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04. どれくらい好きか

ステップ4。

彼への愛がどれほどのものか、論理的あるいは非論理的に解説しましょう。



【1】


「私は夏川くんが本当に好きなの。だから今ここで、きちんと証明するよ」

「悪いけど数学は好きじゃないんだ」

「あっ、待って」

 数学は生活の基板にもなってるんだよ、夏川くん。





【2】


「夏川くんのためなら何でもできる」

「どうかなー」

「夏川くんのためなら、回復アイテム持たずにボス戦に挑んでみせる」

「そんなに俺のことを……!?」





【3】


「夏川くんに振り向いてもらえないなら、私はこの長い髪を……」

「切る?」

「いや剃る」

「や、やめて……!」





【4】


「夏川くんへの気持ちを重量数値に例えるなら」

「猫の体重くらい?」

「十三匁」

「尺貫法……!?」





【5】


「夏川くんへの気持ちは宇宙と同じくらい大きいの」

「う、うん」

「しかも宇宙は膨張しているんだよ」

「将来的に宇宙は縮小するっていう説を聞いたけど」

「……その頃人類はいないから大丈夫!」

「うーん、参った」





【6】


「夏川くんへの気持ちの大きさを、とりあえず痛みで例えようかなと思うんだけど」

「聞きたくない!!」





【7】


「大丈夫。すごくソフトに表現するから」

「だったら平気かな……」

「注射」

「やっぱ無理!!」

「それすら!?」





【8】


「そもそも注射って大した痛みじゃないよね」

「あれだけ怖がっておいてそれ言うんだ」

「じゃあ、俺が代わりに例えるよ。小指をたんすの角に……うわ、想像しちゃった」

「その想像力のせいで生きづらそうだね」





【9】


「私の夏川くんへの気持ちを世界遺産に例えるなら」

「マチュピチュ?」

「ラナオ湖マラナオ民族のダランゲン叙事詩」

「え……何それ……」





【10】


「私の夏川くんへの気持ちを世界遺産に例えるなら……能楽、雅楽、歌舞伎……」

「えっと、つまり?」

「無形文化遺産。愛は形となって現れるものじゃないから」

「それで上手いこと言ったつもり?」





【11】


「夏川くんのピンチにも命を懸けられる自信がある」

「例えば?」

「夏川くんが崖に掴まって今にも落ちそう。そんなシチュエーションだったら、私は夏川くんのために飛び込む!」

「よく考えて! 二人一緒に死ぬだけだよ!」





【12】


「じゃあ今の話で、俺と沢井さんの立場が逆だったら」

「助けてくれる?」

「やっぱりここはお約束の『ファイトー!』『一発!』を……」

「確実に私死ぬね」

「そ、そんな真顔で言わなくても」



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