俺はそう言って雫の好きなジュースを渡す。
『月夜だったの?さっきのバイクの人は?』
「そうだぞ。いきなり飛び出して来るから引きかけてすまんな」
『助けてくれたし全然良いよ』
「そうか。落ち着いたら送ってやるよ。まぁほんとは1年経たなきゃ二人乗りはダメだがこんな状態の女の子を一人では帰せないしな」
俺はそう言って雫を後ろに乗せて雫の家まで送り届けた。
そして帰宅すると布団が良い匂いになっていた。
俺は布団を叩き、ベッドの上においてジムに向かった。
・・・・・・・・※・・・・・・・・
ジムでいつもの用に走っていると雪先輩が居た。
雪先輩は気付いてないらしい。
俺はまだメニューが残ってるからそれをこなして行った。
俺はシャワーを浴びてサウナから出てまたシャワーを浴びて外に出た。
すると雪先輩がロビーでインストラクターの人と話していた。
「雪先輩。お疲れ様です」
『えっ?誰?』
「この眼鏡で誰かわかりますか?」
俺は眼鏡を鞄から取り出した。
『月くんだったのね。眼鏡をしてなかったら全然わからなかったわ』
「学校でも見たことある生徒は生徒会長と雪先輩だけですね。理事長先生と校長先生は見たことありますからね」
『そうだったのね。と言うか私がここに来ていたの知ってたの?』
「トレーニング中に見掛けましたけどあの時はまだ俺もメニューの最中でしたから声はかけませんでした」
『やっぱり知っていたのね。まぁメニュー中なら仕方ないけどね。私はこの隣でキックボクシングに通っているのよ』
「そうなんですね。キックボクシングのジム生はここのジムによく来てるからそれが理由なのですね」
『えぇ。そうよ。それより今から暇?』
「暇ですよ。今日は1日オフな日何ですよ」
『それは良かったわ。ならプールで泳がない?』
「別に良いですよ。今日は泳いでなかったですけど水着はロッカーにあるので」
俺と雪先輩はそう言ってプールに移動した。
・・・・・・・・※・・・・・・・・
俺が着替えてシャワーを浴びてプールに行くと一人で泳いでる人を見かけた。
とても綺麗なフォームで泳いでいた。
俺はとりあえずストレッチを開始した。
そしてしばらくすると
『月くん。お待たせ。あら?月くんって凄い身体がしてるのね。線が細いけど筋肉が付いてるわ』
「俺も小さいときから格闘技を習ってましたからね。それでですよ」
『へぇ~。っことは強いの?』
「そこまでですよ。俺より強い人はいっぱい居ますし」
『そうなんだ。あっ!背中押してくれない?』
俺は雪先輩のストレッチを手伝っているとさっきまで泳いでた人が上がってきた。
『やぁ。雪。君が男性とストレッチしてるのは初めてだね』
『良いでしょ。桜はもお終わり?』
『えぇ。そうしようかと思っている。充分泳げたしな』
『そうなんだ。お疲れ様。じゃあ行こうか月くん』
「はい。わかりました雪先輩。それでは生徒会長。お疲れ様でした。綺麗なフォームでしたよ」
俺がそう言うと生徒会長は黙って固まっていた。
俺と雪先輩が泳いでいると生徒会長がやって来た。
『やぁ。神楽くん。君は何故雪と一緒にいるんだい?』
「たまたまですよ。俺はジムでメニューをこなしていると雪先輩を見かけまして、メニューが終わり帰ろうとしたら雪先輩がインストラクターの人と話して居たので声をかけました」
『そうだったのか。君はこのジムをずっと使っているのかい?』
「いえ、四月からですよ。引っ越してきてこのジムが比較的に近くて設備が良かったのでここにしました」
『そうなのか。私はずっとここで鍛えているからこれからはたまに会うかもな』
「そうですね。その時はお世話になります。それでは引き続き泳いできます」
俺はそう言って泳ぎ出した。
・・・・・・・・※・・・・・・・・
『月くん。そろそろ上がろうか』
そう聞こえてきたので俺も上がることにした。
まだ生徒会長が待っていた。
『あら桜。待っててくれたの?』
『あぁ。雪も神楽くんもお疲れ様』
「ありがとうございます。生徒会長」
