第1部 体育祭の借り物と言えば
俺はあれから200メートルリレーで1位を獲得した。
2位と5秒差をつけてだ。
そして今は綱引きをしている。
俺のクラスの男子はレスリング部が6人揃ってる。後は野球部とサッカー部と帰宅部がまばらに存在してるだけだ。
そんな超パワー重視の奴等がいるのに他のクラスは勝てるのか?と思ったが相撲同好会率いる1ーCが立ち塞がった。
コイツらは強いな。
『あの相撲同好会は全員体感が良いな』
「あぁ。しかも部長と副部長はスピードもある。これは本気で引っ張るか」
俺と七瀬はそう打合せした。
そして綱引き決勝。
最初1ーCが優勢だったが他の奴等のスタミナがあまりなかったから何とか持ちこたえれた。
だが、こっちのクラスもそれは同じ。
向こうのクラスもこっちのクラスも大半がへばって、1度中断しまだやれる人だけで綱引きを開始した。
1ーCは相撲同好会の7人。
対してこっちは。
1ーAはレスリング部6人と俺と七瀬の8人。
そして始まった綱引きはずっと拮抗していた。
一切綱が動かないのだ。
そこから3分が経過した時、事態は動いた。
縄が引きちぎれかけたのだ。
俺と七瀬はそれを見逃さなかった。
相撲同好会の部長と副部長と中堅の3人が驚いて少し力を抜いた瞬間に一気に引っ張った。
そして勝利した。一番前の七瀬が縄を離すと、縄が地面に当たり千切れた。
それを見た観客は拍手喝采だ。
綱引きを最後までしていた面々は腕から下が完全に痙攣していた。
そこまで本気だったのだ。
「やったな」
『あぁ。だが腕が…』
「あぁ。ぷるぷる震えてぷすぷすを抱っこ出来ないな」
『1度握手をしてみるか?』
と言って七瀬と握手をしてみると思った以上に痙攣していて
『スゲェ気持ち悪い』
「俺と七瀬のぷるぷるが波打って酔いそうだ」
俺と七瀬と相撲同好会とレスリング部達はとりあえず氷を貰いに行った。
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『すごかったわね』
『確かにすごかったけど大丈夫?』
『無理はダメだからね』
と雫・大崎さん・北村さんが声をかけてきた。
「ありがとう。とりあえず次は昼を過ぎるからそれまでに治ると思うよ」
『俺も後は同じだから良かった。玉入れを受けてたら確実に入れる自信はないな』
と七瀬が言うと雫は
『あっ!私の出番だ』
と言って走り去った。
『雫は元気ねぇ』
「だがあの姿は和むよ」
『確かに和むけどもう少し落ち着いてほしいわ』
『まぁそこが雫ちゃんの良いところだけどね』
と大崎さん・俺・北村さん・七瀬の順番で話していた。
『と言うか何であんな走るのが早いのに200メートルリレーじゃなくて玉入れなの?』
「さぁ。理由は聞いてないけど北村さんは聞いた?」
『確か、玉入れも得意だったはずよ』
『本当だ。落ちてきた玉をそのままキャッチ&リリースで籠の中に入れてる』
『そう言えば神楽くんはいつになったら名前で呼んでくれるの?』
「名前で呼んでいいのかい?」
『呼んでいいよ。私達も月夜くんって呼ぶから』
『アナタ。子どもが見てる前で浮気はダメですからね』
『また始まった。ナナの嫁。似合ってるのが腹立たしい』
「そう言ってやるな。光希。佑香も光希を止めて」
『あっ!月夜くんが名前で呼んでくれたー』
『アナタ!言ってる側から浮気なんて罪な男ね』
と冗談を混ぜながら4人で話していた。
ちなみに玉入れはウチが圧勝だった。
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そしてお昼休み
『つっくん。あーん』
『月夜。パパのを食べなさい』
『月夜!兄のを食べるよな?』
『月夜。お姉ちゃんは信じてるわ』
『兄上。さぁ僕を選んでくざさい』
『お兄さま。私、お兄さまに食べさしてあげたいです』
とウチの家族が俺に食べさせようとしてくる。
それを見て、七色家の皆は
『月夜はモテモテだな。じゃあ、七瀬、私のを食べなさい』
『月夜くん。七瀬。私のを食べていいのよ』
『七瀬。お姉ちゃんのが一番美味しいからね』
『兄さん。俺のを食べてくれ
『お兄さま。私を選んでくださいますよね?』
『にぃに、僕の食べる』
と言って七瀬を困らせていた。
俺と七瀬はブルーシートの端に寄せられて逃げられない状況だ。
隣を見ると家族達が、反対を見ると七瀬が…
俺は考えた…。
そして俺は箸を取り
「七瀬」
『なんだ?んぐ!?』
「美味しいか?次は七瀬が食べさせてくれるか?」
と言ったら七瀬が
『もぉこんな皆の前で恥ずかしいわよ。アナタ。はい!あーん』
と言いながら食べさせてくれた。
そして家族達は
『月夜が取られた…』
とお父さんが
『七瀬のあーんが』
と宝生さんが
