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第零話 明日の献立

第零話は、前作のおまけとして投稿した「明日の献立」とまるまる同じです。

既読の方は、次の第一話「にがくて、あまくて、クセになる。」からどうぞ。


序盤ではヒロインが警戒心MAXで可愛げに欠けますが、徐々にツンデレな感じを出していけるように頑張ります……!








 食欲、について考える。

 森の中でそれに出会う可能性はあまりないのだが、もし、実際バタリと出くわしたら自分は美味しそうだと思うのではないか。そういうことをよく考える。



「いや、でも……」

 ノアは頭を振る。



 今まで一度だって母に対して食欲を覚えたことなんてなかった。

 ノアは人間をそういう風には見ていないはずである。

 巷の人狼と自分は違う。そう思う。



 ーーーーけれど、母に対して食欲を覚えなかったのは、ただひたすらに相手が母という愛すべき家族だったからなのかもしれない。



"ノア"



 自分の名を呼ぶあの柔らかな声を思う。

 独り立ちを迎えて早一年。

 ノアは十六年間過ごしたあの縄張りから、出なくてはいけなかった。それが人狼という生き物だから。



 むしろ十六年間も留まったことが驚きだ。

 本来もっと早くに人狼は父から縄張りを追い出される。一つの区域にそう多くの個体数はいらないから。



 けれど一重に寂しがる母のその気持ちを汲んで、ノアは家族の元にギリギリまで留まり、父もそれを許した。




 一度出てしまえば、もう二度とまみえることはない。




 普段は胸の奥底にしまってある思い出や感傷がこうして疼くのには、理由があった。

 木々の向こうから、ぷんぷん匂って来るのだ。ここでは滅多に出会わないはずの、生き物の匂い。

 その匂いは、確かにノアの何かを刺激している。




 ーーーーそう、それは確かに紛うことなく人間の香りなのである。









 人狼として生まれたノアには、何と驚くことにずっと母親がいた。

 いや、それはノアにとっては当然のことなのだが、人狼という生き物にとってはあり得ない奇跡と呼べることだった。



 人狼は子を成すのに人間の娘の腹を借りるが、そこに情愛が存在することなど滅多にない。それも、双方の心が等しく釣り合うことなど。



 けれど父と母は本当に仲睦まじい夫婦で、だからノアとその兄弟達は母親に存分に愛情をかけられて育った、非常に希有な人狼だ。



 ノアは三人兄弟の真ん中に当たる。四つ年の離れた兄と九つ年の離れた弟。

 実は末の弟は兄が十三で独り立ちした後に生まれたので、兄弟全てを知っているのはノアだけだったりする。



 ノアは人狼だ。そのことはよく理解している。

 育ちが育ちだから人狼にしては穏やかな性を持つが、母と自分の間にはっきりと違いが存在していた。



 獣を見て自分の中を流れる血がたぎること、他を征服したい欲求が根底にあること、縄張りとか上下関係とか力を誇示することとか。

 自分の内をぐるぐる巡るそういう感覚は人狼として生まれ持ったもので、だから自分は人間とは違うのだとノアは思っている。



 家の中には常に温かい空気が満ちていた。母を中心に穏やかに回っていた。

 父は母の気持ちを常に尊重していたのだ。



 それと同時に、父は人狼としての必要なあれこれをきちんと息子達に教え込んだ。

 それは時にとても厳しく容赦のないものだったが、確実にノア達を生かす糧となっている。

 争いも知略も何もかも、ノア達はあの圧倒的な強さを誇る父から学んだのだ。



 母もまた自分と夫や息子達の違いをはっきりと認識していたように思う。だから、自分のやり方だけでは駄目なのだと分かっていたから、外で夫が息子達に教示するあれこれについてぐっと堪えて一切口を出さなかった。