『ありがとうね桜』
『あのだな、神楽くん。今は学校の中ではないので生徒会長はやめてくれないか』
「ならなんと呼べば良いですか?」
『桜で構わん。普段からもそう呼んでくれ』
「わかりました。桜先輩。そろそろストレッチして上がりましょうか」
そう言って俺達はストレッチしてシャワーを浴びて更衣室に向かった。
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side桜
私はとうとう神楽くんに名前で呼んでもらえたぞ。
雪や雫が先に仲良くなったのは計算外だったが、これからは私の時代だ。
必ず神楽くんを手にいれる。
『さーくら!何ニヤニヤしながら身体を拭いてるのよ?月くんをここに呼び出した私に感謝もせずに』
「そうだったな。ありがとう」
『いいのよ。私も月くんには助けられたしね』
「助けられたっていつものインストラクターか?」
『そうなのよ。あのインストラクターしつこいのよね。それで嫌になってたら月くんが現れて、意識を自分に向けさせてスマートに誘い出せたわ』
「そうだったのか。それは良かったな」
『ただ、月くんは泳いでないって言ってたけど私達がプールに来る前に相当泳いでたと思うわ』
「何故そう思うのだ?」
『重り付けて泳ぐ人用にあるのは知ってる?』
「あぁ。先程も神楽くんが付けてた奴な」
『あれって使ったら使用済みの所に入れなきゃいけないのだけど、月くんはその使用済みの所から持っていってたわ』
「間違えたとかは?」
『それはないわ。すぐ付けてそのままスルーしてったもの。あれは確実に自分で使ったからないって事を知ってたのよ』
「それだと神楽くんは雪を助けるためにわざわざもう一度泳いだのか?神楽くんの重りってなんキロだった?」
『片腕が15キロ。片足が30キロ。胴廻りが50キロよ。全部で140キロ』
「神楽くんって何者なんだ?」
『わからないわ。昔格闘技をやっていたって聞いたから相当強いと思うわよ。あの重りなんかよりあの身体は…。思い出しただけでヤバイわ』
「コラ!神楽くんは私のだぞ!取るなよ」
『それを決めるのは月くん次第よ。それに月くんなら私は断らないわ。あの肉体美。それにとても美形で頭も良いのよ。それに性格も最高なんだし最高じゃない』
「最初に目をつけたのは私だぞ。確かに最高なのはわかるが謎が多すぎる」
『確かにそうね。何故一人暮らしをしているのか家族は居るのかとかわからないものね』
「家族はいるようだぞ。父親は世界を飛び回ってるらしいが母親はあのリサ・カグラだ。兄と姉と弟と妹が居て五人兄弟の真ん中らしい。学校から遠いため一人暮らしをしているらしいぞ。ちなみに誕生日4月3日のAB型だ」
『桜は何故そんなに知ってるの?』
「調べたからだ」
『それにしても大女優の息子か。だからあんなに美形なのね』
「それにリサ・カグラは学生生活よし仕事を大切にしてきたらしいからな。そのせいで神楽くんはアルバイトの方が優先な生活を送ってるんだろう」
『そうなのかぁ。それじゃ仕方ないのかもね。とりあえず上がるわ。ずっと待たせてちゃ可哀想だしね。桜はゆっくりしてて』
「おい!ちょっと待て抜け駆けは許さんぞ」
私は神楽くんを待たせまいとすぐに拭いて服に着替えた。
♀・・・・・・・・※・・・・・・・・♂
side月夜
俺は二人を待っている。
二人は女の子だから用意が遅いようだ。
仕方ない。
姉や妹が言っていた。
[女の子が用意が遅いのは綺麗になるためよ。]
って綺麗になるためなら仕方ない。
それに待ってるだけで良いんだ。
俺はそれくらい出来るぞ。
俺が待っているとさっきのインストラクターが現れた。
『さっきはよくも邪魔してくれたな!』
「邪魔?あなたはさっきのインストラクターさん」
『そうだ。俺がせっかく雪花を食事に誘ってたのにお前が邪魔したから予定が狂ったんだ。どうしてくれる?』
「どうもしませんよ。俺はプールに誘われた。それだけでしょ」
