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いつか夢見た百合の世界  作者: 朝乃 永遠
遊園地で遊ぼう
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かなで、ボクもうダメ

食事も終わったところで、予定通り午後は

みんなでアトラクションを回ることになった。


「マスター、お化け屋敷に行こう」


チョコが私の服を引っ張り、目を輝かせながら言う。

なんでそんなにお化け屋敷がいいんだろうか。


「お化け屋敷好きなの?」

「知らない」


無邪気な目で知らないと言われる。

こういうところはバニラよりも純粋っぽいんだよね。


バニラは計算してるところあるからなぁ。

私には少しずつ素を出しつつあるけど。


そんなことを考えていたとき、ユウキが立ち上がる。


「お化け屋敷、行くか」

「お、ユウキが動くということは何かあるのかな?」

「MR技術を使っていて、結構すごいらしいよ」

「MR?」


マロンちゃんはMRを知らないみたいだ。


MRというのは複合現実のことで、

現実世界と仮想世界を融合させようとするもののこと。


「そういえばさっき行ったお城のアトラクションもMR使ってたよ」

「まぁ、ここは先端技術の実験場だからな」


実験場?


こんな夢の世界には似合わない言葉だなぁ。


「ユウキちゃん?」

「あ、……いや、なんでもない」


いろはちゃんに睨まれ顔をそらすユウキ。

実験場という言葉よりも、

初めて見るいろはちゃんの表情に驚いた。


……まぁ、それぞれ事情があるだろうから、

深くは突っ込まないでおこう。


「マスター! 早く行こうではないか」


少し漂った重い空気もチョコの声で吹き飛んだ。


チョコが私の服を引っ張り、連れ出そうとする。

私はそのままチョコについていくことにした。


みんな私の服を引っ張るのは可愛いけど、

ちょっと伸びてきてるから控えめにしてね。


先行する私達を真っ先に追いかけてきたのはユウキだった。


「おやおやめずらしい」

「ふふん、今時のお化け屋敷はどうなってるのか気になるからな」


CGのお化け屋敷ってことだもんね。

普通のお化け屋敷とCGのお化け屋敷ってどっちが怖いんだろう?

なんかCGの方が実体がない分怖くなさそうに思えてしまうけど。


あ、そういえば私達の中にホラー苦手な子いたかな。



今日初めて全員揃ってのアトラクション、お化け屋敷に挑む。

物怖じせず、ずいずい先行しつつ私を連れ去るチョコと、

さっきからずっと私の手を握っているユウキさん。


あれ怖いのかな?


それならそうと言ってくれれば私が守ってあげるのに♪


「何か?」

「いえいえ」


ユウキに心を読まれたか。

もしくは顔に出てたか。


後ろの方では、いろはちゃんを中心に、

両側にマロンちゃんとバニラが手をつないで歩いている。

頼りになるいろはお姉ちゃん(10歳)です。


いろはちゃんとふと目が合う。

するとニコッと笑顔を返してくれる。


キュン。


心をときめかせていたその時だった。


『返して……』


ん?


「ねぇユウキ、何か聞こえなかった?」

「……」


ユウキさ~ん、何か聞こえたんですよね?


『返して! 私のあかりちゃ~ん!!』


「ギャアァァァァァッ!!」


悲鳴をあげながら私の胸に飛び込んでくるユウキ。


「知らない知らないっ、あかりちゃんなんて知らないから~!」


すでに泣いちゃってるよ。


「ユウキ。もう消えたよ」


よしよしとその頭をなでてあげる。


「かなで、ボクもうダメ」

「引き返す?」


というか、こういうのって引き返していいのかな。


「……ボク、もうちょっとがんばる」

「うん。いい子いい子」


頭を撫で続けていたら、しばらくしてユウキは立ち上がった。

そして私の腕にしがみつく。


「ここ出るまでこうさせて」

「うんいいよ」


ユウキが怖いの苦手だったなんて。

なんであんなに乗り気だったんだろうか。


「まさかボクがこんなにもホラーがダメだったなんて……」


知らなかったんだ……。

まぁ、こういうところ来ないもんね。


再び歩き始めたところでチョコが腕に抱きついてきた。


「マスター……」

「ん? どうしたの?」

「怖い、怖いな~、ここは」


君もかい。


後ろについてきている3人の方を振り向くと、

いろはちゃんとバニラが苦笑いしていた。

マロンちゃんも平気そうだ。


意外とたくましいお姫様達だった。

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