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いつか夢見た百合の世界  作者: 朝乃 永遠
平和な日々と楽しい休日
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ほぅ~、いかにもかなでが好きそうな子じゃないか?

私とマロンちゃんとハノちゃんは三人でお風呂場を出た。

そのままみんながいるであろうリビングへとむかう。

そしてドアの前でハノちゃんが私の後ろに隠れるように回り込んだ。


くぅ~! 私こういうのに弱いんだよね~!

私は顔がニヤけるのをおさえながらドアを開いた。


「ただいま~、連れてきたよ~」


あいさつをしながらリビングに入ると、やはりみんなはそこにいた。


「おかえり~、あれマロンも一緒なのか」


一番近くにいたユウキがあいさつを返してくれる。

マロンちゃんにも気づいたようで、こちらにむかって歩いてきた。

そこで私の後ろにいるハノちゃんの存在にも気づいた。


「あ、この子が例の?」

「そう、ハノちゃんだよ」

「はぅ……」


ちょこんと顔を出したり隠れたりしているハノちゃん。

その姿を見てニヤニヤ笑い出すユウキ。


「ほぅ~、いかにもかなでが好きそうな子じゃないか?」

「あ、わかる~? ハノちゃん、この子はユウキっていうんだ」

「よ、よろしくお願いします……、ユウキさん」


それを見てユウキの様子がおかしくなった。

ハノちゃんと同じように、顔を赤くしてオドオドしている。


「あ、ああ、よろしくな、ハノ」

「はい……」


何照れてるのユウキ。

いくらユウキでもハノちゃんは渡せないからね!


「さぁ、こんな所にいないで座ろうよ」


マロンちゃんが前に出て私たちを呼んでいる。

後についてソファのところまで移動する。

そこにはすでにチョコとバニラがいて、ゴロゴロと寝っ転がっていた。


「チョコ、バニラ、ただいま」

「あ~、おかえりなさいです、お姉ちゃん!」

「おかえり~」


バニラはピョンと起き上がり、チョコは猫みたいにゴロゴロしている。

そのチョコが私の後ろにいたハノちゃんを見つけ、目を見開いて驚く。


「お? ハノじゃないか」

「本当です! ハノちゃんです!」

「チョコちゃん、バニラちゃん? すっかり人の姿になっちゃってますね……」


あれ? 知り合い?

そうか、お姉ちゃんのところにいたからか。

ということは、ユウキといろはちゃん以外は知り合いってことじゃない?


あ、ステラは違うかな?

でも世界は狭いなぁ。

異世界まで行ってもつながってるもんだねぇ……。


そこにいろはちゃんとステラがキッチンの方から歩いてきた。

実はステラ、貴重な三人目のお料理要員になっています。

ものすごい勢いでいろはちゃんから料理スキルを習得しています。


そしてステラがハノちゃんを見て、無表情のまま話しかける。


「ハノ様、いらっしゃいませ」

「えっと……、この感じはもしかして指輪ちゃんですか」

「はい」


あ、ここも知り合いだったか。


「初めましてハノさん、神田いろはです、よろしくお願いします」

「はい、よろしくお願いします」


このふたりが一緒に並んでると、のんびりした空気になるなぁ。

癒やされるよ~。

ハノちゃんも、いろはちゃん相手なら緊張せずに済むみたいだね。


「じゃあみんな揃ったし、遊園地へゴー!」

「え? もう行っちゃうの?」


マロンちゃんが張り切って、片手を大きくあげながら言った。

今日のマロンちゃん、なんかテンション高いなぁ。


「そういえばミントさんは?」

「あの人は現地集合だってさ、ゲートの前で待ってるって」


私がリビングを見回しながら尋ねると、ユウキが答えてくれた。

そうか、ミントさんって本土に住んでるのか。

それじゃあこれでみんな揃ってるわけだね。


「ユウキ、ミントさんとは何時に待ち合わせなの?」

「9時だよ~」


今7時過ぎだから、まだ時間あるね。

でも何か忘れてるような気がする……。

そこにキッチンに戻っていたステラがお盆を持って帰ってくる。


「あのみなさん、朝食がまだですよ……」

「あ、それだ!」


ステラが持ってきたお盆の上には、たくさんのサンドイッチが乗っていた。


「これステラが作ってくれたの?」

「私といろはお姉さまで……」

「そっか、ありがとね」


私がお礼を言って頭をなでると、ステラはほんの少し頬を赤く染めた。

そこにいろはちゃんがもう一つお盆にサンドイッチを乗せて持ってきた。


「いろはちゃんもありがとう」

「いえいえ、たくさん作ったのでいっぱい食べてくださいね」


そう言うと二人はキッチンに戻り、さらにもう一つずつお盆を持ってくる。


「おい、ちょっと多すぎないか……」


テーブルに並ぶ大量のサンドイッチを前に、ユウキが若干引いていた。

その間にさらに二つお盆が追加される。


「ちゃんと食べていっぱい遊びましょうね!」


この量になんの疑問もないのか、ニッコリと笑ういろはちゃん。

そしてその隣で無言で頷くステラ。


「これ朝から食べるような量か?」

「はは……、食べきれなかったらお弁当として持っていこうか」


ユウキとふたりでそんな心配をしていた。

しかし意外にもあっさりと食べ終わったのだった。


そう、私たちは長い間三人で暮らしていたけど、今ここには八人もいる。

いつの間にか増えていった仲間の人数を実感した。


すごく賑やかになったリビングを見ていると、私の胸が温かくなっていった。

今日も楽しい一日になりそうだ。

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