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いつか夢見た百合の世界  作者: 朝乃 永遠
ついに異世界へ
39/104

新しいプロポーズですか?

「天空の島?」

「そう、天空の島」


この世界にはそんなものが存在するのか。

島が空を飛んでるってことだよね。

それを私にくれるってこと?


そもそも所有者とかあるの?

いろいろわからないことだらけだけど。


そう思っているとお姉ちゃんが少しずつ説明してくれる。


「天空の島って言っても、そんなに高いところを飛んでるわけじゃないんだけどね」

「雲の上とかじゃないの?」

「昔は飛んでたみたいだけど、今は高くても、人の乗る気球くらいかな」


あ~、それでもけっこう高いなぁ。


「で、その天空の島なんだけど、

動かすのに魔力とか使うから、説明をしようと思って」


へぇ。

それ、私にできるのかな。


「その島って魔力で浮かんでるの?」

「そうよ」

「無くならないの? その魔力は」

「ギクッ」


ん?

何かなぁ、今の。


「かなで、島を持ってるといいことあるわよ」

「どんな?」

「女の子に『私の島で空をドライブしない?』って誘えばモテモテよ」


ホントかなぁ。

確認の意味でモカさんとハノちゃんに視線を向ける。


「そんなことされたら私……」

「ドン引きです」

「……」


どういうことかなぁ。

私はジト目をお姉ちゃんにむける。

即視線をそらすお姉ちゃん。


「お姉ちゃん、なんでそんなに私に島を押し付けようとしてるの?」

「うぅ、だって~」


「みんな私に島を押し付けていくんだもん~!」

「え~!?」


どうなってるんだろう。

そんなにいらないのかな。


私の疑問にモカさんが答えてくれる。


「今はみんな生活に必要な魔力しか持ってない人が多いから」

「そうなんですか?」

「私やめがみさん、かなでさんもだけど、このレベルで魔力を持っている人はかなり減ってきてるの」


モカさんの話では、争いのない平和な世界では、

魔力を鍛える必要がほとんどないらしい。


それに加えて、前までは天空の島に蓄えられていた魔力が、徐々に底をついてきている。

そこで新たに魔力をためる必要があると。

でも、それをできる人がかなり少ないそうだ。


「私のデータによると、現在の天空の島の所持者の7割がめがみさんね」

「そ、そんなに」


それはかわいそうだね……。


お姉ちゃんが涙を流しながら話し始める。


「チョコとバニラに一つ渡したんだけど、すぐに放置して墜落させるし」

「え? それ大丈夫なの?」


チョコ、バニラ、なにやっちゃってんの!?


「まぁ、この世界はほとんど海だし、人が住む島には一応結界が残ってるから天空の島くらいは、ペンってはじかれるわ」


ペンって……。


そこでモカさんが昔を懐かしむような表情でこう言った。


「私もマロンも昔、地上にむかって落っことしたことあったわね」

「え」

「ふふ、懐かしいわ……」


この世界って、そんなポンポン島が落ちてくるの!?

怖すぎるんだけど……。


「かなで、欲しくなったでしょ?」

「今の話で欲しくなる人いると思う!?」


お姉ちゃんはかわいそうだけど、欲しくならないよ……。

しかし、モカさんがようやくメリットになる話をしてくれる。


「あ、でもかなでさん、ドライブは引くけど、島の所有者ともなればステータスにはなるわよ」

「そうなんですか?」

「それだけ強い魔力を持ってるってことの証明だから」


あ~、まぁそうなるか。


「私も持ってるのよ、維持できれば空を飛んでいられるからきれいだし」


モカさん持ってるんだ……。

落っことしたやつかな。


「それにそこら辺の島も、もとは落ちてきたものだったりもしますし、制御部から再浮上したり、変形とか結合もできますよ」


ハノちゃんまで詳しいなぁ。

あれ、もしかして持っていらっしゃる?

というか、制御部って何?


「いつか、私の島とかなでさんの島を結合して、空に浮かぶふたりの空間を作りませんか?」


え、なにこれ。

新しいプロポーズですか?


「あっ、私ったら大胆なことを……」


ハノちゃんが急に真っ赤になった。


「ハノちゃん、抜け駆け禁止よ」


するとモカさんが参戦してくる。


「私の島もくっつけるわ」

「ずっと私たち一緒ですね」


幸せそうにほほえむふたり。

なんだかよくわからないけど、急に島がいいものに思えてきちゃったよ。


これはゲットしちゃってもいいんじゃないですか?

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