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Aurum Online [Shooter]  作者: 亜空間会話(以下略)
第二章 counter Player Killer Council
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#032 Hero in *******

 造語をがんがん作っている私にはあまり関係ない話かもしれないのですが、ミノタウロスだのスライムだのゴブリンだのを説明なしで出現させるのやめーやというスレがあってちょっとびっくりしました。私なんかは原典から入ったくちですので知っているとかそういうことではないんですが、知らない人もいますよね……。私もスライムの原典は知りません。


 スキルノートとキャラクター名鑑とモンスター図鑑と…… あとがきはどこへ向かっていくのか。突っ込まれないための自衛手段か何かですかねえ。


 まあ、私の場合は「自分のために書いている」ので誰が読もうが特に質問などされない限り目もくれない真正のゴミカスですから誰がどう思おうが知りませんよ。質問があればいつでもどうぞ、できうる限りの対応はします。


 どうぞ。

 あと二回で最終決戦だ。そう知っていたからこそ緊張してもいたし、昨日のバカ騒ぎを忘れて人殺しモードに入る必要があった。


 自分と一緒で、相手も死ぬわけじゃない。プレイヤーキラー・トーナメントの特殊ルールでアイテムを失くすこともないし、経験値を失くす量はいつもの十分の一だ。それでも死ぬ恐怖は変わらないだろうし痛みも大きい。片腕が消し飛んだときは気絶するかと思ったくらいだ。


 考えていたことを試したいときでもあったし、昨日の小太刀の代金にいろいろな話を聞いた。思えば、もっと面白いことをしてもいいのだ。


『さて今日も現れましたゼルム氏! このまま優勝しちゃうでしょうか!』

『それは難しいかもしれませんが、上位に食い込みそうですね』


 石造りの席が延々と円形に並ぶコロシアムは、やはり血を求めている。


 ヴァーチャルリアリティー・インカーネーティングデヴァイスには時代の最先端と言ってもそこまで間違いではない程度に発達した技術が使われているし、雑誌の特集が何か月も組まれるほどに注目されているこのゲームは時代の寵児だ。はっきり言って新時代の象徴という言い方をしてもいい。


 その中でしていることがこれだ。ローマやらインカやらの血なまぐさいそれと何が違うというのだろう。もしくは古代の蠱毒の術のように、何かを作り出すような邪悪な目的すらあるのかもしれない。


『もう紹介はご不要でしょう。投げ武器を使い数々の戦いを制したゴミビルド最強の戦士であるゼルム氏です! 今になってもまだゴミビルドなのは、何か理由があるんでしょうか暗黒ティッシュ(意味深)さん?』


『うーん、最近増えているパーティープレイ向きじゃない人の一因だと思われていることがゴミビルド呼ばわりされる原因なんでしょうね。正確にはメンテナンスできるブーメランを買って使えばそこまで地雷ではないのですが……』


 クソビルドは増えてるのか。


『嫉妬が半分、地雷の元凶となった部分が半分…… ということでしょうか』


『はい、では相手の紹介です。盆栽好きの青年という以外何も分かっていません! ふざけているのでしょうか? しかし本部にこれだけシードされたということは、もしかして優勝候補ということでは……?』


 暗黒ティッシュ(意味深)が言った情報はまったくなんの助けにもならない。あれが誰なのか全くわからないのだ。


『全身真っ黒なのは何か理由があるのでしょうか? それでは両者位置について……』


 よく見れば相手は、小さな小さな杖のようなものを持っている。武器を持っていないなんてふざけているのかと思ったが、もしかして――


『ゴー!』


 空気を引き裂いて飛んだ投げナイフが、消えた。


「は……?」


 重ねられた層を破るピックが、やはり消える。


 ソーピックも消えて、ボーラも轟音と共に消失した。


『な、何が起きているのでしょうか! 改造ではないようですが……』

『まさか…… あれが闇魔法!?』


 ランダムシュートに導かれて飛んだ二十個の石ころが、暗黒の膜に食い尽くされる。これだけの数のものを消し飛ばすなんて尋常な威力じゃない。闇魔法は消費魔力が多いということだったが、まだ相手のMPは七割残っていた。


「〈ベイグラントスロウ〉」


 ブーメランを犠牲にする覚悟で十枚投げると、当たる寸前に闇色の球体に喰われているのがよく分かった。


 相性が悪いとか負けると言う言葉が頭に浮かぶ。


「……〈ポイズンアーム〉」


 石ころは何度投げても消される。そしてブーメランが俺の背中に刺さった。


『あの技は効果範囲どころか対象まででたらめのようです! これは負けか!?』

『どうでしょうね…… 予想もつきませんが』


 体の力が抜けていくのが分かる。ブーメランを回収しても、回収できたのがたったそれだけだという衝撃に飲まれて対応がままならなかった。回避が間に合わずに爪先が冷たい闇に食いちぎられる。


 何という威力だろう。足首までが消えた瞬間、しかし闇は消えた。


「あっ」


 相手が声を上げた瞬間にブーメランが一発着弾し、そして俺はありったけの投げ武器を投げて投げて投げまくった。どうにか勝利できたのは、相手にまだ成長の余地があったからだろうと思う。






 最後の戦いは言うまでもないテンプレとの戦いだったので、意外性も面白みもないものだった。ちょっとうまいだけでここまで上がって来られるなんて甘いトーナメントだよなとは思ったが、それに関しては俺もそうだろう。闇魔法という明らかに相性の悪い相手に相手が成長しきっていなかったからという理由だけで勝利したのだから、誇れやしないし相手が成長したら確実に負ける。


 投げ武器と相性の悪い相手はなんだろう?


