私はかなでさんと二人でデートしたいです……
さて、今日私がここに来た目的を果たそう。
モカさんもいてくれてるし、ちょうどいい。
元々誘うつもりだったし。
そういえばモカさんって、この前の遊園地の時会ってるんだよね。
なぜかレストランで食事中に連絡がくるっていう……。
それほど日は経ってないのに、大分昔のことみたいに感じるなぁ。
滅多に会えない人なのかと思えば、いつもそばに居てくれるんだから。
ちょっと怖いくらいにね……。
「あの、二人とも明日って空いてますか?」
「明日ですか?」
私が尋ねると、ハノちゃんが不思議そうに聞き返してくる。
モカさんは……、忙しそうにスマートフォンを操作している。
さっきハノちゃんに何かもらってたけど、何してるんだろう……。
「私の予定はかなでさん優先なので、空けますよ」
「あ、そんな、無理はしないでね」
「大丈夫です、めがみ様の所に行くつもりだっただけですから」
ハノちゃんはやさしく微笑んでいる。
お姉ちゃんの扱いひどいな。
ごめんねお姉ちゃん、ハノちゃんは私のものだよ。
「それで、明日何があるんですか?」
「えっとね、実は……」
私はちょっとためらいつつ、思い切って口にした。
「明日、私たちの世界に来て遊ばない?」
「へ?」
突然過ぎたかな?
でもせっかく遊園地に行くんだしね。
こういう時に一緒に行けたらなぁって思ったんだ。
「い……」
「い?」
「いいんですか~!?」
「うわっ」
びっくりした~。
ハノちゃんと思えない声だった。
「そんなに行きたかったの?」
「もちろんですよ! かなでさんの過ごしてきた場所なんですから!」
ハノちゃんの目が光り輝いている……。
そんなに喜ばれるとなんだか照れるね。
「ハノちゃんのこと、みんなに紹介するね」
「な、なんだか緊張しますね……」
まぁそうだよね。
ハノちゃんからしたら異世界の人だもんね。
でも実はそんなに大差ない存在なんだけどね、あの子たち。
「大丈夫だよ、すごくいい子たちだから」
「そ、そうですか」
「明日、一緒に遊んでるうちに仲良くなれるよ」
私がそう言うと、ハノちゃんがなぜか残念そうな表情をする。
「え? 二人きりじゃないんですか……」
「あ、うん、みんなで遊んで仲良くなれたらなぁって」
「それもいいですけど、私はかなでさんと二人でデートしたいです……」
二人でデート……だと。
なにそれ、最高。
「む~、デート~」
おっほ~、駄々をこねるハノちゃん、レア!
かわいすぎるよ~。
「ハノちゃん、また別の日に必ずね」
「えへへ、やりました~」
ハノちゃんが喜んで私の腕に抱きつく。
控えめな胸が当たっている。
ぐふふ。
「私、いないほうがいいのかしら……」
「あ……」
モカさんがいつの間にか作業を終えて、私たちを生温かい目で見ていた。
は、恥ずかし……。
「あの、モカさんは明日空いてますか?」
「お誘いは嬉しいのだけど、約束まではできないわね」
「そうですか……」
残念だなぁ、モカさんとも遊びたかったのになぁ。
それにマロンちゃんも喜ぶだろうし。
「モカさん……」
「モカお姉ちゃん……」
私とハノちゃんのふたりでモカさんを見つめる。
「うっ、そんな目で見られても……」
「あ、ごめんなさい」
そうだよね。
あのモカさんが誘っても来ないんだから、大事な用事だよね。
「お姉ちゃんは来られるかなぁ……」
「私の用事ってめがみさんと一緒なのよ、だから……」
「うう~」
お姉ちゃんもダメなのか……。
まあ、ちっちゃいこどもじゃないんだし、ワガママ言うわけにも行かないか。
でもね、まだまだ甘えたいお年頃なんだよ私。
「もし用事が早く片付いたら、めがみさんと一緒に合流するから」
「本当ですか? じゃああまり期待しないようにして待ってます」
私がそう言うと、モカさんはポンポンと頭をなでてくれた。
やっぱりモカさんはやさしいなぁ。
「よし、今日は明日の分までモカさんたちと一緒にいるよ~!」
「あの子たちのご飯作りに行かなくていいの?」
モカさんがからかうように聞いてくる。
「実はいろはちゃんに頼んできたんですよ」
「そう、なら安心ね」
モカさんとふたりで笑っていると、ハノちゃんがクイクイッと服を引っ張ってくる。
「モカお姉ちゃんはかなでさんの家に行ったことあるんですか?」
「うん、私の家っていうか、みんなで住んでる家だけどね」
モカさんもハノちゃんの頭を撫でながら微笑む。
「私の妹も一緒に住んでるのよ」
「モカお姉ちゃんの妹さんですか?」
「そう、マロンっていうの、明日仲良くしてあげてね」
「はいっ、……マロンちゃん?」
きっと仲良くなれるよ、やさしい子たちだから。
「それじゃあお姉ちゃんに会いに行きますか」
「行きましょう!」
その後みんなでお姉ちゃんの家まで行って、暗くなるまで遊んでいた。




