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いつか夢見た百合の世界  作者: 朝乃 永遠
遊園地で遊ぼう
10/104

え? ハーレム狙いの変態だけど?

チョコとバニラを着替えさせるために私の部屋へむかう。

事情を説明するためみんなにも入ってもらった。


「相変わらず物が少ないね」

「本当ですね」


入ってすぐにユウキといろはちゃんが部屋を見回す。

まぁ物は持たない主義なもので。


まず私はふたりのことを説明することにした。

チョコとバニラであること。

お風呂に入っていたら、この姿で現れたこと。

魔法や異世界のことなど。


説明を終えて、それを聞いたユウキといろはちゃんの

反応は私とおなじようなものだった。


「そっか、マロンとか前から変だとは思ってたんだ」

「まわりで不思議なこと、よく起きてますものね」


状況はわかってもらえたみたいだ。


「まったく、どこから連れてきたのかと心配したぞ」

「ユウキは私を何だと思ってるの……」

「え? ハーレム狙いの変態だけど?」


ひどい!!

そんな風に思われてたなんて……。


「まぁいいよ。それより見てわかると思うけど、

私はこのふたりに着せるような服をあまり持ち合わせていません」

「そうみたいだね」

「パーカーしか持ってません」

「そうみたいだね」


別にいいよね。最近寝るときは寝巻きだしまだマシだよ?

前はパーカー2着で回してたからね。

十分だよ。うん。


「私はこれがいいです」


バニラがさっき着せたパーカーを引っ張りながら言う。

おぉ、もうちょっとで見え……。


「それでいいの?」

「はいっ。だってお姉ちゃんの服ですからっ!」

「バニラ~!」


モフモフ。


「ちゃんと下をはかせろよ。外出れないぞ」

「外出るときは変身しますよ?」


ユウキの言葉に答えるバニラ。

しかしそれは私的には嬉しくない答えだった。


「ダメだよ! 私、バニラと外で手をつないで歩きたいもん」

「お姉ちゃん! 嬉しいです!」


バニラがピョンと抱きついてくる。

私は頭をなでながら抱きしめる。


「今度服を買ってあげるからね」

「ありがとうございます」


私とバニラがじゃれている間にチョコの服選びが始まっていた。

みんなが部屋から自分の服を持ってきた。


「ってみんな、これコスプレ衣装じゃない」


メイド服とか巫女服とかなんかいろいろそろっている。

私の言葉に対しユウキが私にジト目を向けてこう言った。


「前から言おうと思ってたんだけど、お前の部屋着も十分コスプレっぽいぞ」

「え?」


あれ、私の部屋着がコスプレ?

そしてマロンちゃんも続く。


「今バニラに着せてるのって、どう見てもサンタ服なんだよね」


言われてみると、確かに……。

赤いし、モフモフついてるし。

これサンタ服だったのかな……。


「ということで、チョコに着せる服を選びたいと思います!」


マロンちゃんがなにかイベントを始めた。

みんなも拍手で盛り上げる。


「おい、服なんて何でもいいぞ」

「まぁまぁそう言わずに」


マロンちゃんがチョコの意見を跳ね除け、

服選びを進める。

ホントなんでみんなこんなに持ってるの?


「お?」


その中でチョコが興味をもった服があった。

それは女性向けの紺色の甚平だった。


「ふん、これは動きやすそうでいいな」

「じゃあ着てみたら? それ私のだし」


チョコはマロンちゃんの甚平を選びさっそく試着する。


「おお、いいかんじだ。これがいい」

「じゃあそれあげるよ」

「いいのか? すまないなマロン」

「うん」


うんうん、やっぱり元から知り合い同士、仲良しさんだね。

話し終えたチョコはこっちに寄ってくる。


「マスター、これにしたぞ、気に入った」

「よく似合ってるよ。でもこれで外に出るの?」

「ああ。あとこれを何着か欲しいな」


どれだけ気に入ったの……。


「じゃあ今度一緒に買いに行こうね」

「ああ」


というわけで服選びは終了。

時間を確認するとそこそこ遅い時間になっていた。


「じゃあそろそろ晩御飯にしようか」

「はーい」


私が声をかけるとそれぞれいったん部屋に戻っていく。

一気に静かになる私の部屋。

いつも通りなのに少しさみしく思えてしまう。


そのとき部屋の扉がまた少し開く。


「?」

「お姉ちゃん」


バニラが扉の隙間から少し顔を覗き込ませる。


「えへっ」


ニコッと笑って、また扉が閉まる。


「……」


可愛いなぁ、もう。

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