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いつか夢見た百合の世界  作者: 朝乃 永遠
平和な日々と楽しい休日
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私と同じことを言ってるのに反応が違う……

「さあ、みんな予定は決まった?」


遊園地の休憩スペースのテラス席で私はみんなにそう尋ねた。


「お前、何事もなかったかのように戻ってきたな……」

「うん? ユウキ、どうかした?」

「いや、別に……」


ユウキが半眼で私を見てくるけど、それに笑顔で返す。

もうこの呆れた視線にも慣れてきたよ。


「そういえば、ユウキのやりたいゲームがあるんだよね? 行く?」

「それは後でいいよ、ボクだけのために来たわけじゃないし」


元々ユウキが来るのについてきただけのはずだけどね。

よし、ゲームのときは精一杯ユウキが楽しめるようにしよう。


「ミントさんとハノちゃんは行きたい所ある?」

「私は何があるのかわかりません……」

「あ、そっか、ごめんね」


そういえばハノちゃんは初めてだったか。

むこうにもこういうテーマパークはあるのかな?

海上レールみたいなのがあるならどこかにありそうだけど。


「私はかなでちゃんと一緒ならどこでもいいよ~!」

「うにゃ~!?」


ミントさんが後ろから私に抱きついて頬を磨り合わせてくる。

恥ずかしいからやめてほしい……。

ちょっとうれしいけど。


ミントさんを引き剥がそうと頑張っていると、チョコが元気よく手をあげて希望を言う。


「私はハンバーグが食べたいぞ!」

「それはお昼ごはんだね、うん、わかったよ」

「わ~い!」


たまに妙にこどもっぽくなるな、チョコって。

そこにバニラも手をあげて発言する。


「お姉ちゃんと一緒ならどこでも!」

「バニラ~! 愛してるよ~!」


私はミントさんを振り切り、バニラと抱き合う。

ああ、たまらないモフモフが。


「私と同じことを言ってるのに反応が違う……」


ミントさんのつぶやく声が後ろから聞こえる。

いや、違うんですよ。

バニラには私を魅了する魔法のようなものがあるんですよ。


そんな私たちのやり取りをまるでお姉さんのように見守っているいろはちゃん。

そこで何かを思い出したかのように「あ、そういえば……」とスマートフォンをテーブルに置いた。

何かのアプリを立ち上げると、立体映像が映し出された。


「うわっ、なにこれ?」


ユウキが驚きの声をあげる。


「お母さんから送られてきたのを忘れてました」

「これってこの遊園地のマップ?」


すごいな……。

もう何でもありな人だな、いろはちゃんのお母さんは。


「これで行ってみたい所を探してみればどうでしょうか」

「ありがとう、いろはちゃん」

「いえ、私は何も……」


私が頭をなでると、いろはちゃんの顔が赤くなっていく。

何度見てもかわいいなぁ。


さっそくマロンちゃんがマップアプリをいじっていると、あるものを見つけて指が止まる。

タップするとアトラクションの詳細が表示された。

便利なアプリだなぁ、みんなに公開したらいいのに。


「ねえ、これやってみたい!」


説明画面を指差しながら、キラキラの笑顔をこちらにむけてくるマロンちゃん。

目が星になってるよ……。


私とユウキとステラがマップを覗き説明文を読む。

それは500メートルの高さからの落下をVRで体験するというものらしい。

なにこれ怖すぎだよ……。


しかもここのVRってフルダイブだったから、きっとこれもそうだよね?

味まで再現してたし、これはもう本物に近い落下体験になるんじゃ……。


「よし! これ行こうか!」


ユウキが楽しそうにみんなに提案する。


「「おぉ~!」」


みんながそれに答える。

あれ? 意外とこういうの大丈夫なの?

私は実際に異世界で落ちたからなぁ~。


というか、私って転移魔法使えるようになったから落ちてもなんとかできるんだよね。

逆にそういうの使えなさそうなVRでの体験のほうが怖いかもしれない。


「お~い、かなで~、置いてくよ~」

「あれ? みんないつの間に!?」


気づけば一人ぼっちになっていた。


「みんな、待ってよ~!」

「かなでさん、早く~!」


いろはちゃんが私を呼びながら手を振っている。

その隣でハノちゃんがやさしく微笑んでいる。

このふたりが並んでいると天使と妖精みたいだなぁ。


いろはちゃんが天使で、ハノちゃんが妖精。

いや、ハノちゃんは天使でもあるなぁ。

ステラも妖精みたいに見えるし。


そんなどうでもいいことを真剣に悩みながら、駆け足でみんなのところにむかった。

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