ついにやってしまったか……
お風呂から上がり、脱衣所までいくと問題発生。
「あの、ふたりとも服は?」
私が聞くとふたりはきょとんとしている。
「私たち服なんて着てませんよ」
「いつも着てないじゃないか」
「いやいや、それはモフモフのときでしょ」
この姿ではまずいよ、誰かに見られたら……。
また私が疑われる!
「とりあえずバニラはこの服を着てっ」
バニラに私のパーカーを渡す。
ちょっと大きめのサイズを着る私なので、
さらに小さいバニラだと、これだけでスカートみたいになってくれる。
「可愛いよ、バニラ」
変態か。私は。
「ありがとうございます、お姉ちゃん」
「いいよいいよ」
「じゃあ私は先にいくぞ」
「まってまって!」
何も着ずにいこうとするチョコを呼び止める。
「私は気にしないぞ、マスター」
「私が気にするの!」
とりあえず私は体を拭く用に持ってきていた
もう一枚のバスタオルをチョコに渡し巻きつける。
そして私は中に持って入ったタオルでさっと体を拭く。
「じゃあ部屋で待ってるぞ」
「お姉ちゃん先行ってるね」
「ま、まってよ~」
もう仕方ない。
私はバスタオルを体に巻きつけ、ふたりを追いかける。
「もう待ってってば、こんなとこ見られたら大変なことに……」
そう言いかけたときだった。
「か、かなでさん……」
ちょうどリビングに降りる階段のところにいた
いろはちゃんと遭遇。
さらに、
「ついにやってしまったか……」
上のてすりの所から声がする。
見上げるとこちらにジト目を向けるユウキがいた。
「ち、ちがうんですよ? この子達はですね……」
説明を始める私。
しかしそれをニヤニヤみていたチョコがさえぎる。
「はやくお部屋まで連れて行って? ご主人様~」
わざとらしくすり寄って来るチョコ。
さっきまでマスターと呼んでたのに、なんで今変えたぁ~。
ユウキの視線が痛い。
いや、待って。
女の子しかいないのだから、別にいいじゃない。
やましいことなんて何もないよね?
開き直った私はチョコをぐいっと抱き寄せる。
「どうなっても知らないよ?」
「へ?」
急に赤くなって慌てるチョコ。
やっぱり攻められるのは弱いんだね。
私の腕の中でもぞもぞ動くチョコ。
それを強引に止めながら後ろ髪をなでる。
「なななっ」
ユウキが恥ずかしそうに目を逸らす。
いろはちゃんは……、
すっごいこっち見てる。
生の百合だから?
そのとき上の階の扉が開く。
「さっきから騒がしいけど、どうしたの?」
あまりにも騒ぎすぎたのか、
マロンちゃんが出てきた。
「あれ、チョコとバニラ、なんでその姿なの?」
ん?
普通にふたりのこと知ってる?
あ、そうかマロンちゃんはむこうの人間だった。
「マロン、助けてくれ! マスターに襲われてるんだ!」
「ええ!?」
「なっ」
うまいことこの状況を利用したな、なんて子なの。
そのとき後ろから、ふわっと腕をつかまれる。
あ、バニラのことほったらかしだった。
顔を少し振り向かせると、
上目遣いのバニラの視線とぶつかる。
「お姉ちゃん……早くお部屋に戻りたいですぅ~」
うぉぉぉぉぉぉ~、可愛いぃぃぃぃぃぃ~。
私は思わずチョコを抱いていた腕をゆるめた。
その隙にチョコが脱出する。
そしてバニラの前に行くと頭を下げる。
「バニラ、すまない。楽しくて調子に乗ってしまった……」
あ、チョコが反省している。
やっぱり可愛いは正義だね。
「いいですよ。ひさしぶりなんですから」
「ありがとう、バニラ」
チョコもバニラ相手だと素直だね。
とりあえずふたりの着替えを用意するため私の部屋に行くことにした。
いろはちゃんとユウキにもちゃんと説明しないとね。