私の美少女観察眼によれば同い年だね
私のすぐ隣で変なポーズをしながら固まっている美少女。
彼女は私に「めがみ様」と言った。
しかし、とりあえずそれはどうでもいい。
まず気になっているのはそのポーズだよ。
「あの、そのポーズはもしや天使の舞?」
「えと……、み、巫女の舞です……」
「そうなんだ、ありがとう」
「い、いえ……」
巫女の舞だったか……。
それより聞いた?
今の声!
すっっっっごくかわいいの!
真っ赤な顔で頑張って答えてくれたの!
このちっちゃい感じとか、おとなしそうでやわらかい雰囲気とか!
私の好みど真ん中だよ~。
ビビッときたね!
今だに変なポーズを維持している彼女。
何があったかわからないけど、
すごくはだけて、半裸状態の巫女服がまたいい!
年下に見えるけど、私の美少女観察眼によれば同い年だね。
私はこの眼で彼女の全身をなめまわすように見ていた。
ああ、好きだ……。
この変態チックな行いに気づかないほど、私は冷静ではありません。
ここまできてようやく女の子は動き出した。
「ふぇ~」
ふるえた細い小さな悲鳴をあげる。
そして体を腕で隠しながらしゃがみ込む。
はっと自分のしたことに気づき、彼女と同じようにしゃがむ。
そして、肩までくらいのふわふわの髪の毛をなでながらなぐさめる。
「ぴえ~」
変な泣き声を出しながら、私の方に突っ込んでくる。
私は支えられず仰向けに倒れてしまった。
なんだ、私は嫌われたわけではないのかな。
私の胸に顔や髪の毛をグシグシ押し付けながら泣き続けている。
こそばゆいけど、うへへ。
とりあえず髪の毛をなでなでモフモフ。
ついでにいろいろモフモフ。
ウフフ。
初対面の女の子に何してるんだろ私。
……10分後。
ようやく泣き止み、ふたりで立ち上がる。
「ご迷惑をおかけしました……」
「あ、いえいえ、かわいかったです」
「え?」
「ううん、なんでもないよ」
「そういえばさっき、めがみ様って」
「あ、ごめんなさい、人違いでした」
人違い? 私とめがみ様を?
「ここを通るの、今はめがみ様だけだから」
「あ、こっち通るんだね」
実は私の出てきたところの隣に大きな鳥居とほこらがある。
浅い洞窟みたいになっていて、こっちが本殿っぽい。
お風呂のお湯はここから流れてきている。
すごい神聖な露天風呂だね。
「あ、名前……、私、ハノといいます」
「えっと、姫百合かなでです」
「姫百合?」
私の嫁であるハノちゃんが姫百合をいう名前に反応する。
珍しいかな。
いや、そもそも名前の付け方が違うよね。
あれ、そういえば食べ物関連の名前じゃない?
こっちの人はそういう名前だと思ってたのに。
たまたま知り合いがそうだっただけか。
次はミントちゃんとかクルミちゃんとかでてくると思ってたよ。
「めがみ様も姫百合って言ってましたね」
「そうなんだ」
「あ、もしかして、めがみ様の妹さんだったりとか?」
「え?」
ちょっと待ってよ?
こっちの世界にこれる人なんて数えるくらいしかいないよね。
それで姫百合という性はこっちにはいないだろう。
それに私はハノちゃんに見間違われているし。
もしかして、お姉ちゃん……。
めがみ様って呼ばせているの!?
そうだ、本名で確認すればいいんだ。
ってあれ?
お姉ちゃんの名前……なんだっけ?
うう……。思い出せない……。
ずっとお姉ちゃんって呼んでたし。
誰かに聞いてこようか。
いや、それだけのために戻るのもね。
勝手にきちゃってるし、こっそり帰りたいよね。
いっそ、この子をお持ち帰りして……。
……は、まずいよね~、女の子同士でも。
あ、モカさんに聞こう!
お姉ちゃんのこと知ってるみたいだったし。
なぜか連絡取れるようになってるし。
「ハノちゃん、ちょっと待っててね」
「へ? はい」
モカさんに電話って初めてだし、ドキドキするよ~。
では、いざ!




