今日は絶対に楽しい一日になるよ
週末、私たちは先週に続いて本土の街へ。
マロンちゃんが欲しい特典目当てで映画を見ることに。
今日は遊園地にも遊びに行くので、朝一番の時間で映画館に入った。
先週見たものと同じ内容なのでユウキは完全に寝ている。
映画が終わり、みんなで遊園地にむかう。
海沿いの道を進むとその先が目的地になっている。
このあたりでも特に人気の高い娯楽施設なので
周りには人がたくさんいる。
みんなこの後の時間を楽しみにしているんだろうな。
幸せそうな笑顔をしている。
そんなみんなの気持ちが伝わってきたのか、
私もつられて笑顔になっていたみたいで。
「かなで、なにニヤニヤしてるの?」
ユウキに言われてからそれに気付いた。
「楽しいんだから仕方ないじゃない?」
そう言って、笑顔で返すと、ユウキはちょっと顔を赤くして、
ぷいっとそっぽ向いてしまった。
みんなでおしゃべりしながら歩いていると、
いよいよ入場ゲートが見えてくる。
おおきなお城の門のようなそれは、
まるで夢の国への入り口のようだ。
入場には事前に電子チケットを買っておいたり、
さまざまな電子マネーやクレジットカードアプリで支払いが出来る。
私は「Pipi」という愛用の電子マネーを使う。
スマホをかざすだけで決済が完了し、ゲートが開く。
みんなもそれぞれ入場してくる。
そして一番後ろのユウキが入場。
その手には何かが握られていた。
「ユウキ、それは何だ?」
チョコが聞くと、ユウキは特に表情も変えずに、
「これ? 年間パスポート」
と言った。
年間パスポート!?
何、ユウキは通ってるの? ここに?
「いろはのお母さんにもらったんだよ」
「え?」
ユウキの言葉にいろはちゃんも驚く。
「え、どういう関係なの?」
「まぁいろいろと……」
私の質問に曖昧な答えが返ってくる。
言えないような関係なの?
その場で少し考え込んでいると、
後ろからくいくいと服の裾を引っ張られる。
振り向くとそれはバニラだった。
「ねえねえ、早く行きましょうよ~、お姉ちゃん」
ああ、これ癖になる~。
何回でもやって欲しいな~。
「よしっ、それじゃあ何から行こうか」
『あれっ』
チョコとバニラで行きたいところが分かれる。
チョコはキャラクターコースターで、
バニラは観覧車。
「バニラ、観覧車は後にしない?」
「む~、でもちゃんと一緒に乗ってくださいね?」
「わかったよ」
私との約束を取り付けるとバニラはにっこりと笑う。
それとは逆にいろはちゃんがふくれる。
これは大変だなぁ、えへへ。
でも、いろはちゃんは知らないだろうけど、
バニラは本当はね……、まぁこれは後でいいか。
「でも私コースターとかダメなんですよね~、多分ですけど」
「あ、私も」
バニラといろはちゃんは絶叫系はダメと。
絶対乗ったことないよねバニラは。
「ボクは乗りたいな」
「私も~」
ユウキとマロンちゃんは絶叫系OKと。
さてどうしようかな。
二手に分かれてもいいけど、せっかく一緒に来たのにね……。
「じゃあお昼ご飯の時間まで分かれて遊ぼうか。
お昼からはお化け屋敷とかみんなで回ろうよ」
「ふふん、いいんじゃないか。私もバニラと遊びたいしな」
マロンちゃんが提案すると、チョコが賛成してその流れに。
みんなあっさりしてるね……。
「じゃあみんなちゃんと連絡取り合うんだよ~」
「わかってるよ」
ユウキに念をおして、私たちも遊びにむかう。
「じゃあ、どこ行く?」
『メリーゴーランド!』
いろはちゃんとバニラがハモる。
ふたりは顔を見合わせると、照れたように笑う。
そして私の手を片方ずつ握り走り始める。
「わわ、あぶないよっ」
ふたりに手を引かれながら、
その笑顔をみて確信する。
今日は絶対に楽しい一日になるよ。