 するのは怪我の心配だけ。



 家に帰ると、母はいつも扉を開けてすぐのところで薬箱を抱えてそわそわしていた。

 心配をかけていると思えば申し訳ない心持ちもしたが、母の関心がこちらに集中しているあの感じがいつもほんのり心を満たしていた。




 幸せ、だったと思う。




"幸せが分かるってことは、同じように不幸も理解できるということだわ"

 母がいつだか申し訳なさそうに言った。



"本来なら人狼として、知らなくていいことだったかもしれない。私と暮らしてきた全ては、あなた達に余計な苦しみを与えることもあると思う"



 知らずにいれば、楽にやり過ごせることがこの世にはきっと沢山ある。

 母が時折自責の念にかられたような複雑な顔をするのを、誰もやめさせられなかった。あの、父でさえも。



"きっと生きていれば、私を恨む瞬間もあるでしょう"



 父と出会うまで、父と一緒になるまで、母にも多くの苦労があったと聞く。

 きっと父と一緒になった後だって、苦労や孤独はあっただろう。何せあの家庭に人間は、女性は母しかいなかったのだから。

 だけどそんなものは遠くに追いやって、母はいつも微笑んでいた。

 微笑んで、あの日もノアをあの家から巣立たせた。



"だけど、心が温まるということは、本当にかけがえのない感覚よ。あなた達がその感覚を知っていて良かったと、そう思える人生を歩んで。それだけが私の願いだわ"



 あれから一年ーーーー

 いつまで続くのかよく分からない自分の人生について、自分の在り方について、だからノアはしばしば考える。

 ささやかな縄張りで、独りきりで。








 ノアが今居座っているこの縄張りは、決して広くない。

 父が治めていたあの縄張りに比べれば土地の豊かさも知れている。

 けれど人間がそうそう入って来ないという点では、良い立地と言えた。より人間の村に近い手前のエリアを大型の熊が根城にしており、更に所々生い茂る低木と予告なく現れるちょっとした岩場が足元に悪く、決して歩き易くはないのだ。



 なのに今、確かに人間の気配を、匂いを感じる。



「………………」

 息を殺して、足音を極限まで潜めて、ノアはそっと茂みから向こうを覗いた。

「!」

 いる。人間のーーーーそれも年若い娘が。



 ドキリと鼓動が跳ねる。



 サイドを編み込んできゅっと一つにまとめ上げたブルネットの髪、意思の強そうな濃い青の瞳。

 襟の詰まった紺色のワンピースは彼女の身体に沿い、その女性らしい曲線を強調する。

 しかしそのあちこちに籠手やら革のベルトやらツールホルダーやらがまとわりつき、物々しい出で立ちは彼女がきちんと森に住まうものに対して警戒を怠っていないことを教えた。黒の編み上げブーツが伸びるスカートの中には色々と物騒な物を仕込んでいるのだと、ノアには分かった。



 つまり、彼女は覚悟があって、そして何か意思をもって森へ踏み入ったのだ。



 平素から凛々しい印象を与えそうな瞳は、今は更に苦い色に染まっていた。理由は察しがつく。

 彼女は地面に座り込んでいるのだ。視線を辿れば、足を痛めたのだろうことは容易に想像できる。



「………………」

 興味はあった。

 でも実のところノアは人間というものをよく知らない。参考にできるのは母だけだ。



 このまま見て見ぬフリをするか、声をかけてみるか。



 ーーーーいやいや、自分は憎まれ恐れられ忌み嫌われる人狼だ。彼女からは悲鳴か侮蔑しか出てこないに決まっている。

 それが分かっていてわざわざ出て行く必要があるか?

 大体出て行ってどうするのだ。



 助ける?

 腹を満たす?



