表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いつか夢見た百合の世界  作者: 朝乃 永遠
平和な日々と楽しい休日
86/104

今度ふたりだけで遊びに来ようね

やっとお姉ちゃんとこっちの世界で再会できた。

でももう遅い時間なので夕食をとるためレストランに入る。

このままナイトパレードを見れるようにテラス席に座ることにした。


そして注文したものが届いた人から食事を始めていく。


「ごめんね、もうちょっと早く来れたら良かったんだけど……」

「ううん、来てくれただけでも嬉しいよ」


私はお姉ちゃんの隣にぴったりとくっついて座っていた。

全員いると私たちは結構な人数なので2席とっている。

といってもおしゃべりに困るほど離れてはいないけど。


私と同じ席にいろはちゃんとユウキ。

それからマロンちゃんとハノちゃんも。


隣の席にモカさんとミントさん。

あとチョコたち3人とセツナさん。


セツナさん、さり気なく付いてきてるな……。


「この人がかなでのお姉さんか」

「あれ? ユウキってお姉ちゃんと会ったことなかったっけ?」

「あると思うけど、覚えてないな」


そうか、その時期の私の記憶ってかなり曖昧だからなぁ。

結構いじられたりしてるみたいだし。

いろはちゃんのことでごちゃごちゃしてたときだもんね。


「いろはちゃんも会ったことないよね?」

「そうですね、同じ施設にいたのは知ってますけど」


こんな話をしていたら、セツナさんがすごく微妙な表情をしていた。


「なんか隠してたはずなのに、ほとんど知られちゃってるんだけど……」

「いや~、この子たち優秀だし、それに強いよ、私たちの想像以上にさ」


セツナさんとミントさんが保護者的なお話を始めている。

私たちのために裏で頑張ってくれてたんだよね。

それを勝手に自分たちで見つけちゃったんだ。


確かにそれで傷ついたこともある。

でも考えてみたら、自分が何者であっても自分が変わるわけではない。

みんながいままで通りに接してくれるなら、私の幸せは変わらない。


いろいろあったからこそ、そう思えるようになったんだ。

変われたということか、それとも強くなれたのか。

私は逃げただけような気がしている。


「おお~、ついにハンバーグを食す時がきたぞ」

「よかったね、チョコ」

「ああ」


チョコの注文したハンバーグが届く。

それを前にして少し興奮気味だ。


「う~ん! うまい!」


一口食べて幸せそうな顔をする。

別に食べようと思えばいつでも食べられるものでこんなにも幸せになれるなんて。


やっぱり幸せって幸せだと思わないと手に入らないんだよね。

幸せだと思うから幸せなんだよね。


「マスター、一口あげる~」

「いいの?」

「マスターにも同じ気持ちになって欲しいからな~」


そう言ってチョコが一口食べさせてくれる。

フォークで私の口まで運ばれてくる。

それは今までで一番おいしいハンバーグだった。


その後、みんなゆっくりと食事を済ませていった。

今はお茶やコーヒーなどを飲みながらおしゃべりをしている。

そうしているうちにナイトパレードが始まった。


前来たときは間近で見てたんだよね。

でもここからのんびり眺めるのもいいもんだね。


「私、こういうの初めてだよ」

「そうなの?」

「うん、というか遊園地自体が初めて」


私はそう言うお姉ちゃんの横顔を見る。

まるでこどもみたいな表情をしていた。

せっかく初めて遊園地に来たのに何も遊べなかったんだよね。


「ねえ、お姉ちゃん」

「なぁに?」

「今度ふたりだけで遊びに来ようね」


お姉ちゃんはちょっと驚いたような顔をして私のことを見る。

それからやさしい笑顔になった。


「うん、そうだね」


その笑顔がちょうど打ち上がった花火に照らされる。

私は胸の鼓動が早くなるのを感じた。


やっぱり私はお姉ちゃんのことが大好きなのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