第1部 ミュージックビデオでの成長
俺はあの撮影の後、少し休暇をもらった。
ミュージックビデオの撮影がまだ出来ないからである。
俺はウチの家系がしてる会社に出社したり観光したりしていた。
観光と言っても接待に近かった。
そして生徒会役員の皆やクラスの皆、家族と先生達にお土産を買った。
とりあえず、これだけ買えば文句も言わんだろう。
そんな事をしていた次の日、俺はキャンピングカーで課題をしていた。右手は古典・左手は英語だ。
右足で数学を解きながら、左足は科学を解いている。
そんな変わった課題の解き方をしているとお母さんが現れた。
『つっく~ん。って!?何その勉強の仕方?』
「やぁお母さん。とりあえずめんどくさいし4つ一辺にやろうと思って」
『そんな勉強の仕方で覚えられるの?』
「俺は既に覚えてるからわざわざ勉強はしなくていいの。これは夏休みの課題だよ」
『それと後、どんだけあるの?』
「この4つt…。この3つと後、現国と日本史だけだよ」
『よくそんな器用に解けるわね。まぁ良いわ♪つっくんってバイク乗れるわよね?』
「乗れるけどそれが何か?」
『スタントマンが一人来れなくてね。変わりに乗って欲しいの』
「顔が出ないようにフルフェイスで良いならね。後、俺は中型免許までしか持ってないからね」
『わかった。言ってくる~!』
と言いながらお母さんは何処かに行った。
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「よし、これで終わりだ。鞄の服の下に入れて…」
これで忘れる事もないな。
『ハローモミジ♪』
と言いながらシェリーが入ってきた。
『あれ?勉強してたんじゃないの?』
「終わったよ」
『えー!せっかく邪魔してやろうと思ったのにー』
「今日ってシェリーオフなの?」
『えっ?まさか!?モミジデートしてくれるの?』
「俺のスケジュールは今お母さんが握ってる」
『どう言うこと?スケジュールではモミジオフよね?』
「バイクの乗れるスタントマンが今日来れなくなって俺、中型までなら乗れるからそれで」
『モミジ!バイク乗るの?なんか意外』
「まぁそう言うことで俺のこれからのスケジュールはわからないからデートは出来ないよ」
『出来るわよ』
といきなりお母さんが声をかけてきた。
『今から中型のバイク取りに行くわよ。ヘルメットは2つあるし、もちろんフルフェイスよ。取りに行くついでにあなた達が乗って帰ってきたらツーリングデートになるでしょ?』
『ワーオ!リサさん!ナイスアイデア』
「シェリーとお母さんがそれで良いなら俺は何も言わないよ」
そうして俺は3人でバイクを取りに行った。
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「へぇ。ハーレーの赤か」
『モミジ乗ったことあるの?』
「俺のバイクはこれの色違いだからね」
『そうなんだ。じゃあ運転は完璧ね』
「じゃあ、お母さん。俺達は向かうね」
『えぇ。私も後から追うわ』
俺達はバイクを取りに来て、さっそく乗ることにした。
「さぁシェリー。足元気を付けてね」
『ありがとう。モミジ。安全運転でよろしくね』
「もちろん。シェリーに危ない目を合わせられないからね」
俺とシェリーは出発した。
撮影場所までは山を越えて海沿いを走るのでとても気持ちが良い。
『ワー!見てみてモミジ。さっきより近くに海が見えるわ』
「本当だね。今度ちゃんとしたオフの時に来たいな」
『じゃあ一緒に来る?』
「スキャンダルにならないように皆で来ようか」
『モミジはお堅いなぁ』
「それがプロってもんでしょ」
『そうなの?』
「俺が思うにだけどね」
『聞かせて』
「この世界は俳優もコメディアンもシンガーも様々いるでしょ?」
『そうね』
「でも1度売れて消えていく人も多いじゃない?」
