家の中で神風吹かないかな……
「私もね、ハノちゃんの家族になりたいって思う」
私はハノちゃんの手を取り、両手で包んだ。
今度は失敗しないぞ。
「私、ハノちゃんのお姉ちゃんになるっ!」
「ぴぇ!?」
ちょっと驚かせちゃったかな。
でも決まったんじゃない?
少しの間固まっていたハノちゃんが
ほんのりと頬を朱色に染めながら微笑んだ。
「いきなり二人もお姉ちゃんができちゃいましたね、えへへ」
キュン。
やっぱり嫁にしたい。
今、私の隣で深呼吸しているモカさんも、
同じように思ってるんじゃないかな。
私の着替えを借りるためにハノちゃんの部屋までやってきた。
そこはもう、夢見る乙女の住むところだった。
ふわふわモフモフのぬいぐるみが並び、
全体がピンクと白で構成されているかわいいお部屋。
メリーゴーランドで大喜びしそうな気がする。
パソコンまでかわいいデザインをしている。
こんなのどこで手に入るんだろう。
お姉ちゃんがあげたんだよね?
ハノちゃんが、押し入れのクローゼットを開く。
かわいい服が数枚並んでいる程度で、そんなに多く持っていないようだ。
ただそのなかに魔法少女みたいなフリフリを見つけた。
「この服は……」
「あ、それはめがみさまにもらったんです」
なにしてんのお姉ちゃん!
さすがだよ!
「でも、恥ずかしくて結局一回しか着てないです……」
「ええっ、もったいないよ こんなに可愛いのに」
「こういうの好きなら使ってもらっていいですよ」
ぎゃ~、私に返ってきた~!
勧めといて自分が着たくないとは言いづらい……。
「あ、これ、借ります……」
「はいどうぞ」
ハノちゃんからフリフリ衣装を受け取る。
モカさんが後ろで「フフフ」と笑っていた。
まぁ仕方ないか……。
私が着替えのために服を脱ぎ始める。
モカさんとハノちゃんがその様子をじっと見ている。
「あの、そんなに見られると恥ずかしいです……」
「さっきは私の着替え見てたでしょう?」
「私も恥ずかしかったんですから……」
ぎゃ~! また返ってきちゃったよ~!
これからはよく考えて行動しないと……。
いやでも、目の前の楽園を見逃すなんて私にはできない!
それなら見られてでも、見る!!
よし、見られても平気になるようにレベルアップしよう。
私はバスローブ化しているバスタオルをほどいていく。
はらりと私の体の前の部分があらわになる。
するとモカさんの表情が固まってしまった。
「かなでさんは……下着をつけない人なの?」
「え、いや、違いますよ!? これは入浴中だったからで……」
しまった、やっちゃった。
さっきまで気にしてたのに、なぜこの瞬間に忘れてしまったのか。
パンツ履いてなかったよ~。
恥ずかしい姿を見られて、頭がぐるぐるする。
しかしハノちゃんの一言で空気が変わった。
「私も家では下着つけませんよ?」
「え」
「うそ……」
そういえばさっき履いてなかった……。
そっか……。
まさかハノちゃんが……。
「あれ、変ですか? 別に見られるわけじゃないですし……」
「素敵だと思います♪」
思いっきり本音を漏らしてしまった。
私の前で神風吹くといいな♪
「まぁ、外ではスパッツ履きますけど」
「そ、そんな……」
家の中で神風吹かないかな……。
あ、風魔法を教えてもらって、それでさりげなくとか。
家に帰ったらチョコあたりに教えてもらおっと♪
「かなでさん、変なこと考えてない?」
「ないですよ?」
「家の中で風魔法とか使ったらダメよ」
「え!? まさか、そんなこと、するはずないじゃないですか……」
モカさんにジト目でみられる。
あ、ジト目かわいい!
「その表情、かわいいですね!」
「な、誤魔化して……もうっ」
そのまま赤くなるモカさんはとてもかわいい。
そんなことをしていてすっかり忘れていた。
自分の姿がどんな状態なのかを……。
ハノちゃんがチラチラと恥ずかしそうに私の方を見ている。
その視線をたどると、私のピーチが大公開中だった。
ほわわわ!?
は、早く服を着ないと~!
私は急いで服を身に着けていった。
フリフリの魔法少女の服を。