 ーーーーーーーーーどちらもピンとこない。



 しかし、でも、とまた思考がぐるぐるする。

 久しぶりの言葉を介す生き物だ。

 ここのところロクに会話などしていない。人狼同士の不愉快な縄張り争いの際か、独り言くらいにしか言葉を音にしないのである。



 ーーーーたまには、いいか。叫ばれようが泣かれようが、そんなものは折り込み済みだ。

 発声練習。そう、発声練習だと思えばいい。



「っ」

 ちょっとした緊張に、喉が締まったような感覚を覚える。

 ノアは思い切って茂みを掻き分け、彼女の前に姿を現した。

「!」

 物音にバッと顔を上げる彼女。

 純粋な驚きは彼の顔、いや、その頭に生えた耳を見て負の感情に汚れていく。



「人狼……!」



 彼女の反応は人狼相手に実に正しかった。

 頭で考えるより先に身体が反応してノアは首を傾ける。

 こちらを認識した瞬間、彼女は腕に取り付けていたボーガンから矢を放ったのだ。


 耳のごく傍で空気が裂ける。

 持っている装備にしろ、判断力、腕前、ただの小娘と侮れば不覚を取る相手かもしれない。

 彼女は外したと見るや否や、足の具合にも構わず勢いよく飛び退り、ノアと距離を取る。

 その眉間に皺が寄っているのは、痛みのためか嫌悪のためか。



「……足、怪我してるんじゃないの?」

 こちらは殺気を放っている訳ではない。そんなことは向こうだって分かっているはずだ。

 まぁ、人狼相手に見せる油断や隙はないのだろうが。



「こっちは何も取って喰おうって訳じゃない」

 ピタリと照準を合わせられた矢を見て、害意はないと両手をひらりと上げてみせたが、彼女はにべもなく吐き捨てた。

「人狼というのはもっと口が上手いと聞いていたけれど、呆れるほどしょうもない嘘をつくわね」



 人間を食べてはいけないと、実はそう教えられたことはない。

 もちろん勧められたこともないが。

 母がいる場でそんな空気を出すことは許されなかっただろうし、ノアもそんなことを考えたことはちらともないのだが、けれど人狼が人間をそういう目で見ることそれ自体を父が否定することはなかった。



"その選択肢に正しいも間違いもない。ただ、自分の頭でよく考えろ"



 そう言われただけ。



 何が自分にとってしっくりくる答えなのか、ノアにはまだ分からない。

 取り敢えず、はっきりしていることは。



「今のところ、空腹は覚えていないんだ。オレの言うことがしょうもなく聞こえるなら、それは人狼特有の巧言ではなく、ただただ事実だからだろう。その物騒なものを下ろしてくれ」

「下ろしたらどうするつもりよ」

 あんたの魂胆は分かっている、とその瞳が雄弁に語っている。

 だが、残念ながら彼女はノアの頭の中を何一つ読めていない。



 しかしまぁ…………彼女が素直に武器を下ろしたら、どうしよう?