『そうね。そうならない為に皆努力してるわ』
「その努力はいいんだけど、スキャンダルの方に努力してる人達もいるよね」
『確かにそうね。スキャンダルを起こしてテレビに出て消えての繰り返しだわ』
「そう言う風にメディアに出たくないだけさ。出るなら実力で出たいと俺は思ってるからね」
『ふーん。そう言うものなんだ』
「そうだよ」
『私はスキャンダルでも良いからチャンスを狙いたいかな』
「まぁチャンスがなかったら何も始まらないのは確かにそうだね」
『でしょ?まぁだからと言って私もスキャンダルは嫌ね』
俺とシェリーはそう言う話をしながら、現場についた。
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『やぁモミジ。お疲れ様』
現場について監督さんがやって来た。
「それで監督さん。俺はどうすればいいんですか?」
『あぁ。バイクに乗ってあそこからトラックの上に飛んでほしい。その後、あの赤い車の上にまた着地して駆け抜けてくれたら良いから。走り方は君に任せるよ。カメラはドローン26機から撮るから多分1発でいけるよ』
「わかりました。やってみます」
そして準備が終わり、本番が始まった。
俺は高台まで上がる時に崖の壁を斜めに登って行った。
スピードを上げながら確実に昇った。
そして高台から飛んでギアを下げた。
さらにジャックナイフをしながらギアを下げて回転して着地。
そのままウィリーして赤い車に着地する。
それから車から地面に着地してそのまま走り去った。
『モミジ!素晴らしかったよ!崖を普通に登るかと思って言ったんだけどまさかあんな登り方があるとはね。それにあの飛び方はクールだね。トラックに着地したときヒヤヒヤしたよ。ありがとう!ちゃんと撮れてたし、もう上がって良いよ。後、明日からは君のミュージックビデオの撮影だ』
「わかりました。ありがとうございます」
俺は監督さんにそう話してキャンピングカーに戻った。
『モミジ!あれ何?同じ型のバイクって言ってたから出来たの?』
『つっく~ん。何なの?あの走り方!?普段からあんなのしてるの?』
『モミジ!あれは流石に危ないよ。怪我してないかい?』
『モミジ。無茶をして、怪我をしたらどうするの?』
とシェリー・お母さん・ロンドさん・シャロさんが来てくれた。
「あれはあぁしたら見せれるかな?って思ってやりました。ごめんなさい。日本ではあんなことはしてません」
『あんなの日本でやってたら心配よ』
『私なら確実にバイクを乗せないわ』
『それにしてもよくあんなの思い付いたね』
『怪我がなくて良かったわ』
「心配してくれてありがとうございます。あれはね日本の特撮でやってたのを見たことあるからやってみたんだ。まぁ壁を登るのも、トラックに着地するのも、車に着地するのも別々の作品だったんだけどね」
『あんなの出来るスタントマンが日本にはいるの?』
『そう言えば特撮ら日本の十八番だもんね』
『確か、日本のスタントマンはとても有能って聞いたことあるよ』
『日本はクリエイティブに特に力を入れてる国だものね。アニメ・漫画・ゲーム・それにスタントまで持っていくとは流石技術大国ね』
「そう言えば、明日からミュージックビデオの撮影らしいんだ」
『やっとなのね?』
『衣装は…キャロを呼んでくるわ!』
『って事は生歌も歌ってくれるのかい?』
『他の曲は……。あったわ!リサは全曲買ってるから皆で聴きましょう』
それからお母さんとキャロが来るまで俺の歌を流されて皆で聴いていた。
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『ヘイ!モミジ。とりあえず衣装はこれよ。仮面つけてってもうつけてるわね。着てみて』
そして俺は着てみた。
やたら、短い浴衣だけど後は長いな。
それにニーソにロングブーツだと?
