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Aurum Online [Shooter]  作者: 亜空間会話(以下略)
第五章 Señorita
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#091 De orta persona

 ぶっちゃけこのシーン書くためだけにここまでやってきた感ある。書きたいシーンがあればそこまでなんとかつなげられるまでの力があってほんとによかったです。


 命名かぶりがないように気を付けて明らかにおかしな名前ばかり付けていたのに、「エイルン・ラストコード」とかいうロボットものがあるんだとか。あとファリアーもありました。そのほかはなし。新しい名前くらい十個でも百個でもすぐ作れるからいいんだが、かぶるのってなんでなんだろう。


 どうぞー。

 そんな大量の敵のうち、俺がもっとも倒しやすい敵は何か。


 問題提起するまでもなく、爬虫類型の敵だ。蛇はだいたい何か吐くが、回避は簡単だ。トカゲも尻尾と吐くものが怖いが別に心配ない。ドラゴンをソロで倒すのは無理だが、鱗がそれほど堅固ではない限り、ダメージを与えるのは簡単といえば簡単だろう。


 昆虫型は隙間を狙う必要があるし、ソーピックは折れるので投げ込めない。動物型はかなり素早くて、複数体からの攻撃を同時にさばくのは難しい。植物型は物理攻撃が予測しにくくて囲まれたら死ぬうえに、弱点が投げ武器には向かないものばかりだ。異常に細い首の部分を切り離すと一撃死だったりするのに、投げ武器はあくまで投げないといけないのでものすごくやりにくい。回転投げもそういうところには刺さって、動かれるとぽっきり逝ったりする。そういう理由で俺は植物型が嫌いだ。


 全体に硬くて攻撃を弾くほど防御力が高いものの、激盪(スタン)不如斥(ディレイ)には弱いゴーレムはそういうのを得意とする俺のいい餌食だ。弱点を集中的に狙える俺は、たとえ瞬間火力が低くてもあいつらとの相性は悪くない。


 俺の天敵はスライムだ。弱点があればその限りじゃないが、魔法を使わないと倒せないとか特定の属性以外は通じないやつが出てくると、全速力でお暇する。阻害魔法だけで倒そうとしたら液体素材が汚染されてえげつないことになるのだ。


 尻尾を振る〈リーフィー・リザード〉の頭にピックを三本ぶち込み、大きく鎌首をもたげた〈ブッシュ・アダー〉の首に投げナイフを回転投げする。ざざざくっといちばんやりやすい三本連続で刺さった投げ武器を即座に回収して、次に迫る〈へヴィーガビアル〉を踏んづけつつ、飛び込んでくる〈シルフィー・アガマ〉を撃墜した。ちょこっとレベルが高くなっているようだが、いつもの俺の獲物だ。


 いくらモンスターハウスでも、スペースと情報量の限界ってものがあるはずだ。きっちりと作り込まれたモンスターの実体グラフィックは、そこにあるだけ、こっちを向いているだけで莫大な情報量を食うはずだ。とは言ってもアウルムオンラインでラグが起きたなんて聞いたこともないのでそれは別問題だろう。


 敵の数はせいぜい20体いるかいないかというところだ。比較的小さいトカゲ型のリザードとアガマが半分を占めていて、毒蛇のアダーが三割、口の形が独特なワニであるガビアルが二割ってところだろう。四種類だけではないが、あんまり解析を使いすぎるとよくない。MPは消費するわ目を戻すのに時間がかかるわ、いいことが少ないのだ。目を戻す、という言い方は分かりにくいと思うが、解析を使ってみたらすぐに分かると思う。


 いつだったかの〈パラシュート・リザード〉に近いような突撃をするアガマは、叩き落とすとまたちょろちょろ木に登っていって同じことを繰り返す。ガビアルはタイミングをずらしたコンビネーションアタックを放つが、動かない尻尾の付け根にソーピックを入れておくいい機会だ。


 足元に忍び寄ろうとするアダーだが、人間よりはるかにデカいものがそんな真似をしても目立つだけだ。それぞれの頭に、ひさびさに使ういがぐりを投げておく。どれだけの数がいてもやることが同じなら、俺は負けたりしない。