 自分のノープランさに苦笑しかけて、けれどそんな顔を見せたら何をどう悪く解釈されるか分からないとギリギリで引っ込める。

「取り敢えず……怪我の手当てでも」

 瞬間、彼女の怒りの気配が濃厚さを増した。



 仕方がないのでノアは地面を蹴る。



「っぁ!?」

 次の瞬間、ノアは彼女の背後に回り、その右腕を押さえ込んでいた。こんなものをそう何度も放たれては敵わない。



「触らないで!」

 彼女は身を捩るが、それはノアにしてみれたば大した力ではない。

 しかしさすがと言うべきか、すぐさま彼女の靴がノアの足目掛けて振り下ろされーーーーしかしやはりそれも簡単にノアは避けてしまった。



 あと彼女にできるのは、大声を上げるぐらい。



「野蛮な害獣のクセに! 手当てですって!? 冗談じゃないわ!」



 強い憤り。

 彼女のこの憎しみはどこから来ているのだろう。

 正直、自分が何かをした訳でもないのに無差別に向けられる悪意は、胸の内を波立たせる。



「どうせあっという間に食い殺すクセに!」



「言っておくけど」

 彼女の腕からボーガンを奪ってしまう。あと腰に差していた諸々も。



「オレは人間を食べた前科はないよ」

 密着させた身体は、彼の予想通り太腿の辺りにナイフなんかがあることを教えたが、それはそのまま黙認することにする。

 さすがにそれを奪うのは、男としてあまりにマナーがなっていない。

 破廉恥極まりないし、そこまでしなくても気を付けていれば十分対処できる範囲内だと判断する。



「ーーーーはぁ?」

 無実を訴えた彼に、彼女は理解できないと言わんばかりのうろんげな顔をした。

「若い女と子供の肉は最高のご馳走なんでしょ」

「個人の見解だろ。食べたことないからよく分からないけど」

 ノアはもちろん肉を食すし好きだけれど、同じくらい野菜も摂取していたし、肉と野菜を同列に見ている。

 そう言えば独り立ちしてから野菜とは縁が遠のいていることに気付き、何だか久しぶりに食べたくなってしまった。

「さっきからあんたのそれ、とぼけてるつもりなの? 食べたことないにせよ、本能を考えれば結論は見え透いてるわよ」

 ふんと息を吐いている彼女はきっと虚勢を張っている。

 肝は据わっているようだが、ぎゅっと強張った身体を見るに、当然ながら恐怖がない訳ではないらしい。

 もちろん、それでも尚彼女の瞳はノアの隙を窺っていて、諦めの色はどこにも灯していなかったが。



 ーーーーいや、そもそもこちらは食べる気がないのだ。



 でも、それは本当だろうか。

 ノアは自分自身を疑ってみる。



 食欲、については、日頃から考えることが多いのだ。

 自分がそこそこあり得ない育ちをしているからこそ、生まれと育ちのどちらが自分を支配するものなのか、ふと不安にもならないちょっとした疑問が心をうろつく。



 ノアの顎の下から彼を射抜くように睨む彼女は、背後から押さえられているので必然喉をのけ反らせる形になっている。



 その、白い肌を見て。



 ノアは何か衝動を覚える。無意識に喉がこくりと鳴った。

 もしかすると、彼女の柔肌に牙を立てれば、ものすごく美味しいと感じるのかもしれない。そうかもしれない。



 でも、それは決定的な衝動ではなかった。本能の赴くままと促されても、その頤に指をかけた時点で躊躇ってしまいそうだ。



「殺す気がないって言うなら……!」

 彼女がまた激しく身を捩った。

「放してよ!」

「その足で無事に森を抜けられると?」

「初めて入った森でもなし、何とかするわ。何かあってもそれは自己責任よ。あんたといるよりはずっと安全」

 それはどうだろう。

 それはもちろん、ノアの気が急に変わることが絶対の絶対にないとは言わないが。

「害意がないなら放して。それが嘘だって言うなら今すぐ噛み殺しなさいよ。好きにすればいいわ。あんた達は簡単にそうできるでしょ!」

 何だろう。

 彼女の眦に涙が浮かぶ。

 でもそれは恐怖ではなく、悔しさの滲む涙。

 単にノアに押さえ込まれているこの状況に不甲斐なさを感じているだけだろうか。



「………………」

 すっと自然な動作でノアの指が雫を掬う。

「なにすんっ」

 羞恥に顔を染めた彼女はまた声を上げようとして、

「大声出すの」

「ん、むぐっ!」

