え? ハーレム狙いの変態だけど?
チョコとバニラを着替えさせるために私の部屋へむかう。
事情を説明するためみんなにも入ってもらった。
「相変わらず物が少ないね」
「本当ですね」
入ってすぐにユウキといろはちゃんが部屋を見回す。
まぁ物は持たない主義なもので。
まず私はふたりのことを説明することにした。
チョコとバニラであること。
お風呂に入っていたら、この姿で現れたこと。
魔法や異世界のことなど。
説明を終えて、それを聞いたユウキといろはちゃんの
反応は私とおなじようなものだった。
「そっか、マロンとか前から変だとは思ってたんだ」
「まわりで不思議なこと、よく起きてますものね」
状況はわかってもらえたみたいだ。
「まったく、どこから連れてきたのかと心配したぞ」
「ユウキは私を何だと思ってるの……」
「え? ハーレム狙いの変態だけど?」
ひどい!!
そんな風に思われてたなんて……。
「まぁいいよ。それより見てわかると思うけど、
私はこのふたりに着せるような服をあまり持ち合わせていません」
「そうみたいだね」
「パーカーしか持ってません」
「そうみたいだね」
別にいいよね。最近寝るときは寝巻きだしまだマシだよ?
前はパーカー2着で回してたからね。
十分だよ。うん。
「私はこれがいいです」
バニラがさっき着せたパーカーを引っ張りながら言う。
おぉ、もうちょっとで見え……。
「それでいいの?」
「はいっ。だってお姉ちゃんの服ですからっ!」
「バニラ~!」
モフモフ。
「ちゃんと下をはかせろよ。外出れないぞ」
「外出るときは変身しますよ?」
ユウキの言葉に答えるバニラ。
しかしそれは私的には嬉しくない答えだった。
「ダメだよ! 私、バニラと外で手をつないで歩きたいもん」
「お姉ちゃん! 嬉しいです!」
バニラがピョンと抱きついてくる。
私は頭をなでながら抱きしめる。
「今度服を買ってあげるからね」
「ありがとうございます」
私とバニラがじゃれている間にチョコの服選びが始まっていた。
みんなが部屋から自分の服を持ってきた。
「ってみんな、これコスプレ衣装じゃない」
メイド服とか巫女服とかなんかいろいろそろっている。
私の言葉に対しユウキが私にジト目を向けてこう言った。
「前から言おうと思ってたんだけど、お前の部屋着も十分コスプレっぽいぞ」
「え?」
あれ、私の部屋着がコスプレ?
そしてマロンちゃんも続く。
「今バニラに着せてるのって、どう見てもサンタ服なんだよね」
言われてみると、確かに……。
赤いし、モフモフついてるし。
これサンタ服だったのかな……。
「ということで、チョコに着せる服を選びたいと思います!」
マロンちゃんがなにかイベントを始めた。
みんなも拍手で盛り上げる。
「おい、服なんて何でもいいぞ」
「まぁまぁそう言わずに」
マロンちゃんがチョコの意見を跳ね除け、
服選びを進める。
ホントなんでみんなこんなに持ってるの?
「お?」
その中でチョコが興味をもった服があった。
それは女性向けの紺色の甚平だった。
「ふん、これは動きやすそうでいいな」
「じゃあ着てみたら? それ私のだし」
チョコはマロンちゃんの甚平を選びさっそく試着する。
「おお、いいかんじだ。これがいい」
「じゃあそれあげるよ」
「いいのか? すまないなマロン」
「うん」
うんうん、やっぱり元から知り合い同士、仲良しさんだね。
話し終えたチョコはこっちに寄ってくる。
「マスター、これにしたぞ、気に入った」
「よく似合ってるよ。でもこれで外に出るの?」
「ああ。あとこれを何着か欲しいな」
どれだけ気に入ったの……。
「じゃあ今度一緒に買いに行こうね」
「ああ」
というわけで服選びは終了。
時間を確認するとそこそこ遅い時間になっていた。
「じゃあそろそろ晩御飯にしようか」
「はーい」
私が声をかけるとそれぞれいったん部屋に戻っていく。
一気に静かになる私の部屋。
いつも通りなのに少しさみしく思えてしまう。
そのとき部屋の扉がまた少し開く。
「?」
「お姉ちゃん」
バニラが扉の隙間から少し顔を覗き込ませる。
「えへっ」
ニコッと笑って、また扉が閉まる。
「……」
可愛いなぁ、もう。