『つっくんのあーんとかされた事ないわ』
とお母さんが
『月夜は考えたわね。まぁこれはありね』
とシャロさんが
『月夜が俺以外の男に甘えるだと?』
と兄さんが
『七瀬が私以外にあーんされてる』
と七華さんが
『月夜が男といちゃらぶしてる…』
と姉さんが
『兄さんが嬉しそうだ』
と一夏くんが
『兄上も嬉しそうだよ』
と翠月が
『お兄さまが良いならそれで良いか♪』
と苺ちゃんが
『ならこれは苺ちゃんにあげます』
と雷華が
『にぃに、嬉しそう。だから、良い 』
と四月一日くんが
皆驚きながら食べていた。
そのあと普通に食べてると最終的に皆から食べさせられた。
だが皆も困らせたくないのかジャンケンして順番を決めていた。
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昼食が終わり昼の部が始まった。
俺と七瀬は女性人のダンスを見ていた。
『雫はやはり運動神経が良いな』
「あぁ。動きにキレがある」
『と言うか生徒会は皆そうだな』
「そうだね。だが佑香も負けてないね」
『あぁ。光希ちゃんは頑張ってるな』
「あぁ。後で褒めてあげよう」
『そうだな』
と言っていると後ろから
『神楽。七色。家族サービスは良いけどちゃんとクラスのところにも戻れよ。お前達はまだ出番じゃないとしても探しに来る奴等が居るかも知れないからな』
と言いながら松下先生が現れた。
「わかりました。少しして戻りますね」
『わかったよ。椿ちゃんもお仕事ガンバ!』
と七瀬が言い松下全員は帰って行った。
俺と七瀬はダンスが終わる前にはクラスの皆の所に帰って行った。
次に始まったのは借り物競争。
俺はどんな借り物があるが楽しみにしていた。
どうやら、この競技には桜先輩・雪先輩・光希・村上さんが出るようだ。
そして始まった。
村上さんはかぷすぷすを連れていった。
七瀬が悲しんで居ると桜先輩が七瀬を連れ去った。
そして雪先輩が
『月くん!一緒に来て!』
と言うので
「わかりました」
と答えて
一緒にグラウンドを走った。
そしてゴールが見えてくると光希が雫を連れてゴールしていた。
そしてゴールの借り物の確認の所に村上さんとぷすぷす。
桜先輩と七瀬。
が並んでいた。
そして次が雪先輩と俺である。
どうやら光希は生徒会役員が借り物だったらしい。
そして村上さんはぬいぐるみ。
桜先輩は可愛い男子。
そして雪先輩は美しい男子。
これは恥ずかしいぞ。
『ごめんね。月くん。無理矢理連れてきちゃって…』
「確認しなかった。俺が悪いので仕方ないですよ」
俺はそう言って雪先輩と別れた。
まぁウチのクラスが1位2位を独占したから良いだろう。
七瀬もぷすぷすを大事そうに持ってるし。
作った甲斐があったな。
俺は七瀬の頭を撫でて微笑みながら
「俺が心を込めて作ったぷすぷすだ。もう離すんじゃないぞ?」
と言うと周りの人達の顔が赤くなった。
七瀬も顔が赤い。
何故だ?皆疲れてるのか?
「おい!七瀬。いきなり顔を赤くしてどうした?まさか熱か?」
と言っておでことおでこをくっつけた。
するとやっぱり少し暑かった。
「少し熱があるじゃないか。無理はダメだぞ。テントで休むか?」
『た、だだだ大丈夫だ。無理はしていない。だから離れてくれ』
「わかった。辛かったら言えよ?」
『わかった。そうするよ』
俺は少し顔が赤い七瀬を見ながら一緒にブルーシートまで帰った。
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side七瀬
全く。
月夜には毎回驚かされるな。
昼もそうだった。
月夜も困っていたが俺も家族にあーん攻撃をされていたのだ。
その時にいきなり名前を呼ばれたと思ったら月夜が無理矢理あーんしてくるし、今度は食べさせてほしいと言うんだから…。
こっちの気も知らないで…。
恥ずかしかったがとても嬉しかったので食べさせ合いっこしたけど、その後、家族が順番を決めて食べさせてくるとは思わなかった。
しかもさっきはぷすぷすを取り戻して嬉しくなってると、
『俺が心を込めて作ったぷすぷすだ。もう離すんじゃないぞ?』
とあのキラキラした顔で言ってきた。
俺はあまりの恥ずかしさに言葉がでなかった。
その前に可愛い男子と言う借り物で連れていかれたのもあって恥ずかしかったが、月夜の言葉の方が恥ずかしかった。
何よりその後、黙った俺が顔が赤かったらしく心配しておでこをくっつけて来たときが一番緊張した。
よく我慢できたな!俺と自分を褒めてやりたいぜ。
俺は月夜絡みで恥ずかしくなるとつい、オネエ化してしまう。
まぁ周りの皆はジャレ合ってると思ってくれてるから良いけどさ。
多分月夜も冗談だと思ってるに違いない。
それでも良いからこの幸せな時間が続くと良いな。