 けれどノアの手が彼女の口を頬ごとすっぽり覆ってしまった。



 ノアの耳が機敏にぴくんと動いたことに、彼女は当然気付けなかっただろう。



「やめてくれないかな。あんまり騒ぐとよそ者が入り込んでくる。それでなくとも人間の娘の匂いなんて気付かれやすいのに」



 ーーーー面倒な気配がする。不愉快な足音を、葉擦れの音を、耳が捉える。

 このままここで押し問答をしていたら、その面倒は現れてしまうだろう。

 揉め事はご免だ。



 心の内だけで嘆息し、さてどうしようと改めて彼女を見る。

 殺されてやる気はないので、置いていくか宣言通り怪我の手当てをしてやるかのどっちかだ。

 もちろん食べるなんてのは選択肢にも入らない。



 彼女はそれなりに実力があるようだけれど、今の様子では放置されて無事でいられる可能性の方が低いように思う。

 ノアは自分のことをお人好しだとは思わないので、会ったばかりの彼女に問答無用で親切心を持ったりはしないがーーーーしかし、無視もできたのにわざわざ話しかけたのは自分だ。

 このまま立ち去るのは何だか後味が悪い気がする。

 それに縄張り内で無闇に血を撒き散らされるのは、ご遠慮願いたい。

 そこまで考えれば結論は出る。



「な、なに」

 ひとりでにふむと納得したノアに、彼女が警戒の色を強める。

「って、ちょ!」

 おもむろにノアは彼女を肩に担ぎ上げた。どちらかというと細身なノアだが、こう見えて最低限鍛えてある。

「な、ななな、何を」

「さっき、好きにすればいいって言ったから」

 担ぎ上げたのは足の怪我への配慮と、単純にそちらの方が速いから。



「何かあっても自己責任、なんだよね?」

「っ!」

「最初に出会った人狼がオレで、君は随分幸運だと思うけど」

「ふざけないで」



 内容は殺伐としているが、会話という行為自体は嫌じゃない。



「取り敢えずまぁ、血生臭いことはなしの方がそっちもいいだろう?」

 睨まれようが殺気を放たれようが、痛くも痒くもなかった。

「人狼の言うことなんて信用するに値しないのよ。……拐かすつもりなら、舌を噛み切って死ぬわ」

「したければ止めはしないけど、まぁもう少し状況を見極めてからにすればいいよ」

「あんたねぇ!」



 ノアは自分の心がそわりと動くのを感じた。

 むず痒い感じがする。



 独り立ちしてから今日まで、ノアは何とか生き延びている。

 時折争い事はあるが、それでもここ最近は落ち着いたものだった。

 人狼に生まれついたからには油断のできる日はないが、繰り返される毎日に大した違いはなく、あの温かな家庭があったからこそ、今との落差に時折わざわざ生きていることが無意味に思えることさえある。



 要するに、退屈していたのだ。



 それを、この出会いは変えてくれるだろうか。



 彼女と関わったことで、ノアの人生は暗い方へ転がるかもしれない。

 隙を突かれて彼女に殺されるかもしれないし、彼の居住を知った彼女が沢山の人間を引き連れて人狼狩りに出るかもしれない。

 人間が来なくとも、彼女の残り香を嗅ぎ付けたよその人狼が縄張りを荒らしに来るかもしれない。



 肩に担いだ彼女に視線を滑らせる。

 ねっとりとした怒りが彼女の腹でとぐろを巻いているのが分かる。

 ーーーーあまり都合の良い夢は見ない方が良いだろう。



 それに大体、ノアは確かに彼女に興味を覚えたが、それはごく軽い部類のものだった。

 もう少し正直に言えば、怒ってばかりで遠慮のない発言をする彼女はノアのイメージする人間の娘からはちょっと離れていて、もしかすると面倒な相手と関わったかもとすら思っていた。



 あぁ、でも、昨日と今日が、今日と明日が違うということは、とてつもなく刺激的だ。



 これが吉と出るか凶と出るか。

 賭けてみるのも、また一興。




"だけど、心が温まるということは、本当にかけがえのない感覚よ。あなた達がその感覚を知っていて良かったと、そう思える人生を歩んで"




 耳の奥で、あの日託された願いがこだまする。

 自分にとっての幸せと不幸せについて考えながら、ノアはその口の端に笑みを浮かべ、深い森の中へと姿を消した。









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