第2部 まさかの結末
あれから、久美さんは行動したらしい。
ちゃんとウチの事務所を解雇されていた。
そして、頻繁に相手の事務所の取引先の方と会っていた。
そして、毎度の事になるが七瀬がウチにご飯を食べに来てた。
「ふぅ。まさか相手とこんな関係とはなぁ」
『好きな相手の為って事?』
「そうじゃない。枕営業だ」
『マジでっ!?』
「あぁ。会っていない時はスゲー悪口言ってるぞ」
『会ってる時は?』
「メロメロだな」
『あの人怖ぇーよ』
「しかも相手は妻子持ち。これはこれで良いネタが出来たよ。ホテルは勿論、車から公園から路地裏からとありとあらゆる場所でだからな。撮影してた人が引いたらしい」
『あー。それは、引くだろうね…』
「あぁ。特に電柱の裏と自販機の間は得にな」
『レベル高すぎだな』
「あぁ。だから七瀬はこれ以上何もしなくて良いよ」
『わかった。ってか、流石にそんなん見せられたくないわ』
それは、俺も同じだ。
とか、頭可笑しいとか、2人で散々言い合っていた。
・・・・・・・・※・・・・・・・・
次の日、久々にパープルムーンの七瀬を含む、陽子さんと十日さんと4人でご飯を食べに来ていた。
すると、奥の席から春佳さんが盗撮をしていた。
全く懲りない人だ。
『ねぇ。月夜くん?あの人』
「えぇ。元マネです。今は会社すらクビになってます」
『えっ!?それって何かあったの?』
『そうだよ。何かあるなら文句言ってやるんだから!』
「詳しい話しは家でしますから、ここは押さえてください」
俺はそう言って携帯で神楽家の密偵達に連絡。
店を出てから対象者の追跡の妨害を頼んだ。
勿論、この店にも密偵は複数組居る。
だから俺を盗撮しているのを逆に盗撮されているのを気付いてない様子だ。
俺達は店を出てタクシーを拾った。
だが、春佳さんは…。
『おっ!良い女が居るぜ?』
『そうだな。姉ちゃん暇なんだろ?これから遊ぼうぜ?』
『どきなさい!』
『何でだよ?良いから俺達と遊ぼうぜ』
『待て!コイツの腕見てみろよ…』
とここまでは聞こえた。
そして、家に皆で盗聴機の録音を聞いてみると…。
『待て!コイツの腕見てみろよ!縛痕付いてるぜ』
『本当だ。くっきり付いてるってコイツぁとんでもねぇ廣いもんしちまったな』
『何よ離しなさいよ変態』
『変態に変態って言われてもな』
『誘われてるようにしかきこえねーな』
それから数分愉快な会話をして、密偵達が離れた後に
『ったく。変なののせいで逃がしちゃったじゃない!』
『しかも、この痕はあのド変態野郎が無理矢理つけた奴なのに…』
『まぁ開放感があって悪くはないけど…』
等と皆で気持ち悪くなった…。
『それであの変態元マネさんは何をしようと?』
『そうそう。それを聞きたいの』
「実はね、ウチの事務所を裏切って○○事務所に入ろうとしててね」
『紅葉の素顔を晒せば厚待遇で入れてくれるって言われてんの』
「そう。そしてウチの学校の文化祭で仮面を剥ごうと計画してたらしいけどバレて俺は本関係以外は仕事を休止。春佳さんは自宅謹慎だったんだけど」
『バレバレのストーカー行為をしたり、夜にドローン飛ばしたりしててね』
七瀬がそう言うと2人は
『あっ!あの怪しいかっこした不審者って…』
『あっ!街中でドローン飛んでたから通報しちゃったけどあれって…』
とか、良い始めた。
通報したのは十日さんだったのか。
「まぁそんな事があって、久美さんは流石に解雇したってわけ」
『俺はあの人に盗聴機付けただけだけど、予想以上に変態過ぎてね…』
『『あー』』
男の俺達でも引くんだ。
女性の2人はもっとだろう…。
「まぁだから、そろそろこっちも動こうかと思っていてね。文化祭まで時間がないし」
『動くの?』
「あぁ。流石にあの2人はやりすぎだよ。春佳さんは俺だけにではなく、ここの近隣住民や学校の近隣住民。それに夜の活動で明らかに迷惑をかけてるしね」
『可愛そうだけど仕方ないよね』
「あぁ。可愛そうなのは取引相手の子供達だよ。奥さんは旦那が怪しいと思って、興信所に頼んでたらしいし…」
『流石奥さんだね』
『うん』
『父親があんなんだと子どもが可哀想すぎるよ』
俺達はそう言って話し合い、今日は皆泊まっていった。
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side春佳
私はどうしてこうなったかわからなかった。
何故、弁護士から内容証明が送られて来るのよ…。
内容を見てみると浮気みたいな事を書かれていた。
要するに、取引先の人とのプレイが興信所に取られていたと言うのだ。
しかも音声付きで…。
「私は仕事でしていただけです!その人の事を愛してなんかありません」
『そうだ。俺達は愛し合ってなんていない。俺が愛してるのは君だけだ!』
『じゃあ、これはなんなの?ホテル・路上・車・公園・電柱の裏・自販機の間?子どもが4人も居て私も居るって言うのに随分な仕事なのね。芸能プロダクションだと思ってたけどいつの間にあそこはアダルトプロダクションになったの?』
と弁護士事務所で話していた。
そしてどうやら取引先の人は内容証明が会社に送られて居たので会社でも問題になってるらしい。
『そう言えば貴女、今無職らしいわね。無職で男漁りなんて何してるの?働きなさいよ』
