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いつか夢見た百合の世界  作者: 朝乃 永遠
遊園地で遊ぼう
20/104

私みたいな普通の女の子に何があるんだろうか

次のアトラクションは念のため大人しいものにすることになり、

乗り物に乗ってストーリー体験するものに決まった。

その場所は少し離れているみたいで、ゆっくりと移動し始める。


私は一番後ろを歩いていて、例のお化け屋敷を

通り過ぎたとき、後ろから声がかかった。


「かなでさん」

「ん?」


振り向くとそこにはフードを深めにかぶったコスプレみたいな女性がいた。

あ、このお姉さん、街の商店街で会った人だ。


あれ? 名前教えたっけ?


「大変だったみたいね」

「え?」

「気を失っていたみたいだったから」


「お姉さん、何でそれを……」

「ずっとあなたのこと見守っているから」


見守っている? なぜ? まさか……。


「お姉さんからむこうの世界のことは聞いたでしょう?」

「!?」


何で知ってるの、お姉さん。


「行くのでしょう?」

「あ、はい。まずは一度お姉ちゃんと会って話したいなと」


とにかく今は情報が少なすぎるから。


「そう。なら、あなたに教えておきたいことがあるの」

「何ですか?」

「あなたの力や得意とする魔法のことよ」


私の力?


「私にそんな力があるんですか?」


私みたいな普通の女の子に何があるんだろうか。

普通の女の子に。


「あるわ。あなたは普通の女の子ではないから」


即否定されたよ。大事なことだから2回言いましたのに!。

私普通だよね?

ね?


「あなたにしかない能力、魔力そのものをコントロールする力」

「それってどういうこと?」

「魔法への変換とかそういうの関係なしに、

無効化したり、吸収したりとかね」


無効化! そういうの好きだなぁ。


「お化け屋敷でチョコの魔法を打ち消したの覚えてる?」


チョコのことまで知ってるんだ……。


「あれがそうなんだ」

「当面はそういう使い方になると思うわ」



お姉さんの話では、過去に同じ能力を持っていた人はいたらしい。

でもここまで大きな能力をもっていて、さらにほぼ無限に

魔力を溜め込める者は前例がないらしい。


私の前では魔法は無力化し、さらに私が魔力を供給すれば、

他の者も魔法を使い放題できる。

そういうことらしい。


私すごい。なんかすごい。


ラノベとかで似たような能力聞いたことあるし、

ちょっと参考にしてみようかな。


「あとはカードについて説明しておくわ」

「カード?」

「こういうものよ」


そう言ってお姉さんが取り出したものは、

前に会った時にくれたカードに似ていた。


このカードは前にチョコ達が言っていた

魔力を魔法に変換する術式の代わりに使うものらしい。


あれ、そういえば私ってカードなしで

魔法を使って驚かれてたっけ。

私すごい!


術式を新たに組める人がほぼいない今、

このカードのおかげで魔法を一般の人が使えるみたい。

もちろんむこうの世界の話です。


他にも精霊やその力の一部を憑依させて、

自信を強化するカードもあるみたいで、

それは召喚系となるらしい。


他にもいろいろあるらしいけど、

まぁ異世界へ行けばそのうちわかるとのこと。


そんな感じでゲームのチュートリアルみたいな、

世界観説明みたいな話が終わった。

お疲れ様でした。


「ねえ、お姉さんはむこうの世界の人なんですよね?」

「そうね」

「むこうで一緒にいてくれたりはしないんですか?」

「それはむずかしいわね。私もやらなければならないことがあるから」


「そうですか……。一緒だと嬉しかったな」

「キュン」

「ん?」

「あ、いえ、何でもないわ」


何でもないと言いながら、突然私の頭をなで始める。

お姉ちゃんになでられてるみたい……。


「お姉さんって名前何ていうんですか?」

「私は……モカっていうの」

「モカさんですか」


「そばにいられなくてもあなたのことはちゃんと守るから」

「ありがとうございます」


どうやってだろう。


「かなで~。どうかしたの~」


長く話し込んでしまっていたから、マロンちゃんが探しに戻ってきたみたいだ。

まぁむしろ遅いくらいかな。

もしかしていなくなってるの気付かれなかったとか……。


そのマロンちゃんを見て、モカさんがハッとした表情を見せ、顔を隠す。

そしてマロンちゃんも、モカさんを見て驚く。


「え? もしかしてお姉ちゃん?」

「……人違いじゃないかしら」

「その声、間違えるはずないよ! 顔見せてよ!」

「……」


マロンちゃんのお姉さん?

確かに似ているかも。

しかしモカさんはフードをかぶったまま顔を隠している。

どうやら仲良し姉妹の再会というわけじゃなさそうだ。


その時、ユウキの声が向こうから聞こえた。


「お~い、かなで~、マロンもどうしたんだよ~」


その声に振り向いた瞬間、モカさんの気配が消えた。

あれっと思ってモカさんのいた方を見ると、

もうそこには姿がなかった。

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