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いつか夢見た百合の世界  作者: 朝乃 永遠
かなでが新しく手に入れたもの
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あ、アニメショップの店員さん!?

港前の広場は実際に着いてみると、遠目に見ていた時よりも多くの人で賑わっている。

ホントにハノちゃんの家と同じ島と思えない。


この広場はまるでショッピングモールのように様々なお店が集まっている。

食料品や衣料品、家電まで売っている。


そういえばこの世界は電気で動くものと、魔力で動くものがあるみたい。

魔力で動くものは何て呼ばれてるんだろうか。

……あ、マジックアイテムって書いてある。


とりあえずここに来ればこの世界で生きていくのに必要なものは揃いそうだね。

通りが屋台だったのに対して、こちらはお店が集まっているみたいだ。


三人でぶらぶら歩いていると、小さなお菓子屋さんが目に留まった。

なぜ気になったのかは自分でもわからないけど。

そのお店の前を通り過ぎようとしたとき、ハノちゃんが私の服の裾をくいっと引っ張った。


やだ、今のキュンとなったよ。


「ハノちゃん、どうかした?」

「あ、すいません、ここのお菓子が私のお気に入りで、かなでさんにも食べてほしいなって思いまして」

「へぇ、それは食べてみたいね」


なぜか気になったお店なのでちょうどいいね。

私たちはハノちゃんについてお店の中に入る。

そこでお姉ちゃんが何かに気付いて話しかけてくる。


「ここって、最近うわさになってたお菓子屋さんじゃない?」

「あ、そうですね、知ってる人には好評らしいですよ」

「ということはハノちゃんのお気に入りはクジラの?」

「それです」


何々? 二人で盛り上がらないでよ……。

ひとりでショボンとしてると店員さんらしき人の声がした。


「あ、巫女ちゃんだ~」

「こんにちは、ミントさん」

「今日はひとりじゃないんだ、初めてだね」


ん? なんか聞き覚えのある声だなぁ……。

と思ったら本当に知り合いだった。


「あ、アニメショップの店員さん!?」

「キャー! かなでちゃん!?」


そう、私たちの世界の本土の街でアニメショップの店員をしていたお姉さんだ。

それだけではない、なんとこの人はお姉ちゃんが入院していた病院の看護婦さんなのだ。

前回会ったときに私がとある事情で知り合いといったのはそのこと。


「めがみちゃんもおひさしぶり~」

「な、なんで看護婦さんがここに?」


お姉ちゃんもびっくりしている。

ということは、こっちの世界で今まで会ったりしてないのか。


それにミントさんというのか。

まさか今頃出てくるとは、食べ物系の名前……。

というか私、名前知らなかったんだよね。


そういえばこの人はどこから世界を行き来してるんだろう。

あの露天風呂以外にも扉があるってことかな?


「ミントさんって言うんですか……、ということはこっちの世界の人なんですね?」

「そうだよ、むこうには知り合いがいてさ、ちょっと手伝ってたんだよ」


お姉ちゃんと店員さん……ミントさんが話し始める。

こっちの世界の人だったんだ……。


「知り合いって?」

「神田さくらと寺町雪菜だよ~、知り合いじゃない?」


嘘……。

いろはちゃんとユウキのお母さんの名前だ……。

そういえばあの病院って神田家の関連施設だっけ。


「年を取っていないように見えるのは?」

「それはめがみちゃんも一緒なんじゃない?」

「嘘でしょ……」


確かにミントさんもずっと年を取ってないように見える。

私はちょくちょく顔を合わせてたから気にしてなかったけど。


「事情があれだけに関係者は減らしておきたいんだよ、きっと」

「それはそうですけどね……」


さっきから二人は何の話をしてるんだろう。

気になるけど、あんまり関わりたくない気もする。

私の平穏な日常が壊れるような、そんな予感がする……。


その時ミントさんがさっと空気を変えてくれた。


「まぁ、今はそんなこといいじゃん? かなでちゃんもいるしさ」

「あはは……、そうですね、じゃあお菓子くださいよ」

「何がいいの?」


そうだったよ。

ハノちゃんのお気に入りのお菓子を買いに来たんだった。

すっかり置いてきぼりじゃない。


「ハノちゃん、どのお菓子なの?」

「え? あ、はい!」


ハノちゃんは話の間、お店に並ぶお菓子を物色していた。

そして私に呼ばれてピョンと帰ってきた。


「これ、これです! クジラです!」


ハノちゃんがキラキラした目で持ってきたお菓子。

それはクジラのキャラクターの形で、青く透き通っていた。

なんだこのお菓子は。


「これは何て言うお菓子なの?」

「パンケーキですよ」


嘘でしょ……。

透き通ってるパンケーキ?

私が少し戸惑ってると、ミントさんが説明をしてくれた。


「これはね、この世界の特殊な小麦粉で作ってるんだ~」

「特殊って言っちゃってるよ!?」

「だから透けてるんだよ、安心してね?」


あんまり説明になってない!?

まぁ魔法だよね、きっと。


でも確かに食べるのがもったいないくらいにきれいな見た目だ。

これ飾ってあったら置物に見えなくもないよ。


みんなへのお土産に買っていこうかな。

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