 同じ投げ武器使いは今のところいない。いたとしても確実に相殺できるだけの投げ武器を俺は持っているし、この間のクエスト連続クリアでレシピもそれなりに揃えた。俺のコピー体が現れたとしても運だけで勝ってやるぜと俺は思っている。


 闇魔法使いはこれから増えていくだろう。だがあれだけ使いこなすことができたのはいったいなぜなのだろう? 盆栽好きとか言っていたが、盆栽と闇の関係というのはまったくわからない。植物は夜に成長するとは聞いたが。


 ほかには、攻撃が絶対に通らない相手か。それはいなさそうだ。いくら鎧が分厚くてもかなりの確率でどこか、本人ですら分からない場所が開いている。解析スキルを使えばその穴を体の裏側からでも発見できるのだ。昨日選んだばかりの新たな力「弱点発見」という解析スキルの派生機能は、ものすごい性能を持っている。


「スティール・ピアースが進化したらなあ……」


 スキルホルダーはけっこう空いている。最初は五個、強制的に埋めなければならなかったがそれからは放置しておいても通知メッセージはない。レベルがちょっと上がるとすぐに増えるようなものではないが、余りがちなのも事実だ。


 これまでには鍛冶スキルを取った以外とくに新しく追加されたものはないので、つごう四つのスキルホルダーが余っていることになる。だが余っているからといってもそんなにぽんぽん埋めてしまうわけにはいかなかった。という言い方をすると何か埋めてはいけない理由があるような言い方だが、そうではない。


 これまでの経験から言うと、スキルのレベルが上がるのはとても遅い。そこで新しいスキルをどんどん取ってもレベルが低くて役に立ちにくい、烏合の衆のようなスキルが余ることになってしまうのだ。スキルを使いまくらないと当然ながら上がるわけもないので、一日中いろいろなことをしないといけないというのも理由だ。


 鍛冶と錬成は同じ素材を扱うのでそれぞれにシェアできるが、ここに木工と錬金を持ってきた日にはゲームが苦痛に変わってしまうだろう。欲張って裁縫やら調理やら加えたらもうどうしようもないことになる。


 一日に得られる経験値の量が限られているわけでは決してないのだが、中学生が学校に通いながらゲームをプレイできる時間などたかが知れている。高校生になったとしても同じことだ。その中でどうやってさまざまな場所を行き来しながらいろいろなスキルを上げていくというのか。


 素材だって安いと言えば安いがこれからは高くなっていくだろうし、生産の経験値だけでレベル上げを完結させるのはさすがに難しいだろう。高レベルのものになっていくにつれて素材の値段も高くなるし、ただで譲ってもらえるわけもない。次第に生産は損になることも増えていくだろう。


 生産だけではない、戦いのスキルも同じだ。


 モンスターは資源だ、と言っても過言ではない。


 仲良く分け合おうという輩はそう多くないだろうし横合いから奪おうというヤツも少なくないはずだ。そもそもあらゆる資源はモンスターから得られる。ということは取り合いになってもおかしくない。どちらかというと取り合いになるべきという言葉の方が正しいくらいだろう。


 あらゆる湧きポイントは押さえられているし、見つけられたとしても次に来たときは誰かに取られているのが普通だ。有限のものを取り合うという原理なので仕方ないと言えばその通りだが、取ったものが勝ちという仕組みそのものを変えることもできない。


 そんなわけでソロにはそれなりに厳しい世界だ。ソロでのストーリーモードクリアは恐らく無理なんじゃないだろうかと思わせるくらいに。


 スキルを上げるという話からどこまで広げたらこうなるんだと俺は自分で突っ込まざるを得なかったが、実際にスキル上げにもソロではきついということがある。魔法っぽいことをしていると紙装甲になって狩れる敵も弱いものを選ばないといけなくなるので、つまりレベルも上がらないしスキルも上がらない。俺も避ける方面で気を遣っていなければ同じことになるところだった。


 と、これだけ考えたところで「どのスキルを取るか」ということの答えにたどり着けそうではない。しかも答えを選んだところで意味はない、という答えは質問に対するもっとも失礼な答えだ。


 戦闘スキルを取るならば投げ武器と一緒に上げられそうなスキルがいいだろう。投げて使える武器といえばずばり槍くらいだろうが、どの武器でも投げること自体は不可能ではない。投げるのが正しい使い方ではない、というだけだ。だが投げる槍と言うものは一応ある。ランスは投げられないので長柄武器か。