「ねぇ。キャロ。確かレッグシースあったよね?取ってきてもらっていい?」
『わかったわ。行ってくる』
と行って出ていった。
『持ってきたわよ?でもこれもつけるの?』
俺はレッグシースをつけて、小道具の鉄扇を入れてキャロに見せた。
そして鉄扇を出してる所、入れてる所を見せると
『おー!グレイトゥ!モミジのキャラは鉄扇を使うからそれはクールだね』
そして次の日、俺のミュージックビデオの撮影が始まった。
お花畑で子ども達が手を取り合っているときに希望に満ちた顔を。
洞穴で悲しく歌ってる仕草を。
何かに感謝し微笑んで満足げな顔を。
夜に月に照らされながら海に向かって歩いて振り返り歌って消えていく絵を撮った。
俺のシャワーを浴びてから、動画編集をおこなった。
どの歌詞の時にどのシーンを入れるか悩みながら一つ一つ積み上げていった。
そしてミュージックビデオが完成する頃には少し明るくなっていた。
俺は少し寝ることにした。
俺が起きてみると、監督であるジョージと脚本家であるジョニーと衣装担当のキャロ。
それにロンドさんとシャロさんとシェリーが食い入るようにミュージックビデオを見ていた。
俺はいつの間にかお母さんの膝の上で頭を撫でられていた。
ミュージックビデオが終わると皆が俺が起きてる事も知らずに感想を言い始めた。
『モミジは監督の才能まであるんだね。たった5分なのにこんな引き付けられる映像を見せられたよ』
と監督のジョージさんが
『確かにね。脚本も作詞も文字だから表現次第で色々変わるけど、ここまで変えられるのはモミジくらいだよ』
と脚本家のジョニーが
『最初鉄扇はそこまで使わないと思ってたけどまさか3カットも使ってるとは…でも綺麗だったわ』
と衣装担当のキャロさんが
『あの口の動きも取り入れてくれたんだね。俺達が教えた全てをこのミュージックビデオで見た気がするよ』
と主役のロンドさんが
『あのカメラワークも完璧で体の使い方も指の使い方も髪の1束ずつ丁寧に使ってるな何だか追い抜かされた気分になるわ』
とシェリーが
『それだけ思えるならまだあなたは上にいけるわよシェリー。それに最後の海のシーンはなんて幻想的なの。ねぇリサ?』
とシャロさんが
『そうね。私もあれを見てまるでこの子が人魚姫に見えたわ。こんな可愛い顔をして寝ているのに、いつの間にこんな才能まで持っちゃって…。成長を見守れなかったのはとても残念だわ。でも……食べちゃいたいわ』
とお母さんが
皆に褒めて貰えて嬉しいがお母さんの食べちゃいたいわ発言は聞きたくなかったな。
そして俺は目覚めるタイミングを失ってしまった。
とりあえずもう少しこのままでいよう。
少しくらい甘えてもいい…よね?
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そして俺は日本に帰る日がやって来た。
お母さんとシャロさんが引き留めて泣いてくれていた。
だが俺も学校があるし、この新曲をCD化に向けて動かないといけないので帰ると言った。
まぁ空港まではお母さんのキャンピングカーで移動だから問題はないだろう。
と思っていたが、キャンピングカーの中でシェリーまで引き留めにかかってきた。
流石にあれはビックリしたぞ。
そして空港に着いて、監督さんや脚本家さん、ロンドさんとシャロさんとシェリーとお母さんが
『今回は本当にお世話になったね』
『君ともう一度作品を完成させたいよ』
『次に会う時は日本での試写会の時だよ』
『その時は私も行くからね』
『私も行くから案内よろしく』
『つっくん。風邪とか怪我に気を付けてね。ちゃんと寝るのよ?今の内にいっぱい遊んどくのよ』
と言われた。そう言えば日本でも試写会が有るんだっけ。
「ジョージ、俺の方こそお世話になりました。
ジョニー、俺も貴方の最高の脚本でまた仕事したい。
ロンドさん、試写会の時はサプライズって事で呼んでね。
シャロさん、今回の撮影でとてもお世話になりました。
シェリー、仮面着けてて良いなら案内するよ。
お母さん、俺の心配より自分の心配をしてね。
それと皆、試写会は色んな場所であるけど怪我とか病気とかしないで、日本に来るときは元気な姿を見せてね」
俺はそう言って日本に帰った。
この夏はとてつもない1ヶ月を経験した気がする。