 リザードを叩き落とし、ついでに次に飛んでくるリザードとアガマのために〈ベイグラントスロウ〉でブーメランを空中に置いておく。どうやら功を奏したのかどがどがと音をさせながら何匹もが墜落していった。俺にあたりそうになったブーメランを姿勢を低くしながらのジャンプで回避し、ガビアルを踏んづけ、アダー2体に集中攻撃をしてとどめを刺す。ぐわっと口を開いたガビアルの口にソーピックを贈り、背中の分厚い鱗の隙間を狙ってピックをざくざく入れた。


 敵を三体あっという間に倒したのはいいのだが、どうやら混戦状態になっている。緑色の鎧を着た亜人っぽいモンスターとか、風魔法を使うキリギリスっぽい虫とかが俺に近付いてきていた。亜人はそこそこいけるし、装甲の薄い虫なら美味い獲物だ。


 と、そこまで考えると余裕に思えるが〈ゲイル・ホッパー〉というこいつは俺と同じくらい動きが素早い。俺の投げたものを全弾回避して、さらに巨大な後ろ足で蹴りを放ってきていた。胸に蹴りがクリティカルヒットする瞬間に金のボーラを叩きつけて足をへし折ったものの、ダメージはかなり大きい。


 ほかのみんなは自分の相手でかかりっきりらしいので、助けてもらうことはできないようだ。となると、回復のために魔法を使っている暇はないらしい。


 緑色のリザードマンが振ったフレイルが、同じタイミングでやってきたガビアルの尻尾に命中する。まだひとつ飛んでいたブーメランがようやくアガマに当たり、HPを全損させた。ゆっくりやればいける、と思ってはいたが、考えたものよりきつい状況だ。考えつつリザードマンをノックバックさせて、アダーの飛びかかりに当てる。モンスターの同士討ちに助けられて、かなりの体力を削らせた。とはいえその火力が俺に向いたら、そう長くはもたないだろう。


 相手の防御力の低さにものを言わせて、とっとと片を付けるしかない。


 投げナイフを、ピックを、いがぐりを、鉄球を、投げて投げて投げまくる。ブーメランを空中に配置してソーピックをガビアルの背中と尻尾に投げ込んだ。同士討ちの分と全弾クリティカルの分を併せて、敵たちは本格的にHPを減らし始める。モンスターの狙うところにはもちろん俺がいる。だが、その俺がいちいち正確にかわすものだから肉弾と肉弾がぶつかり合ってダメージになり、特技と特技が相殺してダメージになるのだ。


 武器の特技を尻尾で受け止めて、ガビアルが砕け散る。アダーが飛びかかった先にアガマが飛んできて、アガマには牙が刺さり、アダーを鋭い皮膜の先が裂く。墜落していく二体にそれぞれブーメランがどんと突き立って、二体ともが倒れた。


 リザードがしばらく止まっていたのでどうしたのかと思ったら、小さな竜巻を起こした。どうやら風魔法だ。俺がその風の中にエアルプラティンの投げナイフを十本ほど投げ込むと、制御が狂って恐ろしいスピードで飛んでいく。リザードはハリネズミになって倒れ、リザードマンは鎧の隙間に何本かそれをもらっていた。ゲイル・ホッパーは柔らかい腹の部分にそれを刺されている。突風(ゲイル)空気(エアロ)のうちなんだろう、避けきれなかったようだ。


 めちゃくちゃに飛んでいった投げ武器をとりあえず回収し、俺は周りを確認する。


「半分は片付いてるな……」


 ミサと三ヶ日さんは昆虫系、Jとにゃんさんは獣系、硬度7.8さんとなすこさんは植物系や精霊系のモンスターと戦っている。亜人系はみんなに分散しているらしい。爬虫類系は数が少ない方だからわりといけているが、敵同士のぶつかり合いをダメージにするほど余裕があるところはないようだ。


 ひるんでいるゲイル・ホッパーの頭にボーラを投げつけてスタンさせ、腹と羽の付け根、つまり柔らかいところに攻撃を集中して素早く倒す。リザードマンの持つ武器の対処が面倒だ。当たらなければどうということはないが、俺の身に付けているものの防御面積から考えて、武器での攻撃を直接受けたら大ダメージは免れない。


 短めの木の棒の先っぽに輪が三つあって、その三つにそれぞれトゲ付きの鉄球をつなげた鎖が伸びている。鎖の長さは変わらないのだが、振る方向によっては当たる鉄球の数が変わるかもしれない。


