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いつか夢見た百合の世界  作者: 朝乃 永遠
遊園地で遊ぼう
27/104

『モカお姉ちゃん』で登録されていた

7番テーブルってどこ?

モカさんの指定したテーブルを見つけられず、店内を順番に回る。

そしてやっと見つかる。


テーブル番号で見つけたのではなく、モカさんの姿が目立ったから。


わぁ……、フード被ったままコーヒー飲んでる……。


「あの、モカさん?」

「こんばんは、かなでさん。座って?」


テーブルに食べかけのパフェを置き、モカさんの対面に座ろうとした。

それを見てモカさんが手で止める。


「なぜそっちに座るの? こっちに来て?」


え。

4人席でふたりなのに隣に座るの?

そういうものだっけ?

私詳しくないし、常識人のモカさんに任よう。


「パフェで苦戦しているのでしょう? これは私が食べておいてあげるわ」

「あ、ありがとうございます」

「あなたはあのふたりの残りを食べてあげて」


「……あの、なんで状況を知ってるんですか?」

「言ったでしょう? いつも見守ってるって」

「まぁそうですけど……」


本当に見守ってるってこと?

ちょっと怖い。


「ふふふ、冗談。たまたまよ」

「そ、そうですか」


なにがたまたまなんだろう。


「あ、そういえばモカさんは、その、マロンちゃんの……」

「……姉よ」


やっぱり。本物だ。


「マロンちゃんと会わないんですか? 会いたがってますよ」

「今はまだ……」


「何かあるんですね」

「あなたにはいつか話すわ。その時まで待ってほしい」

「わかりました」


モカさんはスプーンをとり、私のパフェを口に運ぶ。

その時、少し頬がゆるんだ気がした。

甘いものが好きなのかな。


じっとモカさんを見つめていたら、それに気づいてフードを深めに被り直した。

少し恥ずかしそうにしていてかわいかった。


「かなでさん、そろそろ戻ったほうがいいかもしれないわ」

「え?」

「変な誤解されてるかも」


はっ、ユウキ!

って、そこまで知ってるの!?

怖い。


「じゃあ戻りますね。それありがとうございます」

「いいのよ、こちらこそありがとう」

「え?」


「いえ、なんでもないわ」

「そうですか」

「またね」

「はい」


またね、か。

なんかいいなぁ。

そう言ってくれると嬉しい。


ちょっとだけ手を振ってくれたのもかわいかった。


あと、席に戻る途中でひとつ気づいたことが。

……そもそも連絡先教えてたっけ。

私のアプリに名前まで登録されてたけど。


記憶にないような……。どうだったかな。


もう一度アプリを見てみるとさらに驚くべきことが。


『モカお姉ちゃん』で登録されていた。

私の趣味ではない。

怖い。


席に戻ると、いろはちゃんがちらちらとこっちを見ていた。

ユウキ、何を吹き込んだ?

私は何もしていないからね。


私はチョコとバニラの食べ残しを新しい取り皿にまとめて食べ始める。


「あれ? さっき持って行った分は?」

「え、あぁ、ちょっとね」

「ひっ」


ひって何? ユウキさん。


「かなでさん、やっぱり……」


やっぱりって何!

何なのふたりとも~。


「あのね、知り合いがいたから食べてもらっただけだよ……」

「そうでしたか。びっくりしました」

「いったい何だと思ってたの?」

「それは……えへへ」


かわいいから許す。


「嘘だ! かなでにボクたちの知らない交友関係があるわけない!」

「あるよ! けっこういるよ!?」


それくらい……。

あれ、モカさんとアニメショップの店員さんくらい?


「ふぅ、完食しました~」

「よし、ボクも完食だ」


ふたりは食べ終えたみたいだ。

私もあと少しだ。


「あ、このアイスクリームの溶け具合がちょうどいいかんじ」

「わかります。最初の固い時よりもちょっと溶けてる方がおいしいですよね!」

「だよね」


こんなところでいろはちゃんと意見が合うとは。

やはり結ばれる運命なのだろう。

ふへへ。


「よし、完食!」

「わぁ~!」


勝った。

巨大パフェに勝った。

モカさんありがとう!


「よし、みんな、パレードへ行こう!」

『お~』


みんな、いきなり復活したなぁ……。

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