カレードリアだよ~
シェアハウスのみんなと、島の商店街にあるファミレスにやってきた。
このお店の名前は『ドルフィン』という。
いつできたのかは思い出せない。
晩御飯としてはいい時間だと思うけど、やっぱり他にお客さんがほぼいない。
大丈夫なのかなこのお店。
かなりきれいな店舗だけど、採算取ろうとしてないよね多分。
席は自由でいいらしく、店員さんがパッと見ではいない。
注文はタッチパネル式になっている。
無人化の流れか、一応経費削減をこういうところでしてるんだね。
でも気を遣わないし好きだけどね、この形式。
「みんな注文は決まった?」
私はメニューを見て早々にカレードリアに決めた。
みんなの注文を聞くとチョコが真っ先に答える。
「私はカレーにするぞ!」
「あれ、またカレーなの?」
私も一応カレーだが。
「前に今度はハンバーグにするって言ってなかったっけ? いいの?」
「あれは遊園地に行ったときに食べるんだ」
「お、じゃあまた行かないとだね」
今度行くのはいつになるだろうか。
そんなに頻繁にはいかないと思うけど。
そう思ってたらユウキからお誘いがかかる。
「今週末にさ、あの遊園地に新作ゲームが入るんだよ」
「え、そうなの?」
「ああ、楽しみで待ちきれないんだよね」
ユウキがこどもみたいな笑顔で話す。
「早速遊びに行くつもりなんだけど一緒に来るか?」
行動早いなぁ……。
もしかしてメイド服を着てたのは、浮かれていたからかな?
いや、関係ないか。
なんだったんだろう、あれ。
それより週末か。
マロンちゃんの家に行く準備を進めながら、遊びに行くのもいいかも。
「チョコ、また遊びに行こうか、遊園地」
「もちろんだ!」
こちらもこどもらしいとてもいい笑顔だ。
「まさか三人で行くつもりじゃないですよね?」
「せっかくですからまたみんなでお出かけしましょう?」
バニラといろはちゃんもお出かけムードに。
マロンちゃんもすでにユウキと当日の予定を話し合っている。
まさかこんなに早くまた行くことになるとは。
またまた楽しいイベントができたね。
「あ、でも明日一緒に遊ぶのは変わらないですよ? お姉ちゃん」
「あはは、うん、わかってるよ」
一応くぎを刺してくるバニラに笑い返す。
もちろん一緒に遊ぶ約束を変えたりはしないよ。
大事な約束だからね。
そんなこんなで週末の予定を話していると、いつの間にか注文が終わっていた料理が届く。
その現れたウェイトレスさんをみて驚いた。
「ミ、ミントさん!?」
「やっほー、かなでちゃん♪」
「あ、アニメショップの店員さんだ!」
マロンちゃんもびっくりのその人。
アニメショップの店員さんで、異世界のお菓子屋さんの店長をしていたミントさんだった。
あとはお姉ちゃんの病院の時の看護婦さんで……。
ホントどこにでもいるな、この人。
あ、そういえばお土産に買ったあのパンケーキ渡し忘れてる!
帰ったら渡そう。
「ミントさん何でいるの?」
「何でってバイトみたいなもんだよ?」
「本当かな……」
これは行く先々になぜかいるパターンじゃないだろうか。
「わたしにもいろいろあるんだよ、さぁ食べて食べて」
ミントさんはさっさと料理を運んでくると、手をぱっぱと振って奥に戻っていった。
もしかしたらだけど、いろはちゃんのお母さんに頼まれてるのかな?
こっそりと私たちを見守ってくれているとか。
うん、なんか怖いしそういうことにしておこう。
でもいろはちゃんのこと紹介してとか言ってたから知り合いではないのか。
まぁいっか。
それよりドリアドリア、カレードリアだよ~。
このカレーとチーズの組み合わせがたまりませんよ!
私のほかチョコがカレーでユウキがカツカレーを頼んでいた。
カレー率高いな私たち。
マロンちゃんはサイコロステーキか、がっつりしてるね。
そしていろはちゃんとバニラは二人でお鍋を頼んだみたいだ。
まるで本物の姉妹に見えるくらい仲がいい。
それぞれ料理を食べながら再び週末の話を始める。
途中でドリンクバーやデザートを追加しておしゃべりを続けた。
そしてデザートを持ってきたとき、自然に話に混ざってきたミントさん。
アニメショップで何度も話してるせいか、早くもみんなと打ち解けている。
その流れで週末は一緒に遊園地で遊ぶことになった。
他のお客さんがいなくなったのをいいことにがっつりと話し込む私たち。
まるで家のリビングにいるかのようだった。
初めての場所で、しかも普段はいないミントさんもいるのに、とても落ち着く。
なんだろう、平和だなぁ。
いろいろ非日常なことが続いたから、こんな時間がすごくうれしい。
みんなと過ごす時間。
家族と過ごす時間はとてもとてもやさしいものなんだ。