「いや、考えなくていいか」


 相手は盾も持っているが、熟練のプレイヤーほどの腕前ではないのだ。せいぜい二本を同時に弾くのが限界だし、武器防御もしなかった。俺は尖っていない、打撃属性の「変形ピック」を手に持つ。


「〈スティール・ピアース〉」


 ボゴンッ、という衝撃音とともに盾が斜め上に吹き飛ばされ、それに引きずられてノックバックしたリザードマンの鎧の隙間を狙う。横腹には回転投げで刺し込み、喉元にはピックをまっすぐ突き入れた。十二本目で相手の体力はゼロになり、光の粒になって弾ける。周りのいたるところにいる敵に、まず毒を入れるため〈ランダムシュート〉でめちゃくちゃな数を投げた。


「どうしたんだい、ゼルム君。さすがに追い詰められてきたかな」

「んなわけねーだろ、J。とっとと終わらせたいだろうが」


 最初は〈デス・ウィング〉だったものが〈デッド・ウィング〉になり〈デッド・フェザー〉になったわけだが、効果時間が大幅に伸びただけではない。一回ではかからない相手もいたが、何度も羽が当たることでかかりやすさが倍増しているのだ。それに、もともと生物系は呼吸やら筋肉やら神経伝達の異常である毒や麻痺に弱い。


「〈デッド・フェザー〉!」


 やっぱり声が変だなあと思いつつ、大声で技名コールして紫色の羽の雨を降らせる。かなりの数のモンスターが羽を食らって状態異常にかかったので、俺はもう一回〈ランダムシュート〉で毒を塗った投げ武器をめちゃくちゃに飛ばした。


「とっとと蹴散らすぜ!」

「うん!」


 ものすごくデカい〈ネフライト・ビートル〉の角を盾でかち上げながら、ミサが言った。残ったアガマやリザード、アダーやガビアルがそれぞれの行動を開始する前にめたくそに投げ武器を投げまくって、残り体力を減らす。いちいち弱点を狙う必要があるのはガビアルだけだ。そのガビアルは、物理的な固さはともかく異常には弱い。攻撃を避け続けているとすぐにくたばった。


 まだ突撃を続けようとするアガマを木から叩き落として倒し、リザードの突撃を正面からぶっ飛ばして、アダーが口を開いたその瞬間にピックを投げ込んで倒す。


 全員の意識が自分の相手をしているやつに向いたその瞬間、俺はミサの後ろにアダーが迫っているのを見た。俺が取りこぼしたやつらしい。とぐろを巻き終わり、今まさに飛び上がった瞬間だ。


「ミサ、後ろだっ!」

「ちょっと、今は…… っ」


 ちょうど前に向かって〈レインブルー〉が発動した。最速のエアルプラティンのピックでも間に合わないほど近付いたアダーに、



 黒い影がぶつかった。



「誰だ?」


 灰朝真あたりか。そう思った俺は、空中で一回転してアダーにとどめを刺したその人物が着地すると同時に、目を見開いた。


「……え? お、」


 俺の顔だ。


 全身を布と革の装備で固めた、素早さを重視する暗殺者スタイル。口元を隠すようなスカーフのようなマフラーのようなものをすっと下ろした顔を見て、俺はその確信を強めた。どう見ても俺の顔だ、間違いようも疑いようもない。


 瞬間、俺はまっすぐに向かってきたアガマに鉄球をぶつけて倒した。


「……〈ウィンド〉」


 一瞬だけ目を離したすきに、誰かは風に乗って消えていく。風に乗ることができるなんて知りもしなかったし、誰もチャレンジしなかっただろう。


「ネタ集団のやつか……?」


 ミサがビートルを倒したところで、戦闘は終わった。

 書き溜めが減ってきたなあ。とは言うものの書くスピードが加速するわけでもなく、だからって新しい展開を思いつくわけでもないんですよね。ちょっとまずいかな、というところで更新すればまあこっちのほうはいいものの、実生活が荒れていきそうで怖い。


 頑張って物語の終わりに持ち込むために読者をからめとるあれを用意してはいるものの、それが最後にすべて終われるかというとそうでもなさそうです。黒い人は簡単なんだが、卵はまだまだ仕込みが必要だし物語の範囲内になさそうなアレをどうしたものか。スキルノートはおそらくすべて終わらないだろうし、即興で書いてばかりもいられない……。どうしよう。

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