『だから、この人とは仕事の関係で…』
『盛るのが仕事なの?とんだ、仕事よね』
『違っ』
『違わないわよ。どんな理由があろうとも浮気は浮気ですし、それを理由にやって良い事にはならないわ。貴女は私の幸せを壊したのよ。そんな事もわからないの?』
『それは、そっちが告発するからでしょ?』
私がそう言うと、弁護士が
『桐島さん。告発するからと仰いましたね?』
『そうよ。告発するから壊れたんでしょ?』
『じゃあ、告発した理由は何か考えてみてください』
『それは、あの人が誘ってくるからでしょ?私は仕事以外の感情を持っていませんもの』
『それは、可笑しいですね。録音を聞くに桐島さんも楽しんでおられた様子ですし、そんな事より、もし仮に仕事だと、仰るなら風営法でも処罰が下ります』
『えっ?』
『当たり前の話ですよ。仕事で体を売ると言うことはそう言うことです。更に言えば桐島さんは、ホテルや車だけならまだ良かったものの、路上や公共施設である、公園の中であったり電柱の裏や、個人資産である、自動販売機の間等で事をしてらっしゃった。それは明らかに色々追加で罰金が支払わないといけない事なんですよ』
『…』
『明らかに自分が悪いのに、人のせいにして良いのは子どもまでです。大人には責任が伴われるんですから自覚してください。だから桐島さんは解雇されたんじゃないですか?』
私はそこまで聞いて考えた。
もし、仮にあのまま上手く行くとマネージャーとしても会社員なのに、二重契約になってしまうことを。
そして叔母であり、社長だった久美さんに言われた事を思い出した。
『契約ってのは守らなければいけない物なの。契約は約束より重いのよ』
今更、弁護士さんに諭されてから気付いた。
久美さん叔母さんも母さんも父さんもそして紅葉ですら、守ってる事を自分が出来ていなかった事に…。
それから私は、弁護士さんに言われて、示談金200万を支払った…。
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それから私は、神楽家にも訴えられた。
紅葉が動いてくれて、何とか実家には迷惑はかからない様にしてくれたらしい。
いえ、もう関係ないから月夜くんと呼ばなくちゃね。
「月夜くん。ごめんなさい。気付くのが遅すぎたわ」
『そうですね。これでも、ここ何年間はずっと言っていたと思いますが…』
「そうだったわね。私は昔から殆ど何でも出来たのよ。突然の対応とかは苦手だったけどね。それで今回、無駄にプライドとかあって話を録に聞いてなかったのよ」
『でしょうね。いつかは伝わると思ってましたが、こんな事になってからとは俺も思いませんでした』
何故月夜くんがそんな辛そうな顔をするの?
私は貴方に迷惑しかかけてこなかったのに
『俺は初めて会った時、余り人を信じていませんでした』
「えっ?」
『どうせ皆、自分の事を道具か何かかと思ってると思っていたので』
やっぱり。
月夜くんもそう思ってたのね。
私も昔は両親や先生達在学生皆にそれを感じていた。
そして私に対しても…。
まぁ当たり前よね。
最後まで迷惑しかかけなかったし…。
『でも、春佳さんは仕事でミスをする代わりにちゃんと俺のケアをしてくれたのを覚えてるんですよ』
「えっ?」
『寝不足の時は移動時間の時に枕や毛布を用意してくれたり、初の武道館を成功させた時なんて自分の事の様に一緒に喜んでくれました』
そう言えば、自分がミスれ連発して、月夜くんに迷惑をかけてるから色々したことがあったわね。
それに、武道館は私も一生懸命やって、成功したからとても嬉しかったわ。
『春佳さんも一生懸命やっているのが見れて俺もすっごく嬉しくて…。それから、少しずつ春佳さんに心を開いて行く内に、周りも敵だけじゃないってわかったんですよ』
月夜くんが泣いている…。
泣かしたのは私か…
そんな風に私の事考えてくれてたんだ…。
そう思うと私も涙が出てきた。
『だから、ちゃんと勤めを果たして、今度はちゃんと仕事をしてください。待ってますから』
「えっ?」
『ちゃんと勤めを果たして自分の責任と、自分の責務をちゃんと理解して戻ってきてください。それまでマネージャーは無しで働くと、久美さんに了承して貰ってますから』
「えっ?なに言ってるの?」
『俺のマネージャーは春佳さんだけです。それは変わりません。いや、変えさせません。だから、ちゃんと勤めを果たして、成長して今度こそ一緒に高みを目指しましょう…。』
そこまで言われたら、私も引けないじゃない…。
こんなに迷惑かけたのになんて優しいのよ。
ほんと、この子は未々甘いわね。
「わかったわ。ちゃんと成長して戻ってあげるからメソメソしないの。男の子でしょ?」
そこまで言うと月夜くんは涙を拭き、男らしい目で
『はい。待ってます。そしてその時の春佳さんの初仕事で仮面を取りますから』
「わかったわ。今度こそ私が仮面を剥ぐわ」
『えぇ。だから、お元気で…』
「月夜くんこそね」
私はそれを聞いて時間で自分の場所へと戻った。
期間は5年。
そこから私は再出発する。
だから、待っててね月夜くん。
あんな顔をされて惚れない女は居ないんだから。
私が出ていくまで誰とも付き合っちゃ駄目よ。
私の月夜くん。