『そんな態度をとって良いのか?俺はこれでもプロのキックボクサーだ。お前なんて軽く捻り潰せるぞ』
「プロは素人相手に手を出せないと知らないでプロになったんですか?」
『そんなの知ってるに決まってんだろ!『おい!何をやってる?』っヤベ…』
「このインストラクターさんがナンパを失敗したからって八つ当たりしてくるだけですよ。それにプロのキックボクサーだからお前なんて軽く捻り潰せるぞと脅されました」
『そんな事はないぞ!会長!俺はそんな事言ってねぇ』
『どのみちそこにある監視カメラで確認したらわかることだぞ。あれは音声まで拾うからな』
「まぁ俺はその勝負を受けても良いですよ。ただ、俺が勝ったら雪先輩や他のジムに来てる女性をナンパしないと約束するならね」
『おい!ガキ!調子に乗るなよ?まぁ良い!叩き潰してやる!リングに上がれ!』
そう言われて俺はリングに上がった。
『彼はキックボクサーじゃないからルールは先に気絶した方の負けとする。良いな?』
『問題ないぜ会長!』
「俺も問題ない」
『じゃあ始め!!!』
俺はとりあえず相手が出てくるのを待ったが全然出てこない。
だから俺がとりあえず蹴りを入れると案外普通に食らったな。
とりあえず蹴りを外すまで蹴りでいいか。
♂・・・・・・・・※・・・・・・・・♀
side雪花
「あれってあのインストラクターと会長さんと……月くん!?何かあったの?」
『何か揉めてるようだな。行ってみよう』
私は桜と話しすぎた事を後悔した。
だってあのインストラクターは最近活躍中のプロで次勝てば日本1位になる選手だからだ。
「萬会長。止めてください!」
『なせだ?彼は…あっ!動いた。流石は神楽月夜だ。昔よりキレが良いな』
『会長は神楽くんを知ってるんですか?』
「そうです。会長は月くんを知ってるんですか?」
『神楽月夜って男はな。ジークンドー・ソバット・合気道で世界一になってて強すぎて大会にはもお出ないでくれって言われてる超強い男さ』
『神楽くんってそんなに強いの?』
「月くんったら何が[俺より強い人はいっぱい居ます]よ。全然居ないじゃない」
『そんな事はないぞ!神楽家は兄弟皆強いからな。長男は柔道とレスリングで世界一。長女はボクシングと空手で世界一三男はキックボクシングで世界一。次女は中国拳法とムエタイが世界一だからな。更に親父の方は趣味で総合格闘技をしていて暇だとたまに出てるけど未だに世界一だぞ』
『そんな家族の中じゃそれは強い人がいると言えるな』
「確かにそうね。疑ってごめんなさい」
私が反省していると月くんは相手をボコボコにしていた。
♀・・・・・・・・※・・・・・・・・♂
side月夜
「さてとそろそろ決めるかな。遊んでても倒れなさそうだし」
俺はそう言って、ムエタイの技を出して、空手・中国拳法・ジークンドー・柔道・相撲・ボクシング・キックボクシング・ソバットの順で技を決めた。
俺が考えた最強コンボBだ。
相手も倒れたので俺はリングを降りる。
すると
『久々に見たがえげつねぇコンボだな。家族対策か?』
「そうですよ。萬会長。父を始め兄・姉・弟・妹は変態ですからね。撃退するにはより多くの技を出さなければならないので」
『大変だな。とりあえずアイツ起こしてくるわ』
そう言って萬会長はインストラクターを起こすために水を汲みに行った。
「あっ!雪先輩に桜先輩。ご心配をおかけしてすいません」
『私のせいでこうなったのだから私が謝るわ。ごめんなさい』
『神楽くんは強いのだな。ビックリしたぞ』
「雪先輩は謝らないで良いですよ。悪いのはあのインストラクターですからね」
俺はそう言って雪先輩の頭を撫でた。
すると雪先輩は顔を真っ赤に染め上げた。
「じゃあそろそろ帰りましょうか。明日も学校ですし」
『そうだね。私と雪は私の親が車で送ってくれるのだが神楽くんはどうする?』
「俺はビッグスクーターで来てますから一人で帰れますよ」
俺はそう言い、先輩たちを見送って帰って風呂に入って寝た。
とても気持ちの良い布団だ。