 スキルを取ったからと言ってその武器のレシピを得やすくなるわけではないのでハードモード覚悟だが、長柄武器はかなり人気だ。これに関しては攻略サイトにかなりの数のレシピとそれを取得するクエスト情報が乗っているとみていいだろう。


「あー、今日は疲れたな」


 口に出してみて疲れが取れたらいいのになあ、と俺は思った。



 ◇



 何をどう思ったのかは知らないが、殺人委員会を名乗る集団はJに「優勝する役」を押し付けた。決して優勝することが嫌いなのではないが、名が売れても嬉しくもなんともないというのが城島の素直な感想だった。


 おまけに城島にばかり強力な相手が押し寄せるように割り当てられている。一度でも負けたプレイヤーはトーナメントを続けられないが、負けなければいい話だ。


 もっとも、器用に「負けないでいる」ことができるのは城島くらいのもので、他は薄氷の勝利をおさめたものであったり、余裕で勝ちすぎて強い相手と当たらされたりして精神をすり減らしていくバカどもだ。痛みを恐れない姿勢と「体術」と「軽業」という一見意味が重複すると思われるスキルの複合により「J」は負けないでいた。


 もちろん、現実に格闘技を修めているということも大きい。現実的な技術を半現実で活かすというのは何も城島だけに限った話ではない。盆栽好きの青年であったりセントラルという中学生であったり、彼らも現実の技術を活かしているもののうちの一人だ。


 彼らのようなものは非常に強い。強いというだけでなく突き進んでいく精神性もあり、また対応力も非常に高いとみていいだろう。十全に警戒せねばならない相手だ。


「Jさーん」

「なんだいですですちゃん」


 茶髪ツインテールのパンクファッションの小さな少女が城島に話しかける。もちろんつづりは「DeathDeath」だ。そんなことを考えたJは思わずふっと笑ってしまう。


「なになに、おも死ろい人でもいたの?」

「いやそうじゃないさ。僕は冷遇されているな、と思ってね」


「それは死方ないんじゃない? Jさん強い死」

「そうかなあ」


 彼女にはちょっと負けそうな気がする、と言ってしまいそうになったJは、ですですにはその怖さが分からないか、と口をつぐんだ。


「怖い相手とか、いる?」

「そうだなあ…… サエちゃんはそれなりにやりそうだけどね」


 クリスタル・ソードゴーレムは何もわからないだけに警戒すべき相手だ。とはいえモンスターをそのままのステータスで手なずけることなどできようはずもないので多少見かけ倒しであると思われる。倒せる気がしない相手でもない。


 だが、闇魔法の威力を垣間見たその瞬間にミサという取るに足らない少女が最大の警戒対象に化けた。なるほど、女は化けるとはよく言ったものだ。いたいけな少女が、悪鬼も震え上がる怪物になろうとは。


 もちろん兄である彼が働きかければ現在の狂的な戦闘はなりをひそめると思われるが、戦闘スタイルそのものは前と変わっていない。つまり狂的でなくなったとはいえさらに洗練された力を身につける可能性もあるのだ。


「やっぱりですですちゃんが怖いなあ。両手に斧はちょっと、攻撃力高すぎるからねえ」


「えー、全然強くない死。切らあさんも強いよ?」

「あれはねえ、見切れる。バーサーカーなですですちゃん、あれが怖いね」


「やだJさんほめすぎ、ほめても何も出ないよ」


 そりゃ分かっている。現実的な話をさせてもらえば、あっちだってそうそう人にものを渡すこともはばかられるような立場なのだろうから。


「うーん、英雄の誕生祭ってどういうことだったの?」

「うん? ああ、あれか……。言葉の通りだよ」


 狭義の英雄だ。


「よく分かんないよ?」

「分からなくてもいいんだよ。誰もが生きやすい時代ってことだ」


 そう、「誰も」が。


 城島は頬を歪めた。

 モンスター図鑑

「ゴブリン種」


 灰がかった緑、青などの寒色系の肌を持つ、身長100~140センチ程度(例外あり)の小人。長くとがった耳と威嚇に使われるキバ、前に向かって突き出した顔をしており、醜悪なことのたとえに使われるほどおぞましい顔つきをしている。


 人間とは発声の原理が違うため人間の言語を発音することはできないが、長く生きたゴブリンは経験からかそれなりに人語を解するようである。人間に近い身長のものは成長がほぼ終わったころのものであり、経験と体力が釣り合うもっとも危険な頃合い。逆に小さなものは若いか衰えたものであり、あまり脅威にはならない。


 人間よりかなり劣るものの高い(サル程度の)知能を誇り、殺した人間から奪ったり自分たちで作ったりした武器を使って人間に攻撃を加える。人間と生息圏が重複しているわけではないが、人間と長きにわたって争いを繰り広げてきた。先ほども述べたとおり人間を狙う理由は不明。


 強力なものになると人間には扱えない超々大規模の邪法を操るものや、超巨大な体格を活かして石造りの家すらも蹴り一発で破壊するものが現れる。町や村の自警団からのクエストによく登場する、「亜人」カテゴリの最初に現れるモンスター。